◎ Asahi Opt. Co., (旭光学工業) Super-Multi-Coated TAKUMAR 105mm/f2.8(M42)
旭光学工業のTAKUMARシリーズは、当方でのオーバーホール済出品は今回が最後となります。次回の出品予定はありません。残念ながら今後の取り扱いは見送りますので、お探しの方はこの機会に是非ご利用下さいませ。
オーバーホールのために解体した後、組み上げていく工程を解説を交えて掲載しています。
すべて解体したパーツの全景写真です。
ここからは解体したパーツを使って、実際に組み上げていく組立工程写真になります。
まずは絞りユニットや光学系前群を収納する鏡筒です。このモデルではヘリコイド(メス側)が鏡筒とは独立しています。
実際に絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。
次の写真は距離環やマウント部を組み付けるための基台です。
真鍮製のヘリコイド(オス側)を無限遠位置のアタリを付けてネジ込みます。このモデルでは無限遠位置調整機能を装備しているので、大凡のアタリで構いません。
ヘリコイド(メス側)をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションにてネジ込みます。
ヘリコイド内に鏡筒を差し込みネジで締め付け固定します。
次の写真はマウント部の写真です。
絞り連動アームやカムを組み付けて、絞り連動ピンとの連係をさせます。
絞り環をセットします。
この状態でマウント部を基台に組み付けますが、光学系後群を先にセットしないと後から組み込むのが面倒なので、先に光学系を組み付けます。
まずは前群です。
点キズが少々多目にあるように見えますが、拡大撮影してみると中には「気泡」が点キズに見えている箇所もありました。
次は後群をセットします。
マウント部を基台にセットします。
基準マーカーの位置を確認して、指標値環を組み付けます。
この状態で距離環を仮付けし、無限遠確認と光軸確認、絞り羽根開閉幅の確認を行えば、完成間近ですね。
ここからは組み上げが完成した出品商品の写真になります。あまりオーバーホール済では出回らないと思いますので、この機会に如何でしょうか?
光学系内も点キズ、或いは「気泡」意外のヘアラインキズなどもほぼ無く大変クリアになりました。
絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。
ここからは鏡胴の写真になります。経年の使用感が極僅かにある個体ですが、当方の状態判定では「超美品」としています。
中望遠の105mmや120mmあたりは、時々見かけますが、特に「Super-Multi-Coated TAKUMAR」のモデルになると、光学系第4群に貼り合わせレンズが使われているので、バルサム切れ (貼り合わせレンズの接着剤が経年劣化で剥離し始めて白濁化している状態) のクモリがある個体が多くなってきました。当レンズはありがたいコトにバルサム切れは生じておらず大変クリアです。
光学系後群もキレイになりました。
当レンズによる最短撮影距離1.2m附近での開放実写です。
このモデルはヤフオクでもゴロゴロと安値で出回っているので、わざわざ当方から入手頂く必要もないかも知れませんね・・しかも高い価格で(笑) しかし上記のようなオーバーホールを施した個体は、そう頻繁には出回っていないと思います。
今回は特に意識して (ワザと) ゴロゴロ市場に出回っている「TAKUMAR (タクマー) シリーズ」を採り上げて整備してみました。金属製の鏡胴で角形のローレットレに、ズシリと重みを感じられる造りの良さがまだまだ人気の的です。一通り各焦点距離でのモデルをオーバーホールした上で出品しました (残念ながら貴重な「20mm/f4.5」に関しては出品後5時間足らずですぐにご落札頂いたので今はありません)。
確かにこのモデルは (旭光学のレンズは) 数十年を経た今もなお、非常に滑らかな操作性を維持した個体が多く出回っています。当方のオーバーホールでもさらに、その操作性は改善され大変滑らかに軽いチカラで距離環や絞り環の操作ができるようになりました。しかしそのような整備済の個体を果たしてご落札頂けるのか・・??? それを承知の上で立て続けにまとめて整備しての出品です。
これはひとつの「検証」です。市場に流通量が多い日本製レンズを整備の上で出品したら、どのような結果になるか・・。この結果次第では次の同型モデルでの出品はありません(笑) それは、これだけの本数ですから相当な時間と手間を掛けての出品です。「TAKUMARシリーズ」に関する説明ではこちらのページのに少し解説をしています。やはり「価格優先指向」なのか、それとも整備された個体にも「魅力を感じられる」のか・・検証です。