〓 TOKYO KOGAKU (東京光学) RE GN TOPCOR MC 50nn/f1.4(RE/exakta)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、東京光学製
標準レンズ・・・・、
 『RE GN TOPCOR MC 50mm/f1.4 (RE/exakta)』です。


今回扱う個体が累計で6本目にあたり、オーバーホール済でヤフオク! に出品するのは3本目になります。東京光学製オールドレンズの中で唯一無二のマルチコーティング化モデルでもあり同時に独自のフラッシュマチック機構を装備したフラグシップモデルとも言えます。

しかしその特異で独自のヘリコイドシステムから来る「ピタッと瞬時にピント合焦する様」 そしてその時の「ググゥ〜ッと急に繰り出す様」からも異様な存在感をいまだに持つ最高峰 モデルです。

↑このモデルを使ったことがある人しか知らない「ピタッと瞬時にピント合焦する様」そしてその時の「ググゥ〜ッと急に繰り出す様」と言うのは、ヘリコイドシステム「昇降機能」から来る動き方と言えます。

上の写真はそのヘリコイドシステム「昇降機能」である「内筒/外筒」を解説していますが、普通のオールドレンズのような「オスメス」のネジ山が存在しない「内外筒の接触/スライドだけ」と言う設計です。「外筒」に備わるスリット/切り欠き部分を「内筒」のキーがスライドしていくことで、その勾配位置に従い鏡筒が「ググゥ〜ッと急に繰り出す」ワケです。

距離環」が真鍮 (黄鋼) 製の「外筒」に固定される為「距離環を回すそのチカラだけで内筒が移動する」仕組みです。左端の一番低い位置が「無限遠位置」になり、スリットの勾配を登りつめた箇所が「最短撮影距離40cm」です (ブルーの矢印)。

この時、グリーンの矢印で指し示した箇所から急勾配に変わるので (距離環の刻印指標値で 凡そ70cm辺り) 最後の繰り出し時に突然飛び出てくるような動き方になります。なお下部には「GNキー」の縦方向切り欠きが用意されており (オレンジ色矢印)、ここに「GNスイッチ」が刺さると距離環の回転に伴い無段階で絞り羽根が連動開閉します。

つまり被写体との実距離に従いフラッシュ光が届く時の「絞り値 (絞り羽根の閉じ具合)」まで同時進行で自動制御する仕組みですね。

これらの事柄からこのモデルの「距離環を回す時のトルク感がそれぞれの動き方で変わる」 原理をご理解頂けると思います。フラッシュマチック機構が解除の時 (GNスイッチが刺さっていない時) 距離環を回すと凡そ70cm辺りの実距離から急にトルク感が重く変わります (上の写真グリーンの矢印の位置)。さらに「GNスイッチ」が刺さっていると、プラスして「絞り羽根の開閉動作の抵抗/負荷/摩擦」まで伝わってくるので、余計に距離環を回すトルクが重くなります。

ところがこのモデルで実際に撮影するとよ〜く分かりますが(笑)、ピントが合う瞬間と言うのは「スパッと突然合焦する」まるで今ドキのデジタルなレンズのように「アッと言う間の合焦」なのが特徴です。するとピント合わせしている時、その合焦位置の前後で微動を繰り返すワケですから「距離環を回すトルクが重ければ使い辛くて仕方ない」話になります。

これは確かに普通の一般的なオールドレンズでも似たように距離環のトルクが重ければ使いにくいと感じますが、このモデルの場合前述の「昇降機能」の設計上その比の使い難さではありません。おそらくピント位置の前後での微動だけで「もう使いたくなくなる」と言えるくらいトルクが重い場合このモデルの魅力が消失します。

それが「ヘリコイドのネジ山を持たない面接触型スライド方式昇降機能」のある意味ウィークポイントとも言い替えられます。

つまりこのモデルの使いやすさを決定づける要素はたったの一つ「内外筒をどんだけピッカピカに鏡面仕上げできているか」だけと言うお話になります (塗布するヘリコイドグリースの種別や粘性の問題ではない)。これが「面vs面の接触型スライド方式昇降機能」に於ける最大の命題と言えますね。

そしてその「鏡面仕上げ」は、単にピッカピカに磨き上げるだけではなく「適度なマチ/空間が必要」であり、もしも仮に「互いが回転している時100%接触していたらそこで固着してしまう」のが「金属の面vs面接触」の原理ですョね?(笑)

従ってピッカピカに磨き上げるにも「磨きすぎたらアウト」であり、逆に「平滑性が足りなくてもアウト」なので「その適度な接触を実現する役目が塗布するグリースの課題」なのだと言えます。

実際のところ上の写真を見れば一目瞭然ですが「内外筒の接触面に一切微細なキズが存在しない」のが「適度な接触が実現できている証」とも言い替えられます。

左写真はこのモデルの光学系後群側に配置される「第3群第4群」になりますが光学硝子材に「酸化トリウム」を含有したアトムレンズ (放射線レンズ) です。

左側の写真が当初バラした際の状態を撮っており「黄変化」が現れている状況です。
一方右側がUV光の照射で低減させた後の撮影で「ほぼ半減程度まで無色化」しています。

光学硝子材に「酸化トリウム」を含有すると屈折率を20%代まで向上させる事が実現しますが当時は逆にブラウニング現象による「黄変化」からむしろ「酸化トリウムの含有を避けていた時期」でもあります。

要はそのような時代背景にありながらも屈折率を上げざるを得なかった葛藤の中で設計された製品であることが垣間見えますね。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程の解説などはRE GN TOPCOR MC 50mm/f1.4 (RE/exakta)』のページをご参照下さいませ。

 

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

 

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。距離環を回す時のトルク感は「とても滑らかにスムーズでシッカリした軽さ」に仕上げました。決して「軽め」ではなく「相応に抵抗を感じながらも然し軽い印象」であり「シッカリした軽さ」と言う表現が最も適しているようなイメージです。

前述のとおり「内外筒」が互いに回転しながら接触しつつも実はグリースの性質で鏡筒の繰り出し/収納をしているので、距離環を回していると急勾配に変わるところで「グッと抵抗を感じる」事がありますが、微動させているうちに滑らかに戻ってしまいます。これがグリースの移動でトルク感が変わっている要素とも言える現象ですから、如何にこのモデルのトルク制御が難しいのか分かると思います。

そしてそれらトルク感の微調整は「ピント合わせ時の操作性の良さ」との背中合わせですから、それを実際に確認しつつオーバーホール工程を進めていった次第です。まさに当方の「DOH」故の賜物と行っても差し支えないくらいです(笑)

今回の個体は調達した際「転売屋/転売ヤーにより潤滑剤を注入されていた状況」であり、彼の有名な「呉工業製CRC5-56」をこれでもかと言うほどの多量で注入されていました。

バラしている最中、溶剤で洗浄しながらも「頭がクラクラしてくる」程であり、2時間がかりで3回も洗浄してしまいましたが、それはそれは気持ち悪くなり吐き気を催すくらいでした(笑)

当然ながら絞り羽根は油染みで完全固着していた為「絞り羽根が一切顔出ししない」状況でした。むろん距離環を回すトルク感は「オールドレンズとしての体を要さないほどに重いトルク感」であり、それでもチカラいっぱい回せば少しずつ動く状況を以てして「スムーズに動く」と明記していたワケで、同じ同業者ながら「さすが転売屋/転売ヤー」と感心してしまったくらいです(笑)

↑当初光学系内には薄いクモリが全面に渡って生じていましたが、それは何のことはなく「呉工業製CRC5-56」の揮発油成分でした。その揮発油成分に引き留められてしまった水分/湿気を糧にして「カビが繁殖」していたので、光学系内の一部 (特に前後玉表面側) には菌糸状のカビ除去痕が光を反射させてチェックすると視認できます。

しかし光学系内の透明度が非常に高くLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

当方が皆無と言えば・・本当に皆無です(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無です。パッと見で「微細な塵/」に見えてしまう極微細な点キズが少々多めですがスカッとクリアです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:14点、目立つ点キズ:10点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い2〜5ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・前後玉の表面側に経年相応なカビ除去痕が数箇所残っており光に反射させてチェックすると菌糸状に繁殖していた痕跡(コーティング層への浸食に伴うハガレ)或いは円形状のハガレなどが浮かび上がります(写真に影響なし)。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・光学系内のコーティング層には一部に拭き残しのように見えてしまうコーティング層経年劣化が線状に見る角度により光に反射させると視認する事ができますが拭き残しではありません。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根も綺麗になり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・昇降式ヘリコイド仕様なので特に50cm前後辺りかり急に繰り出し量が増大します。その際保持している指に抵抗/負荷/摩擦を感じますがこれはヘリコイドにあるスリット(切り欠き)の角度が急勾配に変わる位置なので改善できません。全ての個体で同様なので設計上の仕様です。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・附属の中古フィルターは清掃済ですが微かな拭きキズなどが残っています(実用レベルにない)。

↑ハッキリ言って、このモデルの「昇降機能」として考えたら相当「軽め」の操作性で仕上がっていると思います。特に距離環刻印距離指標値の「3m過ぎ最短撮影距離」に向かっての、ググ〜ッと繰り出し量が増えていく時のトルクの重さは「こんなに軽いのか」と感じられるように、その時のトルクを基準に微調整していますから、むしろ逆に無限遠位置側では「軽め」の印象になります。

それほどこのモデルの場合「昇降筒」のスリット (切り欠き) 部分で「急勾配になる場所」からが問題になります。

そしてさらに「GNスイッチ」をガツンとセットしてONにした時、今度は絞り環の動作まで含めたトルクになるワケですから、相当にヤバい構造だと言わざるを得ません。それをここまで軽めに仕上げられると言うのが当方が拘った要素でもあります(笑)

なお、今回の個体はオーバーホール工程の中で「昇降駆動」の範囲指定を微調整しているので、最短撮影距離が仕様の「40cm」から短縮化された「37cm」まで縮めています (無限遠位置と最短撮影距離位置の両端でカツンカツンと突き当て停止します)。

以下実写をご覧頂ければ一目瞭然ですが、非常に鋭いカリカリのピント面を構成しますし、そもそもこのピントにピタッと合焦する瞬間が、本当に今ドキのデジタルなレンズの如く「一瞬でピタッと来る」のがチョ〜気持ち良いワケで(笑)、この醍醐味を知ってしまうとこのモデルを手放せなくなるほどです。また同時に以下実写のとおり、どう言うワケか「画に艶を感じられる」のが不思議で、ちゃんと実物のミニカーにある光沢感が出ています (この光沢感はなかなか出せない/当方の撮影スキルの低さ故です)。

たった一人のご落札者様だけですが、是非とも味わってみて下さいませ(笑)
感激モノです・・。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離40cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」による撮影です。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」での撮影です。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。極僅かに「回折現象」の影響が出始めていますが、最小絞り値でこのレベルですから層名光学系のポテンシャルを持っているモデルです。素晴らしいですね!

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。