〓 Kuribayashi (栗林写真工業) C.C. Petri Orrikor 50mm/f2《前期型》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、栗林写真工業製
標準レンズ・・・・、
 『C.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』です。


今回扱う個体が累計で32本目にあたりますが、光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体ながらも、残念ながら前後玉の表面側に経年相応のカビ除去痕がLED光照射で非常に 薄く浮き上がります。写真には全く影響しないレベルですが、順光目視では視認できません

当方が栗林写真工業製オールドレンズの中からこのモデルに脚光を浴びせて、当ブログに掲載しつつもオーバーホール済でヤフオク! 出品をスタートしたのが2016年でしたから5年以上が経過しています。そもそも当時の市場価格は低く数千円で調達できたものの、当方が「即決価格:14,500円36,500円」の価格帯で何回も出品するようになると、当方と同じ同業者の『転売屋/転売ヤー』の輩が真似をして (同じような価格帯で) 出品を始め、気が付いたら・・
アッチにもコッチにも高価格帯で出品されている始末です(笑)

少なくとも当方の即決価格は「オーバーホール済での価格 (作業対価を市場価格に加算した 即決価格)」なのに、それら『転売屋/転売ヤー』どもは同じ価格帯で平気で出品してくると 言う恥ずかしさです(笑)

ボロ儲けできるとなれば恥も外聞も無いのがまさに転売屋/転売ヤー』(笑)

・・とも言えるので、そこには何のポリシーも思惑も存在せずにただただ儲け主義です!(笑)

最近になってそんな価格帯ではそもそも売れない (落札されない) のが理解できたのか?(笑) 市場価格がようやく2万円以下に下がってきましたがそれでもまだ高めに見えます (しつこいですが未整備品だから)。

市場流通品の中にも確かに距離環を回すトルクが「普通」程度のトルク感になっている個体もありますが、今まで30本以上扱ってきた経験から言うと、たいていの場合距離環のトルクは「非常に重い」状態に陥っています。

と言うのも、実は製産時点で塗布されていた純正ヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」のいわゆる当時の潤滑油系オイルタイプだったからです。バラして自分で整備している人なら知っていますが、ドロッとしたオイルの黄褐色系です。

それでも分類上黄褐色系グリースなので経年でもアルミ合金材や真鍮 (黄鋼) 材などがほぼ摩耗せず「黄褐色のオイルのままの色合いをキープ」していますが、これが過去メンテナンスされ「白色系グリース」が塗られていると「濃いグレー状に変質」してしまい、もともと白色だったグリースにはアルミ合金材の摩耗粉が混じるので色が変わってしまった次第です。

何を言いたいのか???

製産当時の純正グリースのままなら、アルミ合金材は摩耗しないまでも「重いトルクに至っていた場合ヘリコイドが変形している懸念が高い」問題に直面しますし、もしも既に過去メンテナンスで「白色系グリース」が塗られていても「ヘリコイドが摩耗してトルクムラ発生原因」に至っており、どちらに転んでもまともな仕上がり状態に復元できません。

従って当方が当モデルを調達する際には必ず光学系の状態と一緒に「距離環のトルク」の現状もチェックして手に入れている次第です。もしも重いトルクに至っていた場合「設計上の仕様/問題から改善不可能」とも言えるので要注意なのです。

左写真はオーバーホール工程の途中で撮影したヘリコイド (オスメス) のネジ込み状況を撮った写真です。

するとどうしてなのか不明なのですが、栗林写真工業では自社の全てのオールドレンズでヘリコイドが左写真のように「ヘリコイドメス側だけ肉厚が異常に薄い設計を採り続けた」と言えます。

社名がペトリカメラに変わった倒産寸前までに発売された多くのモデルを今までバラしてきましたが、ほぼどのモデルもヘリコイド (メス側) がアルミ合金材の「異常に肉厚の薄い設計」ばかりです。他方ヘリコイド (オス側) は左写真のように真鍮 (黄鋼) 製の一般的な肉厚で設計されているので「距離環がメス側のアルミ合金材のほうに締め付け固定される為に強く回すと容易に撓ってしまう」問題が発生します。

左写真では肉厚の違いをグリーンのラインで示していますが、このアルミ合金材のヘリコイド (メス側) の周囲3箇所に均等配置で「締付ネジ用の穴」が備わり、そこに距離環を締め付けて固定する「締付ネジ」が入ります。

すると「塗布されているヘリコイドグリースの質を維持できている場合は軽い操作性も維持」されますが「グリースの経年劣化で粘性が増すと途端にアルミ合金材が撓りやすくなる問題」が発生します。

そもそも柔らかい材であるアルミ合金材をこのような肉厚の薄い設計で使ってしまったのでヘリコイドグリースに頼った設計」だった事が当時の栗林写真工業の設計ポリシーだったと推測しています

逆に言うなら、当時の光学製品メーカーで似たような肉厚の薄いヘリコイド (メス側) で設計していた会社は「東京光学」くらいしか思い付きません。どちらもカメラメーカーのポジショ ニングであり「光学レンズメーカー」優先の立場ではなかったと当方は捉えています。

これは例えばNikonやCanon、或いはMINOLTAやOLYMPUSなどいわゆる光学レンズメーカーの立場からすると「グリースに頼った設計は極力避けていた」と考えられるからです。そうは言ってももちろん1950年代の戦後すぐの時期にはどの会社も似たり寄ったりの設計概念だったと考えますが、高度経済成長を経て技術革新が進むと切削レベルが劇的に向上し、同時にグリースに頼らない光学レンズの設計へと変位していったと考えています (肉厚の薄いヘリコイドを設計していた会社は少ない)。

たかがヘリコイド (オスメス) の設計概念に係る相違点ですが、特に今回のモデルではアルミ 合金材のヘリコイド (メス側) が撓ってしまう因果関係なので非常に重要な要素なのです。

《入手時の注意点》
距離環を回すトルクが重くなってしまった個体はトルク改善ができない懸念が高いので入手時に必ず確認する必要がある
(アルミ合金材のヘリコイドメス側が既に撓っている為に真円に戻せないから

今まで30本以上オーバーホールしてきた経験から「軽い操作性で (違和感なく) ピント合わせできるトルクに仕上げる」前提条件とも当方では受け取っています。

なおこのモデルの優れた描写性能や当時の背景などについては、以下でご案内している当方 ブログのオーバーホール工程ページをご覧下さいませ。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はC.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は「光学系内の透明度が高くトルクが軽めで操作性が良く外観もキレイで附属品多数」と言う良いこと尽くめです!(笑)

↑光学系内透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。但しそうは言っても前後玉表面側には経年並みのカビ除去痕が残っており、LED光照射で視認できます (順光目視できず)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群もLED光照射で極薄いクモリが皆無です。今回の個体は「前期型」なので光学系後群のコーティング層は「ブルシアンブル〜」の光彩を放つタイプのほうで、どちらかと言うとすぐ後に仕様変更した「アンバーパープル」のコーティング層のほうが実は市場流通品の中では多めです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:13点、目立つ点キズ:7点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:11点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い15ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑10枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に仕様上の円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・附属品の純正UVコニフィルターは清掃済ですが、経年相応の微細なキズが残っています。他金属製フードや前キャップなどにも相応のキズや凹みが残っています。革ケースは一部剥がれている箇所や切れている箇所があります。

↑一応神経質なご落札者様がいらっしゃるので多少大袈裟にオーバーホール後の状態を記載しています。距離環を回すトルク感は「重め」としていますが、当方の認識では「普通」程度で決して重く感じず、特にピントあわせの際の前後微動などは軽い操作性で確実にできるので違和感は無いと思います。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑今回出品個体には純正の附属品が結構多くセットされています。おそらくこれだけ純正品を揃えようとすると相当な時間が必要だと思います。

↑純正のコニフィルターはネジ切りがさらに先に用意されていないタイプなので、この先に装着する純正金属製フードはハメ込んでネジで締め付けるタイプです。一応フィルターなども全て清掃済ですが経年のキズなどはそのまま残っています。

↑実際に純正金属製フードをスナップ式にネジ止め装着するとこんなふうになります (前述のコニフィルターの上にセットした状態)。

別にフィルター枠に普通に⌀ 49㍉のフィルターを装着するなら市販品が使えますし、もちろんフードもネジ切りタイプをセットできます。あくまでも純正品が欲しい方には調度良い組み合わせでの出品という意味合いです。

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはハレーション気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」での撮影です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。「回折現象」の影響が極僅かに現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。