◎ ISCO – GÖTTINGEN (イスコ・ゲッチンゲン) TELE-WESTANAR 135mm/f3.5 zebra(M42)
「ISCO-GÖTTINGEN (イスコ・ゲッチンゲン)」と言う光学メーカーは、第二次世界大戦前の1936年に旧西ドイツのニーダーザクセン州にて創業した会社で、同じく旧西ドイツの「Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ)」社による100%出資の完全子会社になり、当時のドイツ軍部の要請から政府指示で分社化されました。会社創設の真の狙いはドイツ空軍の爆撃機に搭載する高性能な爆撃照準機や航空撮影機に使用する高性能なレンズの生産が当初の目的だったようです。
今回出品のレンズは、当方にてオーバーホールを実施すると最終的に赤字になるため (調達が高額だったため) 作業をせずにそのまま「現状渡し」として出品します。その意味では他のいわゆる「転売屋」と同じことになりますので、ご注意下さいませ (未整備です)。
このページの最後のほうに掲載している当レンズによる実写をご覧頂ければ分かるかと思いますが、名前がさして通っていない光学メーカーながらもその描写性能はシッカリした端正な画で、さすが「爆撃照準機」生産のために用意された会社だけはあります・・。
仕様:
・光学系:4群5枚構成 ・マウント:M42 ・焦点距離:135mm ・撮影距離:1.3m〜∞ ・絞り羽根枚数:15枚 ・F値:3.5〜22 ・フィルター径:44.5mm ・重量:260.5g ・絞り環:クリック式実絞り
上の写真のピントは撮影小物の台の縁に合わせていますから、光学系内が相当クリアな状態なのがお分かり頂けると思います。
15枚もの絞り羽根によるほぼ真円に近い「円形絞り」です。実写でもキレイなリングボケ (玉ボケ) を構成してくれます。
以下の写真は鏡胴の写真になります。経年の使用感があまり感じられないとても状態の良い個体です。外観上の当方判定は「超美品」ですが、内部を一切確認できていないので「ジャンク扱い」での出品になります。
- 距離環駆動:正常、適度なトルク感は均一で大変滑らか。
- 絞り環駆動:正常、各絞り値でのクリック式で確実に駆動。
- 外観:鏡胴やローレットに使用感を感じる微細なキズやハガレあり。
この「ISCO-GÖTTINGEN」のモデルは日本ではあまり認知されていないようで、オークションなどの市場でもワリと低価格で流通しているようですが、海外市場では高額の部類に入っています。特にこの中望遠「135mm」辺りだと海外では人気のある焦点距離ですが、国土が狭い日本ではそれ程でもありませんね・・。
光学系は内部が大変クリアです。光学系前群:極微細な点キズ複数あります。光学系後群:極微細な点キズ数点と薄いヘアラインキズ1本あります。
如何ですか? この描写・・。太めなエッジにエッジの強調感さえも感じる鋭いピント面を構成して非常にリアルな距離感や空気感を感じる立体的な画造りです。発色性はメリハリのあるコントラストと共に色乗りの良さを感じますが、元々「シアン系 (ブルー寄り)」に振れる描写性なのでイヤミの無いスッキリした印象を受けます。
ここからはまとめて光学系の状態を撮影しています。
上の写真 (2枚) は前群の拡大撮影で、極微細な点キズの状態をワザと光に反射させて分かり易く撮っています。
上の写真は後群 (後玉) の状況です。極微細な点キズとよく見ると極微細な薄いヘアラインキズがあります。
以下の写真は鏡胴のキズやハガレなどを撮影しています。
当方では珍しい「未整備」状態でのオークション形式による出品です。調達価格はそれはそれはいい値でした・・その描写性に惹かれて調達してしまいましたが、失敗しましたね(笑) しかし、本当は最近ではなかなか入手できなくなりつつある「M42マウント」の個体なので貴重なのですが・・さすがに整備する気持ちは失せてしまいました。ちなみに「WESTANAR」は「ウェスタナー」ではなく正しくは「ヴェスタナー」がドイツ語での発音です。それから指標値の「基準マーカー」の「▲」は褪色していましたので赤色に着色しました (上の写真では褪色したままの撮影ですがお届けする現物は着色しています)。