◎ Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) Xenar 50mm/f2.8《Paxette版》(M39)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Schneider-Kreuznach製標準レンズ・・・・、
 『Xenar 50mm/f2.8《Pxette版》(M39)』です。


現在ヤフオク! 出品中の「即決価格」を値下げしました・・(涙)

ハッキリ言って「作業分対価のタダ働き」で、単に調達時の資金回収みたいな話です(涙)

オモシロイと考えて頑張ったのですが、スッカリ当てが外れてしまいましたね(笑)

情けないのなんのッて・・(涙)

・・てなワケで、この企画Paxette版オールドレンズを使った『なんちゃってマクロ』『疑似 マクロ化』は今回が最初で最後と言う運命になりました(涙)

至極残念・・全く以て残念・・無念極まりなし!(涙)

《既に疑似マクロ化附属品をお持ちの方》
当方から既に『疑似マクロ化附属品』含むオールをご落札頂いた方は、現在
ヤフオク! 出品中のセットを追加でご落札頂いた場合、同じ『疑似マクロ化
附属品』が重複する為『一律5,000円返金』にて対応します。

ご落札後最初のメッセージにてご申告頂ければ、ご指定銀行お口座宛当方より取引完了後に「5,000円」をご返金します。
その場合当然ながら『疑似マクロ化』を実現する附属品の一部はお届け
しません
(他の前後キャップやフィルター/フランジ環などはそのまま附属)
※振込手数料当方負担します。

要はご落札者様にとって一番お得感を感じられる対応をしますので是非
ご遠慮なくお申し付け下さいませ。
少しでも写真ライフを楽しめるドキドキ感をまた味わって頂きたく願う
ばかりです!

人気が無いにもかかわらず、別件で既にオーバーホール済でヤフオク! 出品している『なんちゃってマクロ』や『疑似マクロ化』にさらに付け足しで今回の出品です!(笑) もぉ〜本人が気に入ってしまってるので一通り出品しないと気が済みませんが(笑)、如何せんそうは言っても 今回出品するモデルはあまりにも微調整が大変だったので、おそらく今回の出品が最初で最後と言う結果になりそうです。

何しろマウント規格が「M39」でライカ判ネジ込み式「L39」と同じなのできっと取っつき 易いと受け取られると期待して扱った次第ですが、浅はかでした(笑) 実際のオーバーホール 工程ではフランジバックを適合化させる微調整がそれはそれは相当大変なので、ホンネを言えば「たかが1万円の工賃ではペイしない (附属品で1万円かかるので)」と最近バカらしくなってきています(笑)

以前扱っていた旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製シルバー鏡胴モデルのオールドレンズの時も 同じでしたが、ご落札者様が実際に使われる際に「困らないよう/利便性が良いよう」事前に予め処置を講じてヤフオク! 出品していたにもかかわらず「実際は全く人気無し!」と言う 結末だったのと同じですねぇ〜(笑)

そのクセ時々そのような処置を講じてヤフオク! 出品したらどうですかと言う問い合わせが 来たりしますが(笑)「えッ? それってこの前もぅやったじゃん!」全く人気無いままいつまでも (何ヶ月も) 落札されずに残っていたと歯ぎしり状態です(笑) 要は自分が実際にそのようなトラブルに見舞われない限り関心無しと言うのが実情なのでしょう(笑) トラブルに見舞われた時になって初めて「あぁ〜これは本当に有難い!」とようやく受け入れられるのかも知れません。

今回の話でも実際にヘリコイド付マウントアダプタに装着して使ってみれば「どんだけ面倒」なのかが理解できるハズなのですが、実際にその状況に堕ちなければきっと分からないので しょう(笑)

なお現在オーバーホール済でヤフオク! 出品している「Paxette版モデル」3本は、4月から元の価格に戻します (3本全て一律で1万円値下げして出品していました/1万円高い即決価格に戻します)。
理由は値下げしても人気が無いままなのが分かったので、元に戻します(笑)

順次「Paxette版モデル」の『なんちゃってマクロ/疑似マクロ化』挑戦しつつ出品しながら自然消滅していくのを待ちます(笑) 個人的にはこの近接撮影の手法はイジっていて楽なので、手持ち在庫分だけは処置していきたいと思っています (今後同一モデルを再び調達して出品することはもう無いと思います)。

  ●               

Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) は戦前ドイツの老舗光学メーカーの 一つで1890年創業、戦前は大判/中判からシネレンズ/ムービーレンズを含め相当な数を供給 していたようですが「Xenar (クセナー)」銘の標準レンズとしてこの当時登場しています。

いわゆる後の時代でフィルム印画紙の業界標準フォーマットになった「24 x 36㍉ライカ判」として括ると戦前ドイツKodakが1934年に 発売したレンジファインダーカメラの標準レンズがスタート地点になると思います。

この時Schneider-Kreuznachから供給された標準レンズは「Xenar 5cm/f3.5」でした。実装したレンジファインダーカメラ機は「Kodak Retina type 117」で右写真になりますが、Kodak製のEktar 5cm/f3.5をコンパーラビットで搭載したモデルも他にもあるようです。

その後1936年ライプツィヒ見本市でIhagee Dresdenの前身でもあるIhagee Kamerawerk Steenbergen&Coから発表された「Kine
Exakta
(キネエクサクタ)」のセット用レンズとして供給されたモデルが「Xenar 5cm/f2.8 S2.8 (exakta)」であり、開放f値「f2.8」版のクセナーとしては初めての登場と言えます。

当時戦前ドイツでは開放f値の競争がスタートしていましたが「Tessar 5cm/f3.5」で競った後、すぐに「Tessar 5cm/f2.8」に対しても各社が鎬を削ることになります。

左写真はこの当時「Kine Exakta」用にSchneider-Kreuznachから供給されていた「Xenar 5cmシリーズ」ですが左側「S3.5」 の開放f値:f3.5で、右側「S2.8」の「f2.8」モデルです。共に最短撮影距離:75cmのズッシリと重みを感じる総真鍮 (黄銅) 製です。

特にこの当時のこれら「S付のクセナー5cm」は製産台数自体が大変少ないので市場でも高額取引されていたりします (特に光学系の設計が超珍しい)。逆に言うと当時他社製品でも意外に多く出回ってきた開放f値:f2.9ではダメで、損得別で特異な光学設計を採ってでもCarl Zeiss Jena製Tessarに対抗する意地があったのではないかとも考えられます。鏡胴に「S3.5/S2.8」刻印があるのですぐに分かりますが、例えば特異な光学設計を実装してきた「S2.8」モデルは何と3枚玉トリプレットから発展系として5群5枚だったらしいので想像できませんね!(笑)



上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。

一段目
左端から真円でキレイなエッジを伴うシャボン玉ボケが破綻して溶けていく様をピックアップしています。3群4枚のテッサー型構成でもこれだけキレイなシャボン玉ボケを表出できるのがさすがです。シャボン玉ボケを表出できるモデルの場合は必ず一番右端のような液体で滲んでいるような独特なボケ味「液ボケ」も写すことができますね。

ちなみにこれらピックアップした実写は全て「M42マウントのEdixaタイプ」や「deckelマウント」などは除外しているので、おそらくPaxette版かその他のレンジファインダーカメラ向けモデルのXenarと推測できます。するとそれぞれで傾向が同じであることが分かります。

二段目
左側2枚は背景の収差ボケとして載せました。収差と言ってもザワザワと明確に煩く際立つ収差には至りにくく、どちらかと言うと滑らかに滲んで溶けてしまうので違和感の無い背景に落ち着くことが多いようです。また右側2枚はフレアの影響をピックアップしており、シ〜ンによってはピント面のエッジに微かなハレを伴う独特な印象の写真を残せます。旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製Tessarではまさしくこのような描写は現せないので、Schneider-Kreuznach製モデルの特徴にも入るかも知れません。

三段目
決してコッテリ系とまでコントラストが高く出て色が乗ってしまう表現性ではなく、然しご覧のように明確な発色性を示す深みのある色合い、或いは鮮やかな色合いなど、凡そ違和感に至らないコントラストの高さが好感を持てます。またシアン寄りに振れている分ブル〜レッドの表現性に深度を感じられるので大変リアルな写真を残せます。一方右側2枚を観ると明らかにダイナミックレンジの広さを如実に語っており、濃淡表現だけでも淡い階調表現の違いがちゃんと写し込めるのがたいしたものです。それはカラー成分が無い (256階調幅のグレースケールの世界) たる白黒写真でもシッカリとその階調幅を表せているので、まさに明暗部の耐性の強さとして一つ特徴的と言えるのではないでしょうか。

光学系は典型的な3群4枚のテッサー型構成ですが、初期の頃の
テッサー型光学系の特徴を如実に示すコンパクトな貼り合わせレンズ (後玉) になっています。

右図は今回のオーバーホールの際にバラした光学硝子レンズを、当方の手で逐一デジタルノギスで計測してトレースした構成図です。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造は理に適った設計を執っており、且つ鏡胴は「前部/後部」の二分割方式なのである意味簡単な部類ですが、実は今回のオーバーホールでも大変でしたがこのモデルの難しさは「微調整」にさすがに閉口です(笑) 例えばこの当時のオールドレンズの中には確かに鏡筒の位置を何処で固定すれば良いのか非常に厄介なモデルもあったりしますが、今回のモデルで難しい微調整と言うのはそう言うレベルの話ではなくて、鏡胴が「前部/後部」で二分割方式を採っているにもかかわらず「ヘリコイドのネジ込み位置で鏡胴の前後に関係なく全てが決まる」と言う話です。

つまり無限遠位置を微調整しただけでヘリコイドのネジ込み位置からしてガラッと変わるので、必然的に鏡胴「前部」の例えば絞り環の (ベース環の) 固定位置まで変わってしまうのが厄介なのです。逆に言えば最後の最後で無限遠位置が決まったところで再び完全解体まで戻って組み直しを強いられるのがちょっと苦痛だったりしました (無限遠位置をイジるたびに全部バラすハメに陥る)(笑)

普通一般的に鏡胴が「前部/後部」の二分割方式なら、影響を受けるのは「前部だけ」或いは「後部だけ」になることが多いのですが、今回のモデルはそうならないのです(笑) するとではいったい何の為に二分割で設計したのかと言う疑念が湧いてきますが、明確に言い切れるのは「このXenarはPaxetteだけでしか使わない前提の設計」だからこそ、製産工程の中で専用の治具を用意していれば特に問題になる事もなかったと推察できます (つまり無限遠位置は特定の位置で決まっているのでそもそも組み直しが発生しない)。

ところが当方ではオーバーホールの中で一応マウントアダプタとの相性問題まで考慮した位置で無限遠位置を決めようとするので (無限遠位置が変わるので) そのたびにバラす/組み直すハメに陥った次第です(笑)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。冒頭解説のとおりこのモデルは鏡胴が「前部/後部」と分かれる二分割方式なので、ヘリコイド (オスメス) は鏡胴「後部」側に配置されています。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑15枚もある絞り羽根を1枚ずつ組み付けて絞りユニットを完成させたところです。写真だけ見るといとも簡単にセットできたように見えますが、実は上の写真は既に2時間経過したところで撮っています(笑)

一つ前の工程写真で絞り羽根の写真を見ると分かりますが、絞り羽根に表裏で打ち込まれているキーのうち「開閉キー」側の突出量が非常に少なく「小さくて低い突出のキー」なので、絞り羽根を1枚ずつセットして重ね合わせていくと「途中で既にセットした絞り羽根が外れていく」ために、だいたい9枚目をセットした辺りから浮き上がるようになってきて最後のほうの12枚目辺りでは必ず外れてヤリ直しになります(泣)

さらに厄介なのが「絞り羽根のカタチ」です。くびれている箇所の特にカタチがついている部分で隣接する絞り羽根が咬んでしまい動かなくなります (1枚ずつ順番に潜り込まずに逆に重ね合ったりするから)。

つまり絞り羽根を1枚ずつ重ねる際はちゃんと潜り込ませつつ重ねるのですが、既に重なっている箇所は見えなくなっています。すると絞り羽根が角度を変えた時に「クビレのカタチ部分で重なり方が逆転した箇所で咬んでしまう」状況に陥り、絞り羽根が咬んで動かなくなるばかりか、下手すれば咬んだ箇所で凹んだりしてしまいます(怖)

従って様々なオールドレンズをバラしてオーバーホールしていると時々このような状況に遭遇しますが (古い時代のモデルに多い)、特に自ら整備している人が前の写真を見ると薄々気が 付いたりできます(笑)

その理由は「内壁が位置決めキー側の穴 (大きい方) を邪魔している」問題です。この場合絞り羽根が重なり合うと内壁との隙間に入ってしまい重なり合っている (見えないクビレ部分) 箇所の重なり方をチェックできません。

逆に言えば整備している人以外はなかなか分からないので、要は組み付けが難しいので2時間経ってしまったと受け取るよりは「当方の技術スキルが低すぎるので2時間経ってしまった」とご認識下さいませ(笑)

当方の技術スキルは低いです・・(笑)

SNSで当方を批判している人の言い分をみると「自分でブログに記載しているくらいなので スキルが低い事を認めているから間違いない」との事、まさしく仰る通りです・・!(笑)

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上側が前玉側方向になります。すると「開閉環」に一つネジが刺さって「開放側停止キー」の役目になっています。つまり開放時に必要以上に絞り羽根が開きすぎないよう設計されています。

逆に言うなら、もしも仮にこの停止キーなるネジが存在しなければ「絞り羽根がさらに広がる」仕組みになっているとも受け取れます。

実は前述の工程で絞り羽根を1枚ずつ重ね合わせて組み込んでいる時がまさにその状態を指します。当然ながら絞り羽根を重ね合わせている最中なので「開閉環も停止キーも関係ない」状況ですから、必要以上に広がっている角度で重ね合わせてしまう事も考えられます。

そして実際にその角度で重ねてしまった時に、重ね合わせた前の絞り羽根と咬んでしまう (実際は重なっているので視認できない) 現象が起きるワケです(怖)

確かに各絞り羽根が必要以上に広がりすぎて咬んでしまうのを防ぐ意味で「開放側停止キー」が用意されているワケですが、はたしてどれだけの整備者がその意味をちゃんと理解して作業できているのでしょうか(笑)

各構成パーツのみならず使っているネジ1本でさえ必ず「意味/役目がある」と断言できるので、このように「観察と考察」そして「原理原則」を熟知しているか否かがオーバーホール 工程の中で問われるシ〜ンもあるワケです(笑)

ちなみに鏡筒外壁には「絞り値キー」なる穴が切削されていたりするので、ここにカチカチと鋼球ボールがハマる事でクリック感を実現しています。

↑上の写真はまさにそのクリック感を伴う絞り環を組み付ける為に用意された「絞り環用ベース環」を一緒に並べて撮っていますが、グリーンの矢印で指し示した箇所が非常に重要です。

実は当初バラした際にこの箇所には過去メンテナンス時に「白色系グリース」が塗られていたワケですが、既に経年劣化進行に伴い変質し「焦茶色」に変わっていたりします。アルミ材削り出しのパーツなら「濃いグレー状」に変質しますが、今回のモデルは真鍮 (黄銅) 製なので
焦茶色」と言うワケです(笑)

すると容易に想像できますが、右隣の「絞り環用ベース環」が逆向きになって鏡筒に被さり 重なっている状態で「絞り環がセットされて操作される」のが組み上がった時の状況です。

この時を想像すると、塗布されたグリースは絞り環操作によって「一部が開閉環側に流入して絞り羽根が油染みになる」と分かります。つまり経年で絞り羽根が油染みしたのではなくて
過去メンテナンス時の整備者の不始末が原因で絞り羽根が油染みしている」のが正しい原因と断言できますね(笑)

正しくは「グリーンの矢印箇所は鏡面仕上げでありグリースなど塗らない」と断言できます。逆に言うとグリーンの矢印で指し示した箇所の平滑性が担保できていない限り「絞り環操作が重くなる」のは自明の理です。

と言うのも当初バラす前の時点で既に絞り環操作してクリック感をチェックすると「シッカリとクリックしているような印象で少々硬め」と言う印象だったので、その原因がそんな過去 メンテナンス時の経緯だったワケです(笑)

当方がよく述べている「観察と考察」とは、このような効果が期待できるワケで、単にバラしてグリースを塗って元の逆の手順で組み戻している整備者のやり方だと「適切な状態に組み 上がらない」というのがご理解頂けるのではないでしょうか(笑)

実際今回のオーバーホールでは「適度なクリック感」へと変わったので、組み上がった個体の絞り環操作をすると「その感触がチョ〜気持ち良くて癖になる」と言えるほど「クンクンと クリック感の感触が楽しい」ワケです。クリック感は「カチカチ」ではなくて「クンクン」と言う感触の表現なので、その理由が後の工程で出てきます(笑)

↑「絞り環用ベース環」を被せて完成した状態を撮りました。このように「絞り環用ベース環」はひっくり返った状態で被さります。

↑さらに完成した鏡筒を今度は横方向から拡大撮影しています (写真上側が前玉側方向)。「開閉キー」なるネジが見えていますが、その赤色矢印で指し示した箇所の内部に前述の「開放側停止キー」が入っています。

つまり「絞り環用ベース環」が操作され回るとブルーの矢印のように「開閉キーが移動する」ワケですが、左側の端部分は「停止キーがあるので直前で止まる」設計です。

これが要は「絞り羽根が必要以上に開きすぎるとヤバい」事の意味であり、どうしてそんな ネジがワザワザ用意されているのか、ちゃんと理由が理解できたのかどうかがこんなところで問われる次第です(笑)

ちなみに「板バネ」と赤色矢印で指し示していますが「弧を描いたハガネ」が板バネであり、この中に小さな鋼球ボールが1個だけ入っています。その鋼球ボールが前述の「絞り値キーと言う穴」にハマるのでカチカチとクリック感が実現できている設計ですが、当方が「カチカチではなくてクンクンと表現した理由」がまさにこの「板バネ」の存在なのです(笑)

本当ならこの「板バネ」を締め付け固定する締付ネジは「右側に2本」あったハズなのですがどう言うワケか1本だけになっていて楕円の穴部分には締付ネジが入っていません。

おそらく過去メンテナンス時に整備者が故意にワザとを外してしまったのでしょうが、当初 バラした直後はこの楕円の穴側に締付ネジが刺さっていました。

さらにこの穴が「楕円になっている理由」があって、ネジ穴に対して「板バネ側が楕円の穴」なので微調整機能なのだと言えます (締め付け位置を左右に微調整できる仕組み)。

何を言っているのか・・???(笑)

要は板バネの強さをここで微調整しているワケですが、前述のように過去メンテナンス時の 整備者はグリースを塗っているので、結構本格的にカチカチと強めのクリック感になっていたハズです。

ところが当方はグリースを塗っていないので (単に鏡面仕上げに戻しただけ) この「板バネ」の締め付け固定は楕円の穴側で締め付けた場合に「経年操作で板バネが万一ズレると鋼球ボールが外れる原因に至る」のが一目瞭然です。従って当方のオーバーホールでは「楕円ではない 締め付け固定専用の真円の穴のほう (右側の穴) を使った」締め付け固定にしている次第です。

こうする事で経年で板バネが勝手にズレる懸念が相当低くなり安心です (逆に言えば板バネの穴が楕円と真円の2種類である理由がちゃんとある)。

残念ながら過去メンテナンス時の整備者は何も考えずに締付ネジを使っていましたが (しかも1本外している/使っていない) 適切に組み上げると必ず締付ネジでさえもこのように「使い方がちゃんとある」ワケです(笑)

こういうのが「観察と考察」の結果と効果であり、同時に「原理原則」に基づいて考察すると自ずとその対策が明確になってくると断言できますね(笑)

よく当方がオーバーホールで「適切に微調整した」とか「適切な状態に組み上げてある」などと明言していると「どうして整備マニュアルなど無いのにそんな事が言えるのか/分かるのか」と例のSNS批判者などの言い分に至っていますが (それを以てしてウソと言われている)(笑)、 ご指摘の通りサービスマニュアルなど当然ながら一つもありませんが(笑)、そんなモノを見ずとも、或いはいちいち各工程でチェックせずとも「観察と考察」さらに「原理原則」だけで 各構成パーツの使い方や処置、或いはネジ1本に至るまでの使い方がちゃんと分かるのです。

その意味でむしろ過去メンテナンス時の整備者のネジの使い方のミスを発見したりしている くらいです(笑) 多いのはM42マウントのオールドレンズで絞り連動ピンの制御をしている「マウント部内部の留具の使い方ミス」により故意にワザとパーツのカタチを変形させていて「ムリヤリ正しく絞り羽根が開閉するよう処置されている」個体に何回も遭遇しています(笑)

当方のオーバーホール工程では逆にそれら変形させられてしまったパーツを「元のカタチに 逐一戻してから組み上げている」ワケで、何とも余計なことをしてくれるものです!(笑)

なお絞り環操作時のクリック感の印象を「クンクン」と表現しているのは、この「板バネと その固定方法」を適切に処置したので「クリック感が軽くなった」から「カチカチではなくてクンクン」と言うクリック感の表現が最も適切な印象表現になっているワケです。

この感触を知ると気持ちいいのでついつい用も無いのに絞り環操作してしまいます!(笑)

そしてそこまでして「絞り環操作時にこだわった理由」がまた後で出てきます(笑)

↑フィルター枠をセットします。

↑実際に絞り環を被せるとこんな感じに仕上がります。

↑これで鏡胴「前部」はほぼ完成なので、この後は鏡胴「後部」の組み立て工程に移ります。 ヘリコイドのネジ山は上の解説のとおり2種類のネジ山が用意されており、一方が「ヘリコイドメス側」であり他方は「距離計連動ヘリコイド」とその用途と役目が全く別モノです。

但し「距離計連動」と言ってもあくまでも「Paxette版の話」であってライカ判、特にバルナックライカなどの距離計と同じ仕組みではありません。距離計連動の目的はライカ判と同一ですが (ファインダーでのピント合わせ) その概念は全く別モノと言うワケです。

↑ヘリコイド (オス側) を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込んで距離環を仮止めするとこんな感じです。このモデルでは全部で7箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑さらに途中の工程で撮った写真ですが、ヘリコイド (メス側) ネジ山には解説のとおり「抵抗/負荷/摩擦」がかかるように切り込みが入れてあり、且つ板バネのような概念で設計されています (内側方向/グリーンの矢印方向に対して抵抗が発生する)。

グリーンの矢印が下方向に向いているように見えてしまいますが、正しくは内側方向です。 つまりヘリコイド (オス側) に対してこの位置で抵抗の影響を受けるよう設計されているワケ です。

その理由が実はこの先上の写真下部にネジ込まれる「距離計連動ヘリコイド」の存在であり、且つ「直進キー」はその距離計連動ヘリコイド側にだけ存在してしかも1本しか無いのが問題になります。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品するこの個体は「Paxetteカメラで使わない前提」として出品しています。今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着して「なんちゃってマクロ/疑似マクロ化」を楽しんで頂くつもりで用意しています。

すると当然ながら「距離計連動する必要性がゼロ」と言えますが、今回ちゃんと距離計連動 ヘリコイドが機能する状態で一度組み上げたところ「マウント面がクロームメッキ加工なので内面反射でコントラスト低下を招いた」のが仕上がってから問題になってしまいました(驚)

つまりマウントアダプタに装着して実写してみたらとても多くの写真で「コントラスト低下/ フレア発生」に悩まされました。その因果関係は一目瞭然でマウント面が反射しているのが問題だったのです。

そこでマウント面に反射防止黒色塗料を着色するのですが「距離計連動ヘリコイドが機能しているとどうしてもクロームメッキ部分が残る」ことから「敢えて/仕方なく距離計連動機能を 無効化」と言う組み上がりに至りました。

この個体はPaxetteカメラに装着しても距離計連動せず目測撮影しかできない

・・のでご留意頂く必要があります。と言うかPaxetteカメラに装着しても全く使えません! その理由は「フランジバックを変更しているから」です。

そんなワケでその理由や解説などもこの後でちゃんと行いますが、取り敢えずは完成している鏡胴「前部」に光学系前後群を組み付けてから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) を それぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。ご覧のとおりとッても小っちゃなパンケーキレンズです!(笑) 総真鍮 (黄銅) 製のズッシリと重みのある非常に堅牢な構造です。

光学系のコーティングは前玉から見ても後玉を見てもどちらも「パープルアンバーブル〜」の3色に光彩を放つ「本来ならSchneider-Kreuznachの刻印がレンズ銘板に入るべき」とも言えるコーティング層蒸着です。

↑当初バラす前のチェック時点では一部にカビの発生とクモリが少々残っていましたが、もちろん絞り羽根は本格的に油染み状態でした(笑)

光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体で、LED光照射でもコーティング層の経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。おそらくご落札者様お一人様だけですが、光学系内を 覗き込んだら「おぉ〜!」と唸ると言うくらいに「スカッとクリア!」です(笑)

よく光学系内がクリアだと事前に出品の際に明言されていることが多いですが、実際にカビを除去する薬剤を清掃時に塗布すると「油膜で弾く」のでクリアに見えても「油膜が存在しない理由にはイコールにならない」と言えますし、そもそも相当な「絞り羽根の油染み」が起きているならコーティング層に経年劣化を促す油膜の存在は決して否定できないと当方では考えています。

逆に言うと、当方のオーバーホールでは「目視の有無に限らず必ずカビの除去薬で1枚ずつ 光学硝子レンズを清掃する」ので、その時にサ〜ッと油膜の影響を受けて薬剤が弾かれるので「コーティング層上の油膜の存在を知る事ができる」次第です。

何故ならカビ菌の胞子や菌糸そのモノは目で見て視認できるほど大きくなく、たいていの場合はコーティング層上に癒着してしまった経年の揮発油成分のせいで「胞子/菌糸が留まっている状態」なのを、当方では非常に問題だと認識しているワケです。

従ってオールドレンズをバラして光学硝子レンズを清掃しない手は絶対にありませんね(笑)
むしろその為にバラしていると言っても良いくらいです。それほどに製産されてから経過した年数は優に半世紀を超えているので、既に光学硝子レンズに製産時に蒸着されたコーティング層は「経年劣化進行に拠り限界を超越している状況」なのが必然ではないでしょうか?!

だとすれば、今後さらに半世紀以上頑張ってもらうには「光学硝子レンズに影響を来す要素は100%完全除去」が当方にとっては基本中の基本です。どんなに操作性が良くて快適だとしても吐き出す写真が低コントラストで霧の中の写真では誰も使わなくなって「やがて消えていく運命」なのが容易に想像できるので、1本でも多くのオールドレンズを50年後に残したい気持ちとなれば「1本でも多くオーバーホール」したい気持ちで焦りが出て(笑)、そしてそれは「1本でも多く光学硝子レンズを清掃したい!」というのが当方の最終的なゴールです(笑)

従って決して「技術スキルが高いです」とか「当方はプロです」などとは口が裂けても言えないワケで(笑)、やっていることはただただ単に「光学系の清掃」が目的なだけであり、その為には「最低限に必要なグリースしか使っていない環境を用意する」事こそが「そのオールド レンズ個体の幸せ!」なのだと自負しているからです(笑)

はいッ! オールドレンズが幸せを感じているならそれが当方にとっての幸せでもありますね!(笑)

・・とは言いつつも今までに扱った個体数3,000本の中でいったいどんだけの「幸せ」を用意できたのかと問われれば、残念ながら「半分にも満たない」のが現状であり、その際たる因果関係が「技術スキルの低さ」とも言えるのではないでしょうか。

何だョ! 偉そうなこと言ってそんな程度か!」と言われるのがオチなのです(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側ももちろんLED光照射しても極薄いクモリが皆無です。実は当初バラす前の時点では後玉の外周部分は過去メンテナンス時に着色された反射防止黒色塗料でだいぶ内側に出ていたのですが、今回のオーバーホールで光学硝子レンズを清掃していたら「シルボン紙が黒っぽく汚れた」ので「反射防止黒色塗料のインキ成分が飛んでいる」と判断し全ての「光学硝子レンズコバ端の着色」或いは「締付環の着色」を一旦当方にて溶剤で除去した後、さらに組み上げ時に必要なら再着色する処置を講じました。

その結果「後玉には着色せず」としたのが上の写真の状態です。次の3枚の写真をチェックすると分かりますが、実は絞り羽根がギリギリまで迫り出しているので「後玉を着色すると言う事は入射光量を故意にワザと減らしていることに繋がる」と判断したので、敢えて今回の組み上げ時には着色しませんでした (ちゃんと理由があっての事)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:16点、目立つ点キズ:10点
後群内:19点、目立つ点キズ:14点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い2ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑当初バラす前のチェック時点では盛大な油染み状態だった15枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。筐体外装を光に翳して反射させてチェックすると「細かい擦り傷やヘアラインキズが経年相応に残っている状況」ですが、一応ピッカピカにしてあります(笑)

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・総真鍮(黄銅)製の為ヘリコイド駆動は独特なツルツルした印象の操作感(トルク感)になります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・回転式ヘリコイド駆動なので絞り環操作でピント位置がズレます。絞り値をセットしてからピント合わせする撮影手法が有効だと思います。
・距離計連動機能は無効化してあるのでレンジファインダーカメラPaxetteに装着しても目測撮影になります。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑こんな感じでぺっちゃんこな筐体なので小っちゃなパンケーキレンズと言うワケです(笑)
そのくせ一丁前にズッシリと重みを感じる総真鍮 (黄銅) 製ですね。

実際にこの個体を使って撮影するとすぐに分かりますが、実は開放付近の絞り値で使っているとピントの山がほとんど分かりません(笑) 光学系が3群4枚のテッサー型なのですが、それにしては意外にもピントのピークが不明瞭なので、旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製Tessarなどに慣れている人には「???」にしか見えないかも知れません。

今回のオーバーホールで特にこだわった要素は以下になります。

(1) フランジバックの微調整 ・・・・・・・・・・・
Paxetteのフランジバックは「44㍉」なのは周知の通りですが、そのつもりでフランジバック計算すると本来なら問題なくこのまま使えるのに、現実として実際にマウントアダプタに装着して撮影使用すると完璧にズレています。この因果関係はマウントアダプタとの精度誤差によるフランジバック超過しか原因がありません。それはネジ山の切削精度や設計そのモノの問題もあるかも知れませんが、その対象になる相手はマウントアダプタ側だけの問題だけではなくて、このオールドレンズ側の問題も必然的に含まれています。従ってどちらがどれだけ誤差として影響を来しているのかの「判定」がまずは必須になってきます (そうしないと改善の処置 方法すら確定しないから)。

そしてそれは最終的に「マウント面に附加したフランジバック環の微調整」しかあり得ませんが、前述のとおり無限遠位置をちょっとイジるだけで組み直し作業の嵐になります。従って「フランジバック環の位置確定」がまずは大前提になりますが、その為に何度も何度も組み 直し作業を経ている話になります。

(2) 絞り環と距離環の操作性の微調整 ・・・・・・・
このモデルはまずほとんどどこのサイトにも明記されませんが「回転式ヘリコイド駆動方式」なので、絞り環は距離環を回すと一緒に回っていってしまいます (つまり指標値が真上に来ない)。従って「距離環側を重目のトルク感に仕上げて絞り環側を軽めに設定できれば一番快適 な操作性に至る」ワケですが、それができません。

理由は前述「ピントのピークが不明瞭」から頻繁にピントの山前後で微動させてピント合わせする事に陥ると容易に推測できるからです。「距離環側トルク感をできれば軽く仕上げたい」と言う気持ちが湧いてきますが「絞り環側はクリック感操作」なので、それが重すぎると
(クリックがシッカリしていると) クリックさせただけでアッと言う間にピント位置はズレズレになりピント合わせしている意味がありません。従って「可能な限り距離環も絞り環も共に 軽く仕上げたい」のですが、そこには「絞り環のクリック駆動との相反する矛盾」を伴うワケで、コトバでは簡単に言えますが実際に微調整すると「無限ループ作業」みたいな話に至り ます(笑)

つまり何処かで妥協が必要と言うのが最終的な結論です・・(泣)

(3) 距離計連動ヘリコイドの無効化 ・・・・・・・・
結局最終的に実写してみると低コントラスト/解像度低下などシ〜ンによって影響が現れるので「フランジバック環内側のマウント面を反射防止黒色塗料で着色する必要がある」ワケですが、如何せん距離計連動ヘリコイドが機能していると着色ができません。従って「距離計連動ヘリコイドを無効化」した上で着色して仕上げています。

↑その結果上の写真のとおり「フランジバック環」の内部は可能の限り「反射防止黒色塗料で着色」しています。前述のとおり「距離計連動ヘリコイドは無効化済」なのでご留意下さいませ (フィルムカメラのPaxetteに装着しても使えません)。また上の「フランジ環」は回したり外そうとしたり絶対に手を加えないで下さいませ。もしもそのような処置をした場合「無限遠位置が大きくズレる」事をご覚悟下さいませ。

↑今回のヤフオク! 出品に際し附属品を揃えました。

《出品の附属品》
marumi製UVフィルター (新品購入)
本体Xenar 50mm/f2.8《Pxette版》(M39)』
フランジバック環 (M39マウント化/未接着)
 汎用M39樹脂製ネジ込み式後キャップ (新品購入)
汎用M39樹脂製ネジ込み式ボディキャップ (中古品)
M39→LMマウント変換リング (新品購入)
LM→SONY Eマクロヘリコイド付マウントアダプタ (新品購入)
エクステンション10mm (新品購入)
SONY Eマウント樹脂製後キャップ (新品購入)
SONY Eマウント樹脂製ボディキャップ (エクステンション附属品)

エクステンション16mm (新品購入)
SONY Eマウント樹脂製後キャップ (エクステンション附属品)

他にフィルターケースが箱の中に入ってますが特にこのフィルターが「特殊径⌀29.5㍉」であり、且つフィルターにはネジ切りが用意されていませんからご留意下さいませ。これだけ附属させると全部で1万円を越えています(泣)

↑上の写真は実際にマウントアダプタに装着した状態を撮っています。

《上の写真の状況》
marumi製UVフィルター (新品購入)
本体Xenar 50mm/f2.8《Pxette版》(M39)』
フランジバック環 (M39マウント化/未接着)
M39→LMマウント変換リング (新品購入)
LM→SONY Eマクロヘリコイド付マウントアダプタ (新品購入)
エクステンション10mm (新品購入)
SONY Eマウント樹脂製後キャップ (新品購入)

この「10㍉厚のエクステンションアダプタ」まで装着した状態で「オリジナル仕様を満たす 前提で仕上げてある」ので、ブルーの矢印のようにマクロ付マウントアダプタのローレット
(滑り止め) を操作しなければ「オリジナル仕様のまま」であり、ローレット (滑り止め) を少しでも回して繰り出したら「なんちゃってマクロ」の近接撮影状態に変化します。

つまりここで「ローレットを回すか回さないかがオリジナル仕様状態となんちゃってマクロとの分かれ目」なのであり、単純にローレット操作だけで感覚的に使えるよう配慮してあります (つまりそれだけ撮影に専念できると言うお話)。

↑上の写真はそのローレット (滑り止め) をまだ繰り出す前の状態を撮っていますが「∞」位置の状態を撮っています。

↑そこで今度は距離環を回して「最短撮影距離1m」まで鏡筒を繰り出した状態が上の写真です。まだこの段階ではオリジナルの仕様のままなので (ローレットを回していないから) 最短 撮影距離も1mのままと言う話です。

ここでローレット (滑り止め) を回して (ブルーの矢印①) リリースボタンの位置まで回しきるとズズ〜ッと「筐体全体が最大で5㍉分繰り出される」ワケです (ブルーの矢印②)。

↑ローレット (滑り止め) を回しきって「リリースボタンに突き当て停止」した時の状態です。筐体全体が「5㍉分繰り出し」している (ブルーの矢印) のが分かります。

↑さらにこの状態のまま向きを変えて反対側を撮影しました。既にローレット (滑り止め) を回しきって5㍉分繰り出ししている (ブルーの矢印) わけですが、ここで今度はローレット (滑り止め) を戻して回す (ブルーの矢印③) と繰り出していた筐体はず〜ッと収納されていきます (ブルーの矢印④)。同じように「リリースボタン」にカチンと突き当て停止するまでローレット (滑り止め) を回すと「オリジナルの仕様に戻る」ワケですね(笑)

↑今度はエクステンションを「16㍉厚」のほうに付け替えました。

↑さらにダブルでエクステンションを装着した時の状態です。

《近接撮影の状況》※マクロヘリコイドの5mm分繰り出しで疑似マクロ化
エクステンション (10mm) +マクロヘリコイド回さず → 仕様1mのまま
エクステンション (10mm) +マクロヘリコイド (5mm) →45cmまで近接
エクステンション (16mm) +マクロヘリコイド (5mm) →30cmまで近接

エクステンション (10/16mm) +マクロヘリコイド (5mm) →25cm近接

従って感覚的に撮影したいシ〜ンによってマクロ付マウントアダプタのローレット (滑り止め) を回したり、エクステンションを付け替えたりするだけで「無限遠位置は既に適合化させてあるので考える必要が無い」ので撮影に専念すれば良いだけの話です(笑)

このような使い方が便利と考えそもそも扱いはじめたのですが、如何せん人気が無いです!(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1mでの開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少フレア気味だったりします。

↑同じ最短撮影距離での開放実写ですが、ローレット (滑り止め) を最後まで回しきったので『なんちゃってマクロ』状態であり、最短撮影距離は「45cm」まで短縮化されている状態での撮影です。同様手前側ヘッドライトの電球にピントを合わせています。

↑さらにこちらはエクステンションを「16㍉」に付け替えて撮影しています。最短撮影距離は「30cm」に縮まっています。

↑そして最後の「エクステンションダブル使い」で「10㍉16㍉」での撮影で最短撮影距離は「25cm」まで寄れました。いずれもここまでは開放実写です。

↑同様に今度は絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影していますが、1枚目がオリジナル仕様状態でローレット (滑り止め) を回していない状態です。2枚目がローレット (滑り止め) を回して最短撮影距離「45cm」であり、次の3枚目が「30cm」に最後が「25cm」です。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮っています。1枚目オリジナル「1m」の最短撮影距離で2枚目が「45cm」2枚目「30cm」最後「25cm」の近接撮影です。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」での撮影です。

↑f値「f16」です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。一部で「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。