◎ YASHICA (ヤシカ) AUTO YASHINON-DX 50mm/f1.4 black/silver《富岡光学製》(M42)

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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、ヤシカ製標準
レンズ『AUTO YASHINON-DX 50mm/f1.4 black/silver《富岡光学製》(M42)』です。


オーバーホール/修理のご依頼分として2017年1月に一度扱っていますが、ヤフオク! にオーバーホール済で出品したのは2015年以来なので、実に3年ぶりと言うことになります。

ところが、2015年のヤフオク! 出品当時の記録データを見ると、完全解体できておらず半解体に留まっていました。つまりその当時の技術スキルでは完全解体できなかったワケです(笑)

それ以来「調整が非常に神経質」であることから基本的にこのモデルの扱いを敬遠していますが、はたして技術スキルが2015年からどの程度向上したのか確認の意味もあり今回取り扱いました。
なお、このモデルは普通「ピン押しタイプ」のマウントアダプタに装着できません (絞り羽根開閉異常を来す/無限遠合焦しない)。今回は一部のマウントアダプタに装着できるように改善処置を施した個体の出品なので貴重なのです・・。

ちなみに、今回のヤフオク! 出品個体をオーバーホール/修理として整備した場合のご請求金額は以下のようになります。
※「オーバーホール/修理受付の概要と料金」に掲載の料金表を基に加算した金額です。

  • 単会員様の場合
    (2)着手料:2,000円+(3)オーバーホール:13,000円
    +(6)難度加算:5,000円
     +(10)その他加算 (マウント部内部調整):3,000円=ご請求額:23,000円
  • 本会員様の場合
    (3)オーバーホール:10,000円+(6)難度加算:3,000円
     +(10)その他加算 (マウント部内部調整):2,000円
    =ご請求額:15,000円

・・なので、今回のヤフオク! 即決価格である「29,500円」は実質14,500円が個体単価になります (本会員様の場合)。
ヤフオク! に於ける、過去3カ月間の同型モデル単体落札価格は平均単価:16,520円 (7本) でしたので、如何でしょうか?

まぁ、安くはないけれど、決して高くもないと言うレベルでしょうか。
そうは言っても、やはり当方の整備となると敬遠される方が多いのも仕方ありません(笑)

取り敢えずの目安でした・・。

 

上の写真は今回のヤフオク! 出品個体のマウント面を撮影したものですが、以下の点についてご留意頂く必要があります (実測値なので目安程度です)。

① 後玉突出により一部デジカメ一眼/ミラーレス一眼のマウント内部に干渉する懸念あり。
 ② 絞り連動ピンが長いためマウントアダプタにより絞り羽根開閉異常を生ずる懸念あり。
 ③ マウントアダプタにより無限遠が出ない (合焦しない) 懸念あり。

・・個別に解説していきます。

①は、ミラーがあるデジカメ一眼の場合にミラーが干渉する懸念があります。またミラーレス一眼でも一部モデルで撮像素子周囲部分に干渉する懸念もあり、ご入札/ご落札頂く前に必ずお手持ちのカメラボディを確認する必要があります。

②は、以下の3種類のマウントアダプタで絞り羽根が正常駆動するよう調整を施しています。
 ・K&F CONCEPT製「ピン押しタイプ」マウントアダプタ (中国製)
 ・Rayqual製「ピン押しタイプ」マウントアダプタ (日本製)
 ・FOTGA製「非ピン押しタイプ」マウントアダプタ (中国製)
この中で最後のFOTGA製マウントアダプタだけが「非ピン押しタイプ」なのでA/Mスイッチの「手動 (M)」設定時のみ絞り羽根の開閉が機能します。
数多く市場に流通しているマウントアダプタの中からこの3種類のみ確認し調整を施したのでご留意下さいませ (他のマウントアダプタ装着時発生した不都合はクレーム対象としません)。

なお、絞り連動ピンの長さが一般的なM42マウントのオールドレンズよりも長いワケですが、それは同時にマウント部内部の構造自体、絞り連動ピンが必要以上に押し込まれた時のチカラを逃がせない設計だと言うことになります (だから絞り羽根開閉異常を来す)。
従って、このモデルをプロのカメラ店様や修理専門会社様などに整備に出しても断られるか、絞り羽根開閉異常は構造上の理由を口実に改善してくれませんし無限遠合焦まで工夫してくれません (以前実際に有名処の整備会社に見積依頼して断られている)。

③は、このモデルに「無限遠位置調整機能」が装備されていないことから発生するので、仕方なくヘリコイドのネジ込み位置を故意に変更することで一部マウントアダプタにのみ対応するよう調整を施しました。
・K&F CONCEPT製マウントアダプタ装着時は無限遠合焦します (僅かにオーバーインフ)。
・Rayqual製マウントアダプタ装着時は僅かにアンダーインフのため無限遠は僅かに甘い
 画像になります。
・FOTGA製マウントアダプタ装着時はフランジバック超過のため無限遠合焦しません。

これらマウントアダプタがいずれも同じ「M42マウント規格」であるにも拘わらず「絞り羽根開閉異常」や「無限遠の合焦問題」が生ずることについて理解できていない方は「解説:M42マウントアダプタについて」をご覧下さいませ。

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1967年にヤシカから発売されたフィルムカメラ「TL SUPER」用セットレンズとして用意された標準レンズで、上の写真のとおり3種類の筐体意匠が用意されていました。今回出品個体は中央のブラック/シルバータイプですが、このモデルは「富岡光学製」OEM供給モデルです。

   
   

上の写真はFlickriverで、このモデルの実写を検索した中から特徴的なものをピックアップしてみました。
上段左端から「シャボン玉ボケ①・シャボン玉ボケ②・円形ボケ・玉ボケ」で、下段左端に移って「発色性・被写界深度・動物毛・逆光」です。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)

円形ボケは輪郭のエッジがすぐに破綻していくので明確なエッジを残しにくく、キレイなシャボン玉ボケには至りません。口径食の影響も出てくるので円形ボケとしても真円を維持できないことが多いようです (上の写真上段4枚)。

発色性はレッドブルーに少々誇張的な色乗りが現れるようですが、人肌や植物にはコッテリした印象は抱きません。総じて富岡光学製オールドレンズの描写傾向である、被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力に優れ、ボケ味とも相まり空気感や距離感までも感じさせる立体的な表現性が魅力でしょうか。

光学系は6群7枚の拡張ウルトロン型で、第2群は貼り合わせレンズ (2枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせてひとつにしたレンズ群) ではなく非接触の独立型です。

以前同じヤシカ製標準レンズ「AUTO YASHINON-DS 50mm/f1.4 (M42)」をオーバーホール済でヤフオク! 出品しましたが、この時の光学系と比較すると第1群 (前玉) が僅かに肉厚が増え、第2群の曲率も多くなり、逆に光学系後群の外径サイズが僅かに小さくなって同様曲率を高めて屈折率を上げた設計になっています。後玉は平坦ではなく凸メニスカスになっています。

この光学系設計からモノコーティングとして最大限にピント面の鋭さを追求していたことが窺えますが、先のモデル「YASHINON-DS」に配置されていた「酸化トリウム」含有ガラスは存在せず、光学系内の黄変化もありません。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。

富岡光学製オールドレンズとして見ると、初期時代の非常に厄介な「S字型バネ」を使わなくなり改善していますが、そうは言っても丸一日がかりで整備したほど「非常に神経質な調整」のモデルであり、正直な話やはり扱いたくないと感じたので今後は調達しないつもりです。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルではヘリコイド (オス側) が独立しており別に存在します。

↑6枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。絞りユニット最前面である「メクラ環」の固定位置をミスると絞り羽根の開閉異常を来す、やはり「意味不明の設計」であり、それだけでも富岡光学製らしいと感じてしまいますね(笑)

↑この状態で鏡筒をひっくり返して撮影しました。裏側には制御系の構成パーツが集中しています。

  • 開閉アーム
    マウント面「絞り連動ピン」との連係で絞り羽根を勢いよく開閉するアーム
  • 連係アーム
    絞り環と接続して設定絞り値を伝達する役目のアーム
  • カム
    制御環に備わった「なだらかなカーブ」の勾配に突き当たることで具体的な絞り羽根開閉角度を決めているパーツ
  • 制御環
    絞り環を回すことで制御環が動いて「なだらかなカーブ」の位置が変化する

制御環に備わっている「なだらかなカーブ」は麓が「開放側」で登りつめた頂上が「最小絞り値側」になります。上の写真ではカムが頂上位置に居るので「開閉アーム」が操作されると (ブルーの矢印①) カムが突き当たって最小絞り値まで絞り羽根が閉じます ()。

同じ富岡光学製OEMモデルでも「なだらかなカーブ」の使い方が逆向きです (多いのは麓が最小絞り値側)。

↑いつもなら、ここでヘリコイド (オスメス) の組み上げに入るのですが、このモデルの組立手順は違います。上の写真はマウント部内部を撮っていますが、既に各連動系・連係系パーツを取り外して当方による「磨き研磨」を終わらせています。

↑外していた各連動系・連係系パーツも個別に「磨き研磨」を施してから組み付けてマウント部を完成させます。

  • 伝達アーム
    絞り環操作で設定された絞り値を「連係アーム」に伝える役目のアーム
  • スイッチ環
    自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) の切替動作で絞り羽根の開閉動作を決めているパーツ

  • 鏡筒から飛び出ている「開閉アーム」を操作する役目
  • 連動アーム
    絞り連動ピン押し込み動作に伴い動くアーム

マウント面の「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①)、その押し込み量の分だけ連動アームが動いて先端の「爪」の位置が移動します ()。

ところが問題なのは、上の写真のグリーンの矢印です。このモデルは「絞り連動ピン」が必要以上に押し込まれた時チカラを逃がす概念がありません。絞り連動ピンが最後まで押し込まれると連動アームとの連係板が内壁に突き当たってしまい固着します (グリーンの矢印の箇所)。
つまり「絞り羽根の開閉異常」を来します。

本来このような構造から絞り連動ピンが長すぎても短すぎても同じ問題が出てくるワケですが今回の個体はどのようなマウントアダプタ (つまりピン押し底面の深さ) であっても絞り羽根が正常駆動するよう改善処置を施しています

逆に言うと『AUTO YASHINON-DX 50mm/f1.4 black/silver《富岡光学製》(M42)』で マウントアダプタを選ばない個体は、そう簡単には手に入らないと考えたほうが良いかも知れませんね(笑)

もちろん、オリジナルの調整からイジっているワケですが元に戻すことは可能です。どうしても戻す場合はご落札後の一番最初のメッセージでその旨ご申告下さいませ。別途作業料を頂きますが元に戻します (装着マウントアダプタにより絞り羽根開閉異常が発生します)。

↑絞り環をセットします。

↑絞り環の内側には「」が用意されており、鋼球ボールがカチカチと填る「絞り値キー」になっています。

↑スイッチのツマミをセットしてから「飾り環」を組み付けますが、イモネジ (ネジ頭が無くネジ部にいきなりマイナスの切り込みを入れたネジ種) 3本を使って横から締め付け固定します (グリーンの矢印)。

この当時のM42マウントのモデルで、飾り環をイモネジ3本で均等締め付け固定する (横から) 方式を採っていたのが富岡光学製の「」であり、外見ですぐに判別できる要素です。

前述のとおり、絞り環内側に「絞り値キー」が用意されており、且つこの「飾り環」に鋼球ボール+スプリングがセットされますから、必然的に「飾り環の固定位置」をミスると絞り環の絞り指標値とクリック感がズレてしまいチグハグになりますし、同時に自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) による絞り羽根の開閉動作も連動しなくなります。

つまり、この部分の調整がヒジョ〜に神経質でありコツが必要です (単に締め付けてもダメ)。

↑「Ι」マーカーが刻印されている指標値環をセットしますが、もちろんここで絞り値と「Ι」マーカーが合致していなければクリック感さえもズレてしまいますね(笑)

↑ここでようやくヘリコイド (オスメス) の組立工程に入れます。ベース環に「直進キー」と言う距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目のバーツを両サイドにセットします。

↑真鍮製のヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

ご覧のように前述の「直進キー」が両サイドに立っていますから、ここにヘリコイド (オス側) を回しながらネジ込んでいくことになります (直進キーがヘリコイドに突き刺さる)。この原理が理解できていないとオールドレンズをバラしても組み上げられないでしょう(笑)

↑ヘリコイド (オス側) を、無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑完成している基台 (マウント部含む) をセットし、同時に距離環指標値も組み込みます。

↑これが富岡光学製たる「」のポイントです。鏡筒をヘリコイド (オス側) の内側にストンと落とし込んでから「締め付け環」で締め付け固定する方式 (グリーンの矢印) を採っていたのは、この当時は富岡光学だけです。しかも「締め付け環」が同じアルミ合金材なので相当注意深くネジ込まないと噛んでしまいます。

この後は光学系前後群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (それぞれ解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑このモデルをプロのカメラ店様や修理専門会社様に整備依頼しても断られることがあるそうです。ヤフオク! などのオークションでも「マウントアダプタとの相性問題」を警告している場合も多く見られます。

その意味で「絞り連動ピン」を強制的に押し込んでしまう「ピン押し底面」を有するピン押しタイプのマウントアダプタでご使用頂けるよう調整を施した個体は、大変貴重だと言えるのではないでしょうか (但し無限遠合焦についてはK&F CONCEPT製マウントアダプタのみ対応)。

日本製マウントアダプタである「Rayqual製」で無限遠合焦するよう調整すると、それ以外のマウントアダプタでは相当なオーバーインフになる為 (距離環距離指標値2〜3目盛分ズレる)、Rayqual製が高額であることから敢えて対象外としました。しかし、調整をしようと考えればできないワケではありません (方法はあると言う意味)。

今回このモデルでそのような調整に拘ったのには理由があります。富岡光学製オールドレンズの標準レンズ域で捉えると開放f値「f1.4」の明るさでは「焦点距離:55mm」が多いのですが今回のモデルは貴重な「50mm」です。少しでも標準レンズ域の画角で使いたいと言う気持ちを配慮してのことです。

↑そして今回の出品個体で大変珍しいのが光学系の状態です。この当時の富岡光学製オールドレンズでは光学系内にカビが発生する確率が非常に高いのですが、今回の個体はカビ除去痕がほんの僅かであり、数多く富岡光学製オールドレンズを扱った中で考えてもキチョ〜です。

もちろん、LED光照射でもコーティング層の経年劣化に拠る極薄いクモリすら皆無で、まるで新品同様品のようにクリアな状態を維持しています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑極僅かに存在するカビ除去痕 (数点) は後玉に集中していますが、恐ろしくクリアです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:9点、目立つ点キズ:5点
後群内:12点、目立つ点キズ:7点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:無し
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):皆無
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが実際はカビ除去痕としての極微細な点キズです (清掃しても除去できません)。
・後玉表面に極微細なカビ除去痕があります。
光学系内の透明度が非常に高い個体です
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。

マウント部内部の各連動系・連係系パーツを調整したので、もちろんどのマウントアダプタに装着しても絞り羽根の開閉は正常です

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方による「磨きいれ」を筐体外装に施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度と軽め」を使い分けて塗布しています。距離環や絞り環の操作はとても滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は人によっては「普通」に感じ滑らかでトルクは全域に渡り「完璧に均一」です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・距離環を回す際にヘリコイドのネジ山が擦れている感触がありますが改善できません。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。

↑過去メンテナンス時に塗られていた「白色系グリース」とその後に注入されたであろう「潤滑油」が化学反応してしまい、ヘリコイドネジ山が摩耗していたのでオーバーホール完了後でも「ネジ山が擦れる感触」が残っています。これはピント合わせ時のトルクを最優先したが為「黄褐色系グリース」塗布に拘ったからです (事前告知している為クレーム対象としません)。

当初バラす前のチェックでガチガチした操作感だった絞り環のクリック感も小気味良い操作性に改善させています。絞り羽根の開閉動作も確実にセットしましたし、どのマウントアダプタに装着しても正常駆動します。もちろんA/Mスイッチ切替動作も確認済ですし、無限遠位置も実写チェック済です。

今回の個体は光学系の透明度が素晴らしく (極微細な点キズはある)、距離環を回すトルク感も当方にしては上出来な仕上がりで組み上がっています。もちろん無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/
入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済ですしフィルムカメラに装着した場合のマウント面絞り連動ピン押し込み動作に伴う絞り羽根開閉の挙動もチェック済です。
距離環を回すトルク感も「全域に渡り完璧に均一」でトルクは「普通」程度に仕上げており、ピント合わせもし易く調整しています。

無限遠合焦を確認したマウントアダプタは「K&F CONCEPT製」の
マウントアダプタになります (左写真をクリックするとamazonの
ページが別ページで表示されます)。

2,199円ですからご入り用の方はご検討下さいませ。
(2018年4月15日現在価格)

なお、ヤフオク! 出品の即決価格が割高なのは、ここまでの調整が非常に難度が高く一般的な整備では何処も処置してくれない内容だからです。特にマウント部内部の構造を熟知しているか否か、或いは「無限遠位置調整機能」を装備していないにも拘わらず無限遠位置の調整ができるか否か、それらの技術スキルとコツ/経験値が関わってきます。

ヤフオク! 即決価格の値下がりをお待ち頂いても (当方の整備自体に価値を見出さない方) 値下がりしませんので、2万円以下で入手可能ですからそちらをご利用下さいませ。

↑自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) はマウント部直前に配置されていますが、ツマミがとても薄いのであまり使い易い設計とは言えませんね。

↑筐体外装には経年の引っ掻きキズが僅かに散見します。

↑何度もしつこいですが、冒頭解説のとおり後玉が突出しているのでご留意下さいませ。

↑当レンズによる最短撮影距離60cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに絞り環を回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」になっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」になりました。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。