◎ 旧西ドイツ側のM42マウントモデルの注意点

【 注 意 喚 起 】
旧西ドイツ側の「M42マウント」規格品オールドレンズについて、ネット上サイトでもあまり案内されていないマウントアダプタとの相性問題についてご案内します。

↑上の写真は旧西ドイツのISCO-GÖTTINGEN製オールドレンズの一つで「M42マウント規格品」として当時作られていたモデルの一つです。「自動絞り方式」を採り入れているので、マウント面に「絞り連動ピン」が存在しますが「棒状の金属製ピン」ではありません。

この他同じ旧西ドイツの光学メーカーでSchneider-Kreuznach、A.Schacht Ulm、Steinheil München、そして上のISCO-GÖTTINGENなどがありますが、その中にやはり同じように「金属製の棒状ピンではないモデル」が幾つか存在します。

絞り連動ピンの役目」として設計されているので、その目的や機能は同じなのですが、問題なのは今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼に「マウントアダプタ経由装着する」時に問題が起きます。

↑この「金属製の棒状ピンではない絞り連動ピン」を真横の方向から撮影した写真です。するとご覧のように「車輪」になっているのが分かります。片側は「」なので円形状ですが、反対側はまさしく「車輪」そのモノです。

ここで問題になるのがその「軸側」のカタチです。

↑上の写真は当方所有K&F CONCEPT製マウントアダプタ「M42 → SONY Eマウントアダプタ」ですが「M42マウント」ネジ山の内側に「ピン押し底面」と言う強制的にオールドレンズ側マウント面の「絞り連動ピン」を最後まで押し込んでしまう「」の出っ張りが存在するタイプのマウントアダプタです。

すると、そのマウントアダプタにこれらオールドレンズを装着した時「金属製の棒状ピン」を想定した設計なので「ピン押し底面の縁しか当たらない」と言う、まさに上の写真のような 不具合/問題が発生します。

この時、上の写真を見れば一目瞭然ですが「最後まで押し込まれないので絞り羽根は最小絞り値まで閉じない」と言う不具合が発生し、いわゆる「絞り羽根の開閉異常」が起きますし、最悪下手すれば「車輪の内部機構部が壊れる」ことになります(怖)

この点についてちゃんと記載して出品しているヤフオク! の出品者が皆無なので(笑)、ここで 敢えて指摘しました。

従ってこの当時の旧西ドイツ製オールドレンズの中で「M42マウント規格品」の場合には要注意であることを指摘しています。また装着先の「M42マウントアダプタ (ピン押し底面タイプ)」は、その規格たる「M42」の何を採っているのかが製品によってバラバラなので、一概にこの「ピン押し底面が引っ掛かる度合い」が一律ではありません (中には全く外れてしまうマウントアダプタもある)。

つまり「車輪」も「軸側」も両方とも当たらずに絞り羽根が閉じないマウントアダプタがあったりします。

もっと言うなら、同じK&F CONCEPT製マウントアダプタでさえ、新旧の違いで「ピン押し底面の材の相違」があり、旧型時代は金属製の環 (リング/輪っか) でしたが、今現在はプラスティック製だったりしますから、当然ながらプラスティック製の場合、内径の縁部分が摩耗していくので (削れていくので) 次第に絞り羽根が最小絞り値まで閉じきらなくなってきたりします。

つまりは規格上は「M42マウント規格」を謳っていても、それは特に日本人が抱く「規格」のイメージとはかけ離れているのが現状であることを「リスク」として受け取る必要がある点を指摘しています。

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実は、この「車輪」方式の機構部内部を強制的に曲げてしまえば対処可能な場合がありますが、すると今度は内部の駆動系との整合性が執れなくなるので、やはり「絞り羽根の開閉異常」だったりします(笑)

当方の技術スキルが低いが故の逃げ口上だと受け取られる方は、そのように受け取って頂いても構いませんが(笑)、現実問題として上の写真のような現象がマウントアダプタによっては発生し得る「マウントアダプタとの相性問題」が、この当時の旧西ドイツ製「M42マウント規格品」オールドレンズには顕在することを、ご案内しました。

従って、当方でもこれらの「車輪タイプ」のオールドレンズは扱いませんし、オーバーホール/修理をお受けしても改善できません。規格上突き当たる位置が違うので、どうにもなりません。唯一この問題を回避する方法としては「A/M切替付」のスイッチを「手動 (M)」にセットして絞り羽根を開閉させるなら問題が起きません。

つまり手に入れるなら「ちゃんとした金属製の棒状ピン」M42マウントモデルのほうが安心/無難と言う話になりますし、或いは「A/M切替スイッチ装備」のモデルを手に入れる必要がありますね。

但し、もちろんフィルムカメラで使うなら何も問題がありません。何故なら、フィルムカメラの場合たいていのモデルでオールドレンズ側のマウント面「絞り連動ピン」を押し込むのは『シャッターボタン押し下げ時のみ』だからです。それはフィルムカメラのマウント内部を覗き込めばすぐに分かります。「ピン押し板」と言う平面でオールドレンズ側の「絞り連動ピン」を押し込むように作られているフィルムカメラが多いですね。

要は今ドキのマウントアダプタが「環/リング/輪っかでピン押し底面を用意した」のがそもそも間違いなのです。もちろん「M42マウント規格」とは関係ない話ですし。最後まで「絞り連動ピン」を押し込みきってしまう概念も、当時のフィルムカメラでの概念とは全く別モノです。

M42マウント規格」なのだから同じと言い切る方は、どうぞそのようにお考え下さいませ。当方の技術スキルが低いが故の逃げ口上と受け取られても構いません(笑)