〓 OLYMPUS (オリンパス光学工業) ZUIKO MC AUTO-W 28mm/f2《後期型ーI》(OM)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、OLYMPUS製
広角レンズ・・・・、
 『ZUIKO MC AUTO-W 28mm/f2.8《後期型−I》(OM)』です。


今回の扱いが累計では5本目にあたりますが、今まで扱った個体4本はすべてオーバーホール/修理ご依頼分でしたので、オーバーホール済でヤフオク! に出品するのは今回が初めてになります。

特に敬遠していたワケではありませんが、実は今までに扱ったそれらオーバーホール/修理 ご依頼分の4本は、当初バラす前の実写チェックに於いて (全ての個体で)「ピントの山が掴み辛い」状況でした。当時のOLYMPUS製オールドレンズ群の中、とりわけ「f2シリーズ」と なれば、他のモデルなら相当な鋭いピント面でカリカリに写るのが常です。

ところがネット上を見ても、このモデルよりも下手すれば下位格の普及版「28mm/f2.8」の描写のほうが優れていると案内されているサイトさえある始末です(笑)

その原因が既に分かっている当方にとっては、おいそれと手を出したくない気持ちのほうが どうしても先行してしまい調達の機会を逸していましたが、今回意を決して手に入れた個体も例に倣って「ピントの山が分からない」という状況でした(笑)

【市場流通品に多いピント面の山が掴み辛い原因】
過去メンテナンス時に於ける「昇降機能」の微調整が適切に行われていない為「ピントの山が掴み辛い」状況に陥ったまま流通しているのが現実。

   

↑上の写真はその解説をする為に用意した今回の個体で撮った実写です。
左端:当初バラす前の「ピントが掴めない状況」の時に撮った実写
中央:疑似的に「テキト〜に微調整した場合」の実写
右端:今回出品する個体の「適切に微調整した場合」の実写

如何ですか?(笑) それぞれ解像度も諸収差や背景の流れなどまで含めて異なる写りになっていますが、全て今回の個体での実写です。同じ光学系を同じように組み込んでいるにもかかわらず、このように異なる写り方をしてしまうその原因が、まさに「昇降機能の微調整」の違いなのです。

はたして「f2シリーズ」となれば相応に高価な市場流通価格帯で推移しているモデルですが、このような写り具合では落胆しても諦められないかも知れませんね (但し右端は適切な調整で仕上がった場合の実写です/今回のヤフオク! 出品個体の実写)(笑)

↑上の写真は過去に扱った別個体からの転用写真ですが光学系後群側に包括する「昇降機構」の構成パーツです。

光学系は8群9枚のレトロフォーカス型構成ですが、右構成図の光学系 後群側の中で 部分の第8群 (つまり後玉) だけを固定として、その直前
 部分の第5群〜第7群まで3枚が「昇降機能」により光学系内で直進動している事を表しています (グリーンの矢印)。

距離環を回すことでそのヘリコイドの動きに連動して「格納筒内部の昇降筒だけが直進動している」ワケですね。直進動と言っても実際は「距離環を回している」ワケですから「回転しながらの直進動」と言えます (つまり外から覗いて見ていると回っているのが分かる)。

それは前述のとおり 部分の後玉だけが固定なので、その内部にセットされている「昇降筒」に組み込まれた 部分第5群〜第7群だけがクルクルと回っていると言う話です。

上の写真はその解説なのですが、中央の「格納筒」に「第8群後玉」がセットされるので鏡筒に「固定」されています (つまり右構成図の 部分)。それに対して左端の「制御環」と中央 格納筒の中に組み込まれる「昇降筒」の2つが「距離環駆動に連動してクルクル回る」仕組み (つまり 部分) です。

上の写真をよ〜く見ると、中央の「格納筒」には側面に「スリット/切り欠き」が相応の長さで用意されています (オレンジ色矢印)。さらに観察するとその切り欠き部分には「高低差」がついているのが分かると思います (上の写真左側が低く右側が高い位置)。

シリンダーネジ」と言うパーツが「格納筒を貫通して制御環と昇降筒に刺さる」ので、クルクル回っているのはこの2つだと言えますね (グリーンの矢印)。

ところが上の写真オレンジ色矢印で指し示した範囲 (スリット/切り欠きの幅) に対して、実は距離環の「無限遠位置最短撮影距離位置」の範囲と一致していません

つまり距離環の「30cm」までの移動範囲に対してさらに広い長さでスリット/切り欠きが用意されている設計なのです。そこで「昇降機能の微調整」が必須作業になり「距離環の移動範囲との整合性を執る必要がある」モデルなのです。

例えば仮に上の写真で中央の「格納筒」スリット/切り欠きの右端が「無限遠位置∞」で、反対側の左端が「最短撮影距離位置30cm」なら非常に簡単な話だったワケですが、光学系の設計者は個体別に最も鋭いピント面に仕上がるよう「微調整機能を附加した」ワケです。

要は過去メンテナンス時の整備者が「設計者の意図を汲み取っているのか否かが問われる」 モデルなのだとも言い替えられますね(笑)

↑上の写真も過去に扱った別個体からの転用写真です。こんな感じで「格納筒」だけが鏡筒に固定され、それに対して外側の「制御環」がクルクルと回ると (ブルーの矢印) シリンダーネジが刺さっているので連動して内部の「昇降筒」も一緒に回転している動き方をします。

この時、距離環を回しているワケですから「昇降筒は高低差が付いて回転している」事がポイントであり、無限遠位置〜最短撮影距離位置までの間で「実距離が変化すると同時に光学系内の焦点位置まで同時進行で変化している」のが「昇降機能」の役目です。

この事を過去メンテナンス時の整備者が全く理解していません(笑)

このような「昇降機能」を包括した光学系を実装したモデルを組み上げられるスキルを有する整備者なので、シロウト整備は考えにくく「プロの整備者」による仕業だと推測できますが、この「昇降機能」をまともに微調整できている個体にまだ出会ったことがありません!(笑)

それゆえ、ネット上のサイトで下位格の普及版「28mm/f2.8のほうが優れた描写性」などと得体の知れない話を公然と書き連ねられてしまっているワケです(笑)

だッて考えてみて下さい! 下位格の普及版「28mm/f2.8」よりも遙かに高価な価格帯で登場したモデルなのがこの「f2シリーズ」です。それが普及品のほうが優れた描写性などと「そんなバカな話があるワケがありません!」(笑)

それを平気で解説している人が居るので笑ってしまいますが(笑)、実際市場流通している個体の描写性はどれもこれもまさしく「28mm/f2.8のほうがマシじゃん」ッて言う結末です(笑)

全ては過去メンテナンス時の整備者の「不適切な整備が原因」と言わざるを得ません。

もっと言うなら上の写真を見ただけで歴然ですが(笑)、当初バラした時は真鍮 (黄鋼) 製で用意されている「格納筒/昇降筒」はこんなにピッカピカに光り輝いていません(笑)

100%間違いなくこれら「昇降機能」の部位には過去メンテナンス時に「白色系グリース」が塗られているので「濃いグレー状」に変質している個体ばかりです。実際当方が今までに扱った今回も含めた5本全てが「白色系グリース」でした。

するとよ〜く観察すればちゃんと分かるのですが「制御環/格納筒/昇降筒」はそれぞれが互いに接触する箇所で「鏡面仕上げ」になっていますから「この昇降機能にはグリースを塗ってはイケナイ」前提なのが分かります。

つまりは「原理原則」も理解できておらず「観察と考察」すら全くできない整備者が「プロの顔をして」平気でグリースを塗ったくって仕上げているワケです。しかもその描写性ときたら飛んでもない写りですから「普及版のほうがマシ」などと言われてしまう始末です(笑)

そんな整備をしていて恥ずかしいと思わないのですかねぇ〜?(笑)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程の解説などは「ZUIKO MC AUTO-W 28mm/f2《後期型−I》(OM)」のページをご参照下さいませ。

 

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

 

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。当初バラす前の時点ではその実写も「ピントの山が全く掴めない」状況でしたが、そもそも無限遠が出ておらず、且つ無限遠位置の「∞」でカチンと突き当て停止しませんでした (詰まった感じで停止)(笑)

もぅその時点で明らかに「アホな整備をされてしまったか (涙)」と言う話ですが(笑)、逆に 言えばその分当方の今回のオーバーホールが面倒くさいワケで、それが調達する気持ちに至らない最大の原因とも言えます。

以前扱ったオーバーホール/修理ご依頼分の中の1本は「整備会社の人に何十年も前のレンズ だから劣化しているのでこの程度の写りにしかならないと言われた」との事です (ご依頼者様から聞いた話)(笑)

ちゃんちゃら笑ってしまいますが(笑)、モノは言いようで「プロの整備者」だと何でもアリなのでしょう(笑)

信用/信頼が皆無な当方が同じ事を言ったらそれこそ最後「大クレーム」に至り、さらにSNSで批判の嵐と言う結末を迎えてしまいます!(怖)

当方はプロでも何でもないので今回のオーバーホールにあたっては最後の「昇降機能の微調整」で、何と20回近くもバラしては微調整して組み直す作業を繰り返しました(笑)

もぅほとんど笑ってしまう低さの技術スキルだと思いませんか?(笑)
20回ですョ!(笑)
これを低い技術スキルと言わずして何と説明するのか・・です!(笑)

↑光学系内の透明度が高い状態を維持した個体で、LED光照射してもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。しかし残念ながら光学系内には過去メンテナンス時に付けられてしまったと思しき微細な拭きキズやヘアラインキズが何本かあります (いずれも線状なので写真には一切影響しません)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無なクリアな状態を維持していますが、前群側同様とくに後群側のほうがどちらかと言うと過去メンテナンス時の拭きキズが多めです (いずれも写真には影響しない線状痕)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:16点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(極微細で薄い12ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は経年並みに極微細な点キズや拭きキズあります。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑8枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正八角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑フィルター枠のシルバ〜な「銀枠飾り環」に少々経年のキズが多めです (光沢研磨済)。また距離環のラバー製ローレット (滑り止め) も中性洗剤でちゃんと洗浄していますが、経年の汚れが除去できなかった箇所が僅かに残っています。

20回も組み直しを行ったので(笑)、無限遠位置も適切に調整済です (僅かにオーバーインフ) し、もちろん「昇降機能」の微調整も終わっており、以下実写のように鋭いピント面を確保できています。

無限遠位置 (当初バラす前の位置から適切に調整済/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離30cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に変わっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。極僅かに「回折現象」の影響が出始めているかどうかと言ったレベルなのでさすがな光学系です。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。