〓 KONICA (コニカ) HEXANON AR 40mm/f1.8 AE(AR)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、KONICA製
標準レンズ・・・・、
 『HEXANON AR 40mm/f1.8 AE (AR)』です。


筐体全高が薄いが為に俗に『パンケーキレンズ』と呼ばれている分類に入るオールドレンズで当時登場していたそのようなパンケーキレンズが簡素な光学系を実装していた中で、このHEXANON AR 40mm/f1.8 AE (AR)』は5群6枚のウルトロン型光学系を実装すると言う、相当なこだわりを以て開発/発売されたモデルでもあります。

当時のパンケーキレンズの多くは3群4枚テッサー型光学系を実装していることが多かったのですが、このモデルはご覧のとおり5群6枚の 本格的なウルトロン型構成です (右図)。

特に第3群の絞りユニット直前に配された凸メニスカス光学硝子レンズの曲率は相当なレベルで、光学硝子レンズを格納筒にセットする際に 使っているゴム製サッカー (吸盤付の専用治具) の吸盤が吸いつかないくらいです (曲率が高すぎて曲面の為に吸盤が機能しない)。

右図はバラして光学系を清掃する際に光学硝子レンズを1枚ずつデジタルノギスで計測して トレースした構成図です。

ところがこのモデルの製品としてのKONICA社内での位置付け、或いはそもそも外観を見ただけでも受ける「チープ感漂うモデル」という印象が憑き纏うワケですが、実際に完全解体してバラしてみると意外にも構造面で相当考え尽くされた (計算し尽くされた) 設計だったのでは ないかと当方は評価しています。

然しながら、残念な事にこの当時のKONICA製オールドレンズの多くのモデルで「光学系の コーティング層耐性が限界に達している」ようです。

特に今回のモデルは光学系前群側に「エンジニアリング・プラスティック製光学硝子レンズ格納筒」を用意してしまった設計が影響し、光学系内への経年の揮発油成分侵入率が非常に高く、コーティング層の経年劣化進行度合いが激しいと言わざるを得ません。

それはKONICA製オールドレンズをオークションで手に入れようとした経験をお持ちの方ならご存知ではないかと思います。それほど現在市場に流れているKONICA製オールドレンズの 光学系の状況は劣悪であり、まず以てカビ/カビ除去痕が皆無な個体を探す事がとても大変な状況です。

特にこのパンケーキレンズとなれば、光学系の状態で良いレベルを維持した個体を探すのは 至難の業です。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程の解説などは「HEXANON AR 50mm/f1.4 AE《中期型》(AR)」のページをご参照下さいませ。

 

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

 

修理広告DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。光学系の状態が良いレベルを維持した貴重な個体です。光学系内がスカッとクリアにもかかわらず開放での実写にハレ (ハレーション) を伴うのは、このモデルの光学系の設計から来る描写性で、一段絞って「f2.8〜」になるとガラッと 変わるのでオドロキだったりします(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体ですが、LED光照射した時に光学系内第3群中央あたりに非常に薄いクモリが微かに視認できます (言われて一生懸命探せば何とか発見できるレベル)。その代わりパッと見で「微細な塵/」に見えてしまう経年に伴う極微細な点キズは少々多めです (何回清掃しても除去できません/写真に影響なし)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も透明度が高く、LED光照射で極薄いクモリが皆無です。多少経年の微細な点キズが多めですし、過去メンテナンス時に付けられてしまったであろう微細なキズなどもありますが、全て写真に影響するモノは一つもありません。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:17点、目立つ点キズ:12点
後群内:13点、目立つ点キズ:9点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い4ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
(第3群表側中央辺りに微かな薄いクモリがLED光照射で浮き上がります)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
・光学系内のコーティング層には一部に拭き残しのように見えてしまうコーティング層経年劣化が線状に見る角度により光に反射させると視認する事ができますが拭き残しではありません。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑距離環を回す時のトルクは「普通」レベルなので、少々神経質な方にとっては「重め」に感じられるかも知れません。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値「f5.6」に変わっています。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」になりました。

↑f値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっているような状況ですが、それでもこれだけコントラストを維持して解像度も落とさずに写真を残せるのは「まさに光学系のポテンシャルの成せる技」であると当方は評価しており、冒頭のとおり「下倉敏子」女史に対する敬意を示さずには居れません。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。