◆ PORST (ポルスト) PORST COLOR REFLEX MC 50mm/f1.7 Macro ⌀52F《COSINA製》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、国産は
COSINA製標準レンズ・・・・、
PORST COLOR REFLEX MC 50mm/f1.7
Macro
⌀52F《COSINA製》(M42)』
です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で当時のCOSINA製標準レンズ「50mm/f1.7」合わせてそのOEMモデルまで含めると累計で5本目にあたりますが、今回扱った「PORST製」だけでカウントをすると僅か3本目です。




↑上の写真は上段、中段、及び下段共に左端から順に・・・・、
● CHINON 50mm/f1.7 MACRO multi coated (M42):写真左
● AUTO-ALPA 50mm/f1.7 for ALPA SWISS MULTI-COATED (M42):写真中央
● PORST COLOR REFLEX MC 50mm/f1.7 Macro ⌀52 F (M42):写真右

・・・・です。

共に仕様諸元が同じで、5群6枚拡張ダブルガウス型構成の光学系を実装し、最短撮影距離:27cmと言う驚異的な近接撮影を実現した「M42マウント規格」標準レンズです。外見上は
パッと見で距離環ローレット (滑り止め) の意匠が一部違うモデルがあるものの、基本的な筐体外装の意匠はほぼ同一にしか見えません。

しかし今までにこれら3種類のモデルを扱い、完全解体の上でオーバーホールしてきた経緯から見えてきたのは「光学設計の違い」でした。つまりこれら3つのモデルの光学系は同じ5群6枚の拡張ダブルガウス型構成の光学系を実装しつつも、それら5群6枚の光学硝子レンズは単独で実測計測した時に全く異なる計測値に至りました・・それは厚みや曲率の相違が最も大きく、中には外径サイズだけは同一値を採りながらも曲率が違っている場合もありました。

それに合わせて各群の表裏面で光に反射させた時に放つコーティング層蒸着の光彩をチェックしてみると、同様各モデルで全く異なる光彩を放っているのをそれぞれで確認しています。

一方で光学系第1群前玉だけを取り出して、光学硝子レンズ単体を白紙に置いた時「硝子レンズ全体に渡り僅かな褐色に見える」のはこれら3つのモデルに共通して指摘できる事柄です。合わせて他の第2群〜第5群までは無色透明であり、それもこれら3つのモデルで共通事項でした。

上の光学系構成図で 色に着色した光学系第1群 (前玉) がそれを表し、今回試しに放射線量を計測してみると「光学系第1群 (前玉):4.46μ㏜/h」の実測値を示し、合わせて「光学系第2群0.21μ㏜/h」に「光学系第3群0.12μ㏜/h」と「光学系第4群 (貼り合わせレンズ):0.08μ㏜/h」最後「光学系第5群 (後玉):0.15μ㏜/h」です (これら放射線量の計測は、それぞれ単独で取り出した光学硝子レンズ直上にて計測した平均値を採っています)。

これら放射線量計測値から見えてきたのは、光学系第1群前玉だけが放射線量を多く他の群はいずれも一般的なオールドレンズ同様の値を示している事が分かります。するとでは、この計測値から捉えた場合にこれら3つのモデルに実装している光学系第1群前玉の光学硝子材に配合している物質は何なのかを考察すると、その計測値から「ランタン材」である事が伺えます
・・これは仮に巷で「アトムレンズ (放射線レンズ)」と呼称されている「酸化トリウム含有の光学硝子レンズ」の場合には、もっと高い数値を示していることからも辻褄が合っています。
(凡そ6.9μ㏜/h〜9.38μ㏜/hとモデルによって幅が広い/光学硝子全体に渡り同じ濃さのまま変質していない)

但し光学系第1群前玉だけにランタン材を硝子材に配合している事実についてはカタログなどにも記載がないので不明なままです。ちなみにこれら化合物は屈折率の向上を狙って光学硝子材の配合成分として使われ、一般的に「ランタン材10%代」或いは「酸化トリウム20
%代
」とそれぞれ含有した光学硝子レンズに於ける屈折率向上が期待できるらしいです。

なお上に示した3つのモデル写真からも分かるとおり、当方にて今までに完全解体した上でオーバーホール作業を経ており、内部構造と合わせて各部位の制御手法や機構についても全く同一である事を確認済です (但し前述のとおり光学系の設計、及び蒸着コーティング層だけは互いに異なる)。

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はAUTO-ALPA 52⌀ 50mm/f1.7 FOR ALPA-SWISS MULTI-COATED (M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました。こちらの個体も先日扱った個体同様ご依頼者様に対しご報告すべき瑕疵内容が一つも御座いません。

もちろん当初バラす前のチェック時点やバラし始めた時の状態等についてはご報告すべき事柄があったりします。しかしそれら内容は全て100%完璧に改善され「まさに製産時点の在るべき姿に戻った」と明言できてしまうほどに素晴らしい状態に仕上がっています。

↑上の写真はバラし始めて取り出した光学系前群の格納筒を横方向から撮影しています。写真上側方向が前玉の方向にあたります。ご覧のように格納筒の外壁の一部にテカリが写っていますが「経年による揮発油成分」です。

しかしこの写真を撮った理由は先日扱った「MCMモデル」での過去メンテナンス時に塗布されていた「白色系グリース」による経年の揮発油成分ヒタヒタ状態とはまるで正反対の状況である事を解説する為に撮影しています。

・・経年の揮発油成分は上の写真のテカリ箇所にしか残っていなかったのです!(驚)

つまり、ほんの僅かしか経年の揮発油成分が廻っていない事になります。

↑その理由が上の写真になります。上の写真は当初バラし始めている時に撮りだしたヘリコイド群と基台を並べた写真です (ヘリコイドのネジ山メス側は上の写真でメス側と明記した環/リング/輪っかの内側にメスネジ山があります/表側に写っているネジ山は基台とのネジ込み時に使うほうのネジ山です)。

・・ご覧のとおり「黄褐色系グリース」が塗られていました。

実は、今回の個体は距離環のローレット (滑り止め) である「プクプクしたクッションがあるビニル製角形ローレット」が一度も剥がされていない事を確認できたのです!(驚)

・・つまり製産時点から一度もヘリコイドオスメスが外されていません!(驚)

今まで12年間で3,000本以上のオールドレンズ個体を扱ってきていますが、その中でカウントしても一度も整備に出されずに製産時点を維持したままだった個体は本当に数えるほどしかありませんから、今回扱った個体はとても貴重でした!(涙)

但し、光学系だけは一度取り外して清掃作業を行っている痕跡が残っていました (締付環のカニ目溝が削れている)。

すると実はこの事実により「当方の持論が一つ証明された」ような話になり、当時の製産時点では各製造メーカーは「黄褐色系グリース」を塗布していたと言う当方の持論が補強されたような意味合いを持ちます。

・・真に嬉しい限りです!(涙)

するとご覧のとおり「黄褐色系グリース」の経年劣化が進んでいるとしても「決してヘリコイドのアルミ合金材が摩耗してしまった摩耗粉が混じっていない/つまり濃いグレー色に変質していない」点に於いて、当方が執拗に、本当に執拗に「白色系グリースを嫌っている理由」をご理解頂けると思います。

この個体のヘリコイドオスメスのネジ山は製産時点をず〜ッと長年に渡り維持し続けており、全く摩耗していないのです!(涙) こんな個体を目にする事ができるのは・・それこそ考古学者が発掘作業で大発見した時の喜びに等しいほどです(笑)

従って、一つ前に掲載した光学系前群格納筒の外壁に僅かに附着していた「経年の揮発油成分」たるテカリが1箇所にしか残っておらず、大変少ない状況である事も「黄褐色系グリースを使っていたからこそ」と指摘できます。何故なら、仮に過去に一度光学系のメンテナンス (清掃作業) が施されていたのだとしても、その際合わせてヘリコイドを外せていない時点で (プクプクのローレットが一度も剥がされていない) 鏡筒内部や「直進キーガイド」などにまで廻ってしまった揮発油成分が残っていない点に於いて辻褄が合わないのです。

・・それを解説していきます。

↑上の写真はレンズ銘板やフィルター枠に光学系前群格納筒を取り外して鏡筒を露わにした状態の写真です。距離環を無限遠位置に合わせた状態で撮っているので、鏡筒は収納状態/格納されている状態になります。

鏡筒最深部に赤色矢印で指し示しているように「絞りユニット」が入っています。上の写真を撮影した時は「絞り環の設定絞り値は開放状態」だったので、絞り羽根が完全開放しているべきですが「ご覧のように各絞り羽根が僅かに顔出ししている状態」です(泣)

これは実はA/M切替スイッチを「 (自動)」にセットしてマウント面から飛び出ている絞り連動ピンを押し込んだりしてチェックすれば各絞り値で絞り羽根が適正状態で駆動しているか確認できますが、その際「ワザと故意に絞り連動ピンを押し込んだ後ゆっくり指を離した」ので、絞り羽根が完全開放に戻る時に「シャコン」と勢い良く戻らずゆっくり戻ったために「経年劣化の影響が現れて完全開放してしないのをチェックしているところ」を撮影したのです(笑)

ちょっと回りくどい説明で申し訳御座いませんが(笑)、要は当初バラす前のチェック時点や、その際に確認できた不具合の内容なども鑑みて、バラして始めた時に「必ずそれら不具合の因果関係を自分の目と指と感覚で確認している」からこそ、このような写真を撮れるのです(笑)

もしもA/M切替スイッチを「 (自動)」にセットした後にいつもどおりパッと指を離してマウント面から飛び出ている絞り連動ピンを勢い良く戻してしまったら、間違いなく「絞り羽根は瞬時に完全開放に戻っていた」ので、上の写真を撮る事が適いません(笑)

こういう事柄は確かに細かい話かも知りませんが、本当に真剣に一つ一つの個体について真摯な想いで臨むなら、逐一考えられる仮説の下で全てをチェックして確認していく次第です(笑)

・・これが当方での「観察と考察」の基本スタンスです!(笑)

従って、残念ながら今回扱った個体は内部で使っている「捻りバネとスプリングが既に経年劣化進行に伴い弱くなっている」ことが判明します (引張式スプリングについてブルーの矢印で指し示しています)。

ちなみに、上の写真グリーンの矢印のすぐ右横に「直進キーガイド」と呼ぶ溝が鏡筒内壁に備わりますが「ご覧のとおり経年の揮発油成分やグリースでグチャグチャになっていない」のを確認できると思います。

↑同じ位置で撮影していますが、今度は距離環を回して最短撮影距離の位置まで鏡筒を繰り出した時の写真です。この時同じようにマウント面から飛び出ている絞り連動ピンを押し込んだ後、すぐにパッと指を離さずゆっくり離してもご覧のように絞り羽根はちゃんと完全開放してくれています (グリーンの矢印)。

つまり絞り羽根の顔出しが起きているのは「無限遠位置に近い位置の時にチカラの伝達が狂っている」点が明白になります。するとその時のチカラの伝達を正しくできるよう各部位を確認して正しく組み上げてあげれば元の適切状態に戻せると言う話です・・これが「観察と考察」ですね(笑)

ちなみに赤色矢印で指し示しているとおり「直進キー」がググ〜ッと下のほうに下がっていて「鏡筒が繰り出されている状態」なのが一目瞭然ですが、この時の「そのガイドの溝部分 (直進キーガイドと当方は呼称している)」に経年のグリースや揮発油成分が全く附着していないのを確認して下さいませ。

これこそが「黄褐色系グリース」だからこその経年の揮発油成分の少なさを表しており、当方が本当に執拗に「白色系グリース」を嫌っている根拠の一つなのです。「白色系グリース」を塗布すると早ければ1年で、長くても数年で揮発油成分がオールドレンズ筐体の内部に廻り始めて、様々な部位がヒタヒタ状態になります(泣)

・・黄褐色系グリース」の素晴らしさが本当に理解できる素晴らしい個体です!(涙)

↑上の写真は今回の個体ではなく以前扱った別モデルからの転載写真です (AUTO-ALPAモデル)。マウント部内部を撮影していますが、マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルー矢印❶)、その押し込まれた量の分だけ「連係アーム」が移動します (ブルーの矢印❷)。その際の「絞り連動ピンを戻すチカラ」を与えているのがグリーンの矢印で指し示した捻りバネです。

すると前に掲載した鏡筒内部の写真で「ブルーの矢印で指し示している引張式スプリング」がありましたが、このモデルの内部にはその引張式スプリング1本とこの捻りバネ1個の2つしかバネ類が組み込まれていません。

他の光学メーカーのこの当時のオールドレンズ達で一般的に主流だった手法は「2つの捻りバネと1本のスプリング」なので、ハッキリ言ってこのモデルの設計は「だいぶ簡素化してしまった設計」と指摘できます・・それが故に、使っている捻りバネとスプリングの経年劣化がダイレクトに絞り羽根の開閉異常として現れ易いと指摘できる設計とも指摘でき、正直なところあまり配慮していない「造りきりみたいな設計と構造」とも言い替えられる内容です(泣)

とても当時のMINOLTAやNikonやCanon、或いはOLYMPUSと比較しても明らかに「いろいろ考えていない」ほうの設計と断言できてしまうワケで(笑)、このような要素についても当方が「コシナ大キライ!」な理由の一つです。

もっと言うなら、近年発売してきた現コシナ製のマニュアルフォーカスモデルについて、いろいろコシナサービスに修理依頼すると「経年劣化に伴う問題で改善不可能」との所見が書かれていたりします(笑)

例えば当方が以前にコシナサービスに食ってかかった内容がありますが(笑)、Nikon-Sマウント方式の近年発売されてきたモデルをコシナサービスに修理依頼しても、トルクの改善不能との所見で戻されました。どうして不能なのか確認の電話をしたところ (当方は滅多に電話しませんが) 何とその理由が「Nikonのマウント規格の問題だから」と言うのです。

コシナサービスで現在も電話応対している方だと思いますが、何度問い詰めても頑なに「Nikon-Sマウント規格の問題」と言い放ち続けます(怒)

どうしてマウント規格と自分達が設計したヘリコイドのネジ山の設計が関連付けされてNikonのせいになるのかが、どうしても納得できません!(笑)

設計して造った以上、対応マウント規格の問題があったとしても、それに対応したヘリコイドのネジ山数で設計すれば良いのに、それを認めようとしない「企業姿勢」に本当に腹が立ちました!(怒)

要はコシナのモデルのヘリコイドネジ山数が3列しかなかったので「トルクを与えられない」ので、どうして5列とか6列とか微細なネジ山でヘリコイドを設計しなかったのか問い詰めたのです。ところがそれが「Nikon-Sマウントの問題」と片付けられてしまう時点で「この光学メーカーダメだわ!」との結論に達した次第です(笑)

まさにそれと同じような話で、今回のモデルも他のOEMモデルも含め、内部に使われているバネ類が「たったの2個」なので、経年劣化進行に伴うチカラの伝達が狂うのも致し方ない話です・・(泣)

他社光学メーカーの当時のオールドレンズをバラしてみて参考にいくらでもできたハズなのに、それをしません(笑) マウント部内部で必要以上に押し込まれてしまった時の絞り連動ピンのチカラを逃がす算段を捻りバネ2本で対処したり、或いはやはり他社光学メーカー同様に絞りユニット内部で絞り羽根が「開くチカラと閉じるチカラのバランスの中で制御される」方式を採るなら、自ずとスプリングが1本では足りない話になるのに・・それに対応しません(笑)

当時のAUTO-ALPAモデルなど、とんでもない価格で売られていたハズなのに・・本当に酷い話です!(涙)

・・そういう企業姿勢がいまだに続いているのがコシナなので、当方は大嫌いなのです!!!

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

光学系前群内、及び後群内共に僅かに経年の点キズが多めですが、写真には一切影響しません (おそらく玉ボケにも写り込まない)。

↑光学系後群も薄いクモリが皆無です。

↑6枚の絞り羽根もキレイになりA/M切替スイッチや絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

冒頭でご案内した「捻りバネと引張式スプリングの経年劣化に伴う絞り羽根の顔出し現象」も別の部位の微調整で相殺するよう改善させたので、ちゃんとチカラの伝達が適正量に戻り「小気味良くどのような開閉動作を行っても確実に設定絞り値で駆動」しています(笑)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑等したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂うトルク感に仕上げてあり、特にこのモデルのピントのピーク/山が「ゆっくりまだかまだかとピークを迎える」クセに、イザッピークに到達すると瞬時にアッと言う間にピーク/山を越えてしまうので(泣)、軽めのトルク感に仕上げてあり、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後動が適いますから、とても使い易い操作性に仕上げてあります (ご依頼者様お一人様だけが確認できますが)。

↑特にご報告すべき瑕疵内容がありません(笑) 当初バラす前からとても良い状態を維持していましたが、僅かに当初バラす前よりも軽めのトルク感に仕上げています。また前述のとおり絞り羽根の顔出しは改善済です。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑一応念の為に当方所有日本製マウントアダプタに装着して何ら問題が起きない事を全てチェック済です。赤色矢印で指し示している隙間がマウント面にできているのはマウントアダプタの仕様なので、ちゃんと最後までネジ込みが終わっています。

↑同じように今度は中国製のK&F CONCEPT製マウントアダプタに装着してチェックしています。同様隙間がありますがちゃんと最後までネジ込み終わっており、且つ絞り連動ピンとの連係やA/M切替スイッチの操作でも正しく絞り羽根が開閉動作してくれます (当たり前ですが)。

↑当レンズによる最短撮影距離27cmでの開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっていますが、まだまだ「回折現象」の影響を感じ得ません。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。このたびのオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。引き続き3本目の作業は入ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。