〓 Carl Zeiss Jena (カールツァイス・イエナ) Biotar 5.8cm/f2 T black《前期型−III》(exakta)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツの
Carl Zeiss Jena製標準レンズ・・・・、
 『Biotar 5.8cm/f2 T black《前期型−III》(exakta)』です。


この当時 (戦前〜戦後) に発売された旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製標準レンズ「Biotarシリーズ」には幾つかモデルバリエーションが存在しますが、特にこのシルバー鏡胴に於いて「初期型中期型」のモデルに関し、マウント規格が「M42マウント」だった場合にビミョ〜なマウント規格の相違が顕在します。

M42マウント」ならどれもネジ込み式マウントで「内径:⌀42mm/ピッチ:1mm」で 同じだと言われれば、確かにその仕様で同一ですが、実はマウントネジ山のネジ切りスタート位置の相違があります。

当初このマウント規格が登場した初期の仕様ではフランジバックが「45.74mm」でした。 しかし現在一般的に採用されている「M42マウント」規格のフランジバックは「45.46mm」です。また現在市場に流通している殆どのマウントアダプタが「フランジバック45.5mm」で1桁分丸められて設計されていることが多いように思います (根本原因は日本製マウントアダプタが採用してしまったから中国製が真似ている話)。このフランジバックの相違についてはwikiでも触れられていますが詳細の記載がありません。

↑上の写真は過去に扱った「中期型」モデルの写真から転載しましたが、マウント規格が「M42マウント」ながらもネジ切り部分の先にさらに突出がある事から、フィルムカメラに 装着して使う場合「ミラーとの干渉問題」の懸念がありますし、特に今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着する際は右端の写真のように「マウントアダプタ内側のピン押し底面に突き当たってしまい最後までネジ込めない」問題に直面します。

これは突出部分の外径よりもマウントアダプタ側の「ピン押し底面の内径のほうが僅かに小さい」ことから最後までネジ込みきる前に接触して止まってしまうので「最後までネジ込めない
/隙間が空く」と言う結果に繋がります。

もちろんこの場合、無限遠合焦しません。

仕方なくオールドレンズ側マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」を強制的に押し込まない「非ピン押し底面タイプ」というマウントアダプタを探すのですが、残念ながら現在市場流通しているのはSONY Eマウント用とマイクロフォーサーズ用しかありません。

ところがこのマウントアダプタがクワセモノで(笑)、実は製品全高が極僅かに長すぎるので「アンダーインフ」状態に陥ります。これは フランジバックを超過してしまう為に無限遠位置まで到達しない現象「無限遠合焦しない (合焦直前なので僅かに甘いピントになる)」と 言う結末に至ります。
(左写真をクリックするとamazonのページが別に現れます)

ではどうやって無限遠合焦するようにすれば良いのか???

答えは一つ。オールドレンズ内部でヘリコイドのネジ込み位置を変えるか、別の方法で対処 するしかありません。実際市場流通しているこれらこの当時のシルバー鏡胴モデルのCarl Zeiss Jena製モデルの中には、既に過去メンテナンス時に無限遠位置を短くする処置を施した個体が流れていますが、具体的にそのことを明記して出品しているオークションを見たことがありません (つまり手に入れるまで分からない話)。

このような話はマウント部のネジ切りの先にさらに突出が存在する「Biotarシリーズ」の他、広角レンズの「Flektogonシリーズ」合いは「Tessarシリーズ」にも一部に突出したタイプが存在しますから要注意です。要はこの当時のCarl Zeiss Jena製オールドレンズのシルバー 鏡胴モデルに於ける要注意事項と言えます。

そのような面倒を省くもう一つの方法は「M42マウント以外のマウント規格品を手に入れる」のが手っ取り早い話になり、むしろ安全だったりします(笑) その意味では今回扱った「exaktaマウント」の利用価値も、まだ残っていたりしますね(笑)

特にこの「Biotarシリーズ」では、そもそもシルバー鏡胴モデルを最後に消滅していった経緯がある為、このブラックバージョンというのがいまだに根強い人気があったりします(笑)  純粋に当時シルバータイプの色違いとして用意されただけの話であり、決して黒色鏡胴自体に登場したタイプではありません (Biotarは次のモデルFlekson 50mm/f2に引き継いで消滅したから)。

このような問題を事細かく案内しているサイトが存在しないので、当方のオールドレンズを ご落札頂くご落札者様の為にこのブログでご案内していましたが、この点についてウソだの 何だのとSNSで批判が上がっているようなので、もう面倒くさくなり突出が存在するシルバー鏡胴モデルの扱いをやめてしまいました (Biotar/Flektogon/Tessarの一部モデル)。

何で注意事項を案内しているのに非難されるのかいまだに見当が付きません(笑)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程の解説などは「Biotar 5.8cm/f2 T (black)《前期型−III》(exakta)」のページをご参照下さいませ。

 

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

 

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。なかなかこの当時のBiotarで軽い操作性でピント合わせできる個体が少なくて入手が難しいのですが、今回出品する個体は抜群の軽い操作性に仕上げています。また逆に絞り環の操作がスカスカになり兼ねないのでワザと故意にトルクを与えているくらいです。このような細かい微調整に拘れるのは、まさにオールドレンズの醍醐味とも言えます(笑)

筐体に経年並みの打痕やキズ・ハガレなどが数多く散見するので当方で着色しています。また光学系内の特に前後玉表面側のコーティング層経年劣化進行が酷いので、その分を加味した「即決価格」で出品しています。

ちなみに製造番号からこの個体の製産時期は1949年とみているので、相当古い個体です

↑光学系内にこの当時の個体に多く見られる「極微細な気泡」が硝子材に含まれています。この当時の光学メーカーは、光学硝子材精製時に一定の時間規定の高温を維持し続けた「」として「気泡」を捉えており「正常品」として出荷していました (写真への影響なし)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑と国光学系後群側の「後玉表面」にご覧のように経年のカビ除去痕が多数残っており、一部はコーティング層のハガレになっています。これら前後玉のコーティング層経年劣化、或いはカビ除去痕は特に外周附近に集中的に残っており、LED光照射では極薄いクモリを伴うので撮影シ〜ンによってはハレーションの影響が現れる懸念がありますのでご留意下さいませ

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い3ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
特に前後玉表面にコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが外周附近に残っておりLED光照射で浮き上がります。光源を含むシーンや逆光撮影時に多少フレアの影響が高くなるかも知れません。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。
「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは数点しかありません

↑17枚もある絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り環操作はワザとトルクを与えているので、少し重めの設定に仕上げています (そうしないとスカスカになってしまいすぐに微動して使い辛いから)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
スカスカにならないよう僅かにトルクを与えています

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・マウント部爪にペンチか何かで掴んだような痕が残っていますが、マウントの着脱には一切支障がありません(着脱行い確認済)。

↑この当時の「Biotarシリーズ」では貴重なブラックバージョンの「exaktaマウント」です。特に昨年からこの「Biotarシリーズ」の特に「前期型」の市場価格が高騰しており、光学系の状態まで確実にチェックしようとすると4万円以下では手に入らない傾向が続いています (海外オークションebay)。

今回の個体も入手時の文面ではクリアとなっていましたが、届いた個体には前後玉に極薄いクモリを伴う状況でした。調達時の価格面でも今回の出品価格にほぼ近い金額なので、ハッキリ言ってオーバーホールの対価分が「タダ働き」です(泣)

要は「資金回収」的な意味合いでの出品ですので、是非ご検討下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離90cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少ハレーション気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」での撮影です。「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。