Asahi Opt. Co., (旭光学工業) Super – Multi – Coated MACRO – TAKUMAR 50mm/f4(M42)写真

旭光学工業のTAKUMARシリーズは、当方でのオーバーホール済出品は今回が最後となります。次回の出品予定はありません。残念ながら今後の取り扱いは見送りますので、お探しの方はこの機会に是非ご利用下さいませ。

オーバーホールのために解体した後、組み上げていく工程を解説を交えて掲載しています。

すべて解体したパーツの全景写真です。

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ここからは解体したパーツを使って、実際に組み上げていく組立工程写真を掲載しています。

まずは絞りユニットと光学系前群を収納する鏡筒(ヘリコイド:メス側)です。

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絞り羽根を実際に組み付けて絞りユニットを完成させます。

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絞りユニットの固定には固定環が用意されているのですが、鏡筒の奥が深いので先に光学系の前後群を組み付けてしまいます。

まずは光学系の前群です。

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上の写真中央に極微細なヘアラインキズが1本とその下に極微細な点キズ1点がようやく何とか視認できる程度で、他には確認できません。

次は後群を組み付けてしまいます。

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こちらも中央付近に極微細なヘアラインキズ1本と周辺部附近の極微細な点キズ1点しか確認できませんでした。とても良い状態を維持した個体です。

次の写真は距離環やマウント部を組み付けるための基台です。

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真鍮製のヘリコイド(オス側)を無限遠位置のアタリを付けた状態でネジ込みます。当レンズには無限遠位置調整機能を装備しているので、大凡のアタリで構いません。

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ヘリコイド(オス側)は真鍮製なのですが、この個体では表層部の腐食が進んでおり「緑青」が生じていました。最初は緑色のメッキが被せてあるのかと一瞬勘違いしたほどです。本来は外部に一切見えない部分なので何もいじらないのですが、自分自身が後々気になるので(笑) この個体ではヘリコイドの磨き研磨を施し、上の写真のように鮮やかな真鍮の輝きが戻りました。本来は良くても「ノッペリした黄褐色」になっていることがほとんどです。

鏡筒(ヘリコイド:メス側)を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションにてネジ込みます。

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次の写真はマウント部の基台です。

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絞り連動アームやカムなどの連動機構部パーツを組み付け、自動/手動スイッチもセットします。

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マウント部を基台に組み付けます。この時点で絞り連動ピンの操作で絞り羽根の開閉を確認しておきます。

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絞り環をセットします。

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指標値環の基準マーカーが正しい一に来るよう位置調整を施し、セットします。

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距離環を仮の状態で組み付け、無限遠確認や光軸確認、絞り羽根開閉幅の確認を行えば完成間近です。

ここからは組み上げが完成した出品商品の写真になります。

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前後玉ともに極微細なヘアラインキズや点キズが僅かにありますが、とても状態の良い光学系を維持した個体です。

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絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。

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ここからは鏡胴の写真です。経年の使用感をほとんど感じさせない大変キレイな状態を維持した外観です。距離環や絞り環の駆動も大変滑らかで、ほんの僅かなチカラで容易に操作できます。特にマクロレンズでは微妙なピント合わせが必要ですから、この軽いトルク感は撮影時の操作面でとても楽です。

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開放F値「f4」と少々暗めのハーフマクロレンズですが、開放からいちいち絞って撮影するコトを考えれば、この「f4」スタートの仕様はなかなかありがたいです。当方で愛用のマクロレンズ (Makro-Kilar D 4cm/f2.8) でも撮影時はF値「f8」からの使用です。

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光学系後群もとてもキレイな状態を維持しています。

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当レンズによる最短撮影距離23.4cm附近での開放実写です。

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次の写真は、被写体の全体が入る位置にて開放で撮影しています。

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このモデルはヤフオクでもゴロゴロと安値で出回っているので、わざわざ当方から入手頂く必要もないかも知れませんね・・しかも高い価格で(笑) しかし上記のようなオーバーホールを施した個体は、そう頻繁には出回っていないと思います。

今回は特に意識して (ワザと) ゴロゴロ市場に出回っている「TAKUMAR (タクマー) シリーズ」を採り上げて整備してみました。金属製の鏡胴で角形のローレットレに、ズシリと重みを感じられる造りの良さがまだまだ人気の的です。一通り各焦点距離でのモデルをオーバーホールした上で出品しました (残念ながら貴重な「20mm/f4.5」に関しては出品後5時間足らずですぐにご落札頂いたので今はありません)。

確かにこのモデルは (旭光学のレンズは) 数十年を経た今もなお、非常に滑らかな操作性を維持した個体が多く出回っています。当方のオーバーホールでもさらに、その操作性は改善され大変滑らかに軽いチカラで距離環や絞り環の操作ができるようになりました。しかしそのような整備済の個体を果たしてご落札頂けるのか・・??? それを承知の上で立て続けにまとめて整備しての出品です。

これはひとつの「検証」です。市場に流通量が多い日本製レンズを整備の上で出品したら、どのような結果になるか・・。この結果次第では次の同型モデルでの出品はありません(笑) それは、これだけの本数ですから相当な時間と手間を掛けての出品です。「TAKUMARシリーズ」に関する説明ではこちらのページに少し解説をしています。やはり「価格優先指向」なのか、それとも整備された個体にも「魅力を感じられる」のか・・検証です。

残念ながら、旭光学工業の「TAKUMARシリーズ」 の取り扱いは今回が最後とします。お探しの方は、オーバーホール済の個体を入手されるチャンスですので、是非ご検討下さいませ。