◎ KMZ (クラスノゴルスク機械工廠) HELIOS – 44M 58mm/f2(M42)

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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、製造番号から1982年に生産されたKMZ製標準レンズ『HELIOS-44M 58mm/f2 (M42)』です。

実は、今回3本立て続けにロシアンレンズをオーバーホール済でヤフオク! に出品していますが、当方は普段ロシアンレンズを敬遠しており手を出しません。そこで「久しぶりにロシアンレンズやってみる?」と言う企画を考えた次第です。

しかし、この企画を考えた経緯があります。同じヤフオク! の出品者「ID:sdfpn0808」と言う方が、何と1年間で50本ものHELIOSをメンテナンス済で出品していらっしゃいます。しかも、プロのフォトグラファーでいらっしゃるので、出品している各個体の実写を掲載しており、その写真がまたプロだけあって素晴らしいのです (是非ご覧になって見て下さい)。

ところが、この方は実は昨年はお客様だった方なのです。当方がオーバーホールしたオールドレンズを解体して研究されたのかどうかは分かりませんが、当方と同じ「オーバーホール」を施し、しかも「磨きいれ」まで処置して (おそらく内部パーツも) 大変キレイな状態に仕上げて出品していらっしゃいます・・つまり全く当方と同じ整備済状態の商品を、素晴らしい実写の写真付で出品していらっしゃり、見ているとポンポン落札されているのです。

何だか当方のお株を取られたような気がして火が着いてしまいました(笑) 「自分が出品したらどんな結果になるのか?」・・そんな思惑で考えた企画でしたが、1本目を出品し2本目を出品した時点で既に結果が見えてしまいました・・人気が全くありません!!!(笑)

相手はプロの方ですし、ロシアンレンズを専門にメンテナンスしていらっしゃる方です。当方などは、7年間でカウントしてもたったの25本ですし、INDUSTAR-61に至っては、僅か12本です(笑) 一つのモデルを年間で50本 (つまりその他のモデルも合計すれば数百本) 整備していると言う匠の領域にいらっしゃるプロ相手に、対抗意識を燃やした当方がアホでした・・アッと言う間に諦めモードに意気消沈です(笑) どんなにオーバーホールしようとも、結局はプロのフォトグラファーお墨付きのほうが「安心と信頼」の強さが違うと言う結論です。当方がどのようにあがこうとも、そもそも全く敵う相手ではありませんでした(笑)・・反省です。

・・と言うことで、今回の企画「ロシアンレンズやってみるか?」は、今回の3本目で終了とします。今後は手をつけませんので、オーバーホール/修理のご依頼分のみロシアンレンズのメンテナンスをすることします。当方の技術スキルの低さから全く人気がないことを目の当たりにし、少なからず自信喪失状態なので、今回出品している3本も早々に終了したいと思います (目障り)。従って、3本全てをオークション形式に変更しますので、どうぞお好きな価格でご入札/ご落札下さいませ。そもそも、現時点でもう赤字確定 (3本分タダ働き状態) なので、短期間での終了とします。

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このモデルの背景や詳細については先日種した「HELIOS-44-2 58mm/f2 (M42)」のほうで詳しく解説しているので、興味がある方はご覧下さいませ。

光学系は4群6枚のダブルガウス型で、当然ながら旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製Biotar 5.8cm/f2の光学系を基に設計されていますから、その描写性も似かよっているのですが、ロシアンレンズだけあって、またひと味違う個性を持った素晴らしいモデルに仕上がっています。Flickriverでこのモデルの実写を検索しましたので (当方は写真が下手クソなので)、興味がある方はご覧下さいませ。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。先日出品した「HELIOS-44-2」とは大幅に異なった内部構造であり「自動絞り」を実装してきたことから構成パーツ点数も増えています。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。

↑こちらは真鍮製の絞りユニットになります。

↑「HELIOS-44M」シリーズの特徴的な仕組みですが、絞りユニット内の絞り羽根を駆動しているのは「ベアリング (6個)」なのです。今回の個体はバラす前のチェックで絞り羽根の動きが緩慢になっていましたが、この部分の経年劣化に拠る腐食 (サビ) が一因していたようです・・滑らかに回らなければイケマセン。

しかし、このままではベアリングがバラけてしまいますから、当然ながらメクラ蓋をネジ込んでベアリングを押さえ込みます。ところが、そのメクラ蓋をネジ込むのが一苦労で (単に当方の技術スキルが低いだけです)、均等にネジ込んでいかなければすぐにベアリングが一箇所に集まってしまいます(笑) この絞りユニットを組み上げて完成させるだけで1時間はかかりますから (何度もやり直すから)、冒頭の出品者が50本もこのモデルを1年間に整備しているのが全く以て信じられません・・相当なスキルを持っていらっしゃる方です。

↑こんな感じでメクラ蓋でベアリングを固定します (十数回トライしました)(笑)

↑完成した絞りユニットを鏡筒に組み込んだところです。

↑この状態で鏡筒を立てて撮影しました。制御系パーツがギッシリと附随しています。この制御系の仕組みも簡単そうに見えますが、実は各パーツの動きを理解するのに、当方の場合は時間がかかりますから、正直このモデルはキライです(笑)

↑距離環やマウント部が組み付けられる基台です。

↑真鍮製のヘリコイド (メス側) を、無限遠位置のアタリをつけた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑ヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリをつけた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑指標値環をイモネジ (ネジ頭が無くネジ部にいきなりマイナスの切り込みを入れたネジ種) 3本で締め付け固定します。イモネジによる固定なので、この指標値環の固定位置は下穴があるため決まってしまいます。逆に言うと、ヘリコイドのネジ込み位置が正しくなければ (つまり無限遠が出なければ)、このモデルの場合ヘリコイドの組み直しからやり直す必要があることになるので、大変面倒なモデルです。

↑この状態でひっくり返してベアリング+スプリングを組み込んでから絞り環をセットします。

↑この状態で内部を撮影してみました。これもこのモデルの特徴なのですが、絞り環と鏡筒から飛び出ている「絞り環連係アーム」とを介在させているのは「絞り環連係環」と言うプラスティック製のパーツになります。どうしてここだけプラスティック製にしてしまったのかが全く理解できませんが、市場に流れている「絞り羽根不動」の個体の中には、このプラスティック製パーツが割れてしまっている個体が含まれています・・つまり修復不能なので「製品寿命」と言うことになります (割れたプラスティック材は基に戻りません)。従って、意外と重要なパーツなのがプラスティック製の「絞り環連係環」と言うことになりますね。

↑こちらはマウント部内部の写真ですが、既に連動系・連係系パーツを取り外して、当方による「磨き研磨」が終わった状態で撮影しています。当初バラす前のチェックで、絞り羽根の動きが緩慢でしたから、バラした直後に確認してみたところ内部はドロドロにグリースだらけで既にサビが生じていました。

↑細かい箇所のサビは除去できませんでしたが、各部が滑らかに駆動するよう主だった箇所のサビを取り除いて、連動系・連係系パーツを組み付けます。このマウント部内部の連動系・連係系パーツの調整も (絞り羽根の動きが適正ではない場合調整の必要があります)、一筋縄では行かないので、全く以て当方はこのモデル「HELIOS-44M」のシリーズがキライです。特に自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) に関わる箇所のパーツ調整は「地獄」的です・・何と半円形のスイッチの裏側に僅か1mm径のベアリングが埋め込まれており、コイツが錆びると大変厄介なのです (しかも組付けが当方にとっては相当難しい)。

↑完成したマウント部をセットしたところです。

↑このモデルには「無限遠位置調整機能」が装備されていないので、この後光学系前後群を組み込んでから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行いますが、無限遠位置が適正ではなかった場合再びバラしてヘリコイドのネジ込みから再調整しなければイケマセン・・面倒なモデルです。最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすればいよいよ完成ですね。

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ここからはオーバーホールが終わった出品商品の写真になります。

↑正直、オーバーホールするのが面倒 (各部の調整が大変神経質) で、当方では難易度の高い部類に入っているモデルなのですが、これを年間で50本以上もオーバーホールしてしまう技術スキルと言うのが、当方には全く以て敵いません・・自分は、まだまだ本当に未熟者であることが今回は痛いほど理解できましたね(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い個体です。今回の個体も貼り合わせレンズ (2枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせてひとつにしたレンズ群) のコバ部分を黒色着色しましたので、上の写真のとおり「白っぽく出ている」硝子レンズ端になっていません・・あくまでも「心の健康」程度です(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っています。

↑光学系後群も大変キレイな状態をキープしています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っています。

↑例の如く、当初バラ前のチェックでは、絞り羽根が油染みで粘っていましたが、キレイになり絞り環共々確実に駆動しています。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:6点、目立つ点キズ:4点
後群内:7点、目立つ点キズ:5点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):皆無
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが実際はカビ除去痕としての極微細な点キズです (清掃しても除去できません)。
光学系内の透明度が非常に高い個体です
・いずれもすべて写真への影響はありませんでした。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感をほとんど感じさせない大変キレイな状態を維持した個体です。当方による「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:軽め」を塗布しています。距離環や絞り環の操作はとても滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は「普通〜重め」で滑らかに感じトルクは全域に渡り「ほぼ均一」です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・距離環指標値「0.9〜0.55m」が重く感じます。
・距離環折り返し時に極僅かなガタつきを感じますが内部パーツ「直進キー」の経年摩耗が原因なの改善できません (クレーム対象としません)。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。

↑距離環を回す際にトルクムラがあり「0.9m」辺りから最短撮影距離「0.55m」まで重くなります。ピント合わせが少々しづらく感じると思います。告知しているのでクレーム対象としません。

↑当レンズによる最短撮影距離55cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。

↑絞り環を回して設定絞り値を「f2.8」ににセットして撮影しています。

↑さらに絞り環を回してF値「f4」で撮りました。

↑設定絞り値はF値「f5.6」になっています。

↑F値「f8」になります。

↑F値「f11」で撮りました。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。

                    

今回でロシアンレンズのヤフオク! 出品は「JUPITER」シリーズ (シルバー鏡胴) を除いては最後になりますので、もしもお探しの方は是非ご検討下さいませ。特に今回はオークション形式で出品しますので、お好きな価格でご入札/ご落札下さいませ。既に真っ赤っかの赤字状態なので(笑)「リピーター割引」もそのまま適用しますし、日本全国一律料金なので遠方の方もお得だと思います。ご検討ください。

プロのフォトグラファーならば「写真」で勝負すればよいのにと思うのですが、詰まるところヤフオク! にどのようなカタチで出品しようが第三者が文句を言うべきことではありません。ならば、せめて当方と同じ「磨き研磨」や「磨きいれ」・・これらは当方だけのメリット (DOH) のつもりだったので・・は掲載しない、或いは写真を載せないなどの配慮 (当方のデータベースを調べると、あくまでも当方がオーバーホールしたご依頼品をお届けしてからヤフオク! の出品攻勢が始まっているので) があれば、まだ良心的なのですが、正面切って掲載されてしまうとカチンッと来てしまいました。しかし、それすらも、結果的に当方の技術スキルが低いことが明白なので、結局のところ「何も反論できない」と言う、諦めを超越して惨め感漂う苦渋を痛切に感じ入りました・・良い勉強になりましたね、心新たにさらに精進していかなければイケマセン・・やはり「ロシアンレンズ恐るべし」です(笑)

なお、冒頭の出品者さん「ID:sdfpn08」は、Carl Zeiss Jena製オールドレンズも出品していらっしゃいますから今後も楽しみですョ・・当方は、数少ないファンの方々のため今後も修練に励むことが残されている道と悟りました(笑) いつの間にか増長してしまい思い上がっていましたね、反省ですッ! 当方もいつの日にか追いつけるよう頑張りますから、今後も応援をヨロシクお願い申し上げます!

                    

オークション形式で出品していたHELIOSが終了しました。ご落札頂いた方、本当にありがとう御座います!

例のプロのフォトグラファー「ID:sdfpn0808」さんが出品されていたHELIOSは、6月からの3カ月間で何と42本も落札されています。一カ月あたり14本ペースですから、相当な技術スキルをお持ちでいらっしゃいます。
さらに、落札された単価が凄いです・・1本あたり13,500円の平均単価ですから、皆様から相当なご支持を得ている「証」でもありますね・・素晴らしいです!
当方がオーバーホールしたHELIOSは8,000円の壁を越えませんでしたが、これが現実であり、皆様の評価ということになります。この結果を真摯に受けとめ、新たな糧として今後も精進していきたいと思います。ご落札者様、本当にありがとう御座いました!