◎ Carl Zeiss Jena (カールツァイス・イエナ) Werra Flektogon 35mm/f2.8

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カールツァイス・イエナ今回の掲載はオーバーホール/修理ご依頼分のオールドレンズに関する、ご依頼者様へのご案内ですのでヤフオク! に出品している商品ではありません。写真付の解説のほうが分かり易いこともありますが、今回に関しては当方での扱いが初めてのモデルでしたので、当方の記録としての意味合いもあり掲載しています (オーバーホール/修理の全工程の写真掲載/解説は有料です)。

Werra (ヴェラ) は、旧東ドイツのCarl Zeiss Jenaより1954年から発売されたコンパクトなフィルムカメラのシリーズです。モデル・バリエーションは「Werra Ⅰ」〜「Werra Ⅴ」まであるそうですが、当方はフィルムカメラのことはほとんど知識がありません。

今回はこの「Werra Ⅲ」以降でレンズ交換式になったタイプの専用オールドレンズ「Tessar 50mm/f2.8」と「Flektogon 35mm/f2.8」のオールドレンズ/修理ご依頼です。

ご依頼頂くまで当方も知らなかったのですが、このWerraの交換レンズ群をミラーレス一眼に装着できるようにするマウントアダプタが用意されていました (最近円安であまりebayをチェックしないので・・)。今回はSONY製Eマウント用と富士フィルム製FXマウント用の二つのマウントアダプタが附属していました。

もちろん当方での扱いは今回が初めてですが、マウントアダプタのほうに関しては人様の商品なのでオーバーホールの工程写真は掲載できません。一応、マウントアダプタと言ってもスピゴット式なのでフィルムカメラのボディ側受け機構部が必要であり、それを装着させたマウントアダプタのようです。いわゆる自作なのかも知れませんが、接着されているワケではなくシッカリと固定用ネジで締め付け固定されている構造でした。このボディ側のスピゴット機構部もバラして清掃していますが、同時に当方にて「光沢研磨」を施していますので、だいぶキレイになっていると思います。


ここからは同じくWerra用交換レンズ「Flektogon 35mm/f2.8」のオーバーホールに入ります。

すべて解体したパーツの全景写真です。

Werra(0411)31ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。

Werra(0411)32光学系は5群6枚のレトロフォーカス型なので、絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒も奥行きが深いです。

Werra(0411)33同じく6枚装備の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。

Werra(0411)34テッサー同様マウント部を兼ねた基台になります。

Werra(0411)35ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。同じ工程ですね・・。

Werra(0411)36上の写真を撮るまでの間にハマッていたので、この間の工程写真をスッカリ撮り忘れてしまいました・・組み上げの手順を間違えていたので、少々ハマッていました。上の写真は、距離環 (ヘリコイド:オス側) をネジ込んで、さらに鏡筒を組み付けています。

Werra(0411)37絞り羽根の制御機構部であり、同時にスピゴットマウント部のマウントでもある部位を組み付けた状態です。この後は光学系前後群をセットすれば完成します。

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ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

Werra(0411)38テッサー同様にスピゴットマウント部の受け側 (つまりフィルムカメラ本体側) を備えたマウントアダプタ (奥) と「Flektogon 35mm/f2.8」です。こちらは「SONY Eマウント」用のマウントアダプタになっています。

Werra(0411)41一般的なFlektogon 35mm/f2.8と同じでシルバー鏡胴のモデルに近いタイプです。

Werra(0411)42光学系が残念な結果でした。光学系は5群6枚のレトロフォーカス型なのですが、前玉 (第1群) 〜第3群までが一つの硝子レンズ格納筒に入っています。第3群は外すことができたのですが、この前玉〜第2群 (つまり前玉の次の2枚目) が全く外れません。

2枚目のガラスレンズも固定環で締め付け固定されているのですが、その固定環を回すためには「まずは前玉を外さなければならない」ワケです。しかし、前玉の固定環は接着されていました。

既に過去のメンテナンスで相当固定環の固着が酷かったようでカニ目溝の部分が削れています。当方でも挑戦してみましたが滑ってしまい外れません。仕方なく「溶剤」を流し込んだのですが、一部がレンズの内側に入っていったようです・・。

固定環に付けただけなのに「???」どうしてなのか判りません。それで変だと思い観察してみたら、固定環が少し浮いています。そして途中に詰め物がしてありました。つまり途中まで固定環を回して外したが、それ以上廻らなくなってしまったのだと推測します。それで詰め物を入れて前玉を固定させているようです。

前玉がシッカリと固定されているので特に問題はないのですが、流し込んだ溶剤が問題です。もっと早くに気がつけば良かったのですが、まさか既に固定環が緩んでいる (接着されている) とは思いもよりませんでした。普通固定環が緩んでいればカタカタと前玉のガタつく音が聞こえるからです。今回は全くガタついていなかったので予想できずにフツ〜に溶剤を固定環に付けてしまいました。

従って、今後溶剤の揮発成分が前玉の中で「気圧差」「温度差」などでレンズ面に附着した汚れがハッキリと浮かび上がる状況が起こる懸念があります。放置していれば元に戻りますが、冬に気温差のある場所で移動した時や、気圧差が生じている場所などではそのような懸念があります。

そして、今回の個体での光学系の問題なのですが、2枚目の第2群の表面がスッカリ全面に渡って曇っています。完全なクモリ状なので、これは撮影結果にそのまま影響してしまいます。このクモリ方は恐らく「コーティング層の経年劣化」によるクモリ状だと思われるので、今回バラせたとしても清掃で除去できていないハズですから、結果としては同じかも知れません。

現在、一般的なFlektogon 35mm/f2.8 (シルバー鏡胴タイプやゼブラ柄など) で非常に多いのがこの第2群〜第3群のクモリです。その意味では安易に手が出せないモデルのひとつになっています (ハイリスクだから)。逆に言えば、それほどコーティング層の劣化が進んでいる個体が多いと言うのが現状ですので、当方でもヤフオク! 出品用として調達するモデルには、このFlektogon 35mm/f2.8を入れていません。それほどリスキーなモデルと言うことです・・なお、この個体では前玉裏面にも薄いクモリが生じています。

Werra(0411)49第3群はキレイな清掃できており、透明度も高い部類です。

Werra(0411)43絞り羽根の駆動も確実になっています。

ここからは鏡胴の写真になります。同様に当方による「光沢研磨」が終わっています。

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Werra(0411)47使用したヘリコイド・グリースは同じく「白色系グリース」の「粘性:軽め」ですが、こちらの個体は非実用的な「重さ」になっています。使えないコトはないと思いますが、操作し易いトルク (重さ) とは言えない状況です。こちらの個体は当初の時点で既に距離環が空転直前のスカスカした感触でした。結果、相当ネジ山が摩耗してしまったようです・・白色系グリースを使っても改善できないのは、どうにもなりません。

Werra(0411)48こちらも無限遠が出ていないように感じます。テッサーよりも酷いかも知れませんが調整のしようがありません。

Werra(0411)50当レンズによる最短撮影距離80cmでの開放実写です。ピント面はシャープなのですが (無限遠が出ていないと思われます)、ご覧のようにコントラストに影響が出ており (画の抜けが悪い)、これは第2群の全面に渡るクモリが影響している証です。申し訳御座いませんが、当方にはどうにもできません。一度ガラス研磨をしてからコーティングの再蒸着をしない限り改善しません。