◎ TAMRON (タムロン) SP 24mm/f2.5 01BB《後期型》(ADAPTALL2)

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焦点距離24mmは今回初めて扱うモデルですが完璧なオーバーホール済で出品致します。TAMRONのオールドレンズは今回が4本目の整備になりますが構造面は簡単にも拘わらず意外にも組み立てに於ける調整工程は一癖も二癖もあるモデルでした。

1989年に発売された第二世代の「後期型」にあたりモデル型番は「01BB」になります。初代の「01B」が1979年の発売なので10年も経ってからのモデルチェンジだったことになり、その後2001年まで生産が続けられていたようです。それだけ息が長かったワリには市場に出回る頻度が低いのか焦点距離24mmのほうはあまり見かけません。今回の個体は貼り合わせレンズ (2枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせてひとつにしたレンズ群) 部分にバルサム切れ (貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態) が生じ薄いクモリが全面に渡って出ていた個体でしたが、レンズ格納筒が深かったので当方にて貼り合わせレンズ部を解体してバルサム切れの処置を施しました・・普段の整備では基本的にバルサム切れの対処はしていません。

光学系は9群10枚のレトロフォーカス型になります。この当時の他社光学メーカーは焦点距離24mmクラスでは「f2.8」や「f3.5」で発売していた時期なのですが光学系の構成も6〜7群で設計してきたモデルが多かったようです。その中で9群10枚にも及ぶ構成で設計してきたワケですからTAMRONには相応の拘りがあったのではないでしょうか・・Flickriverでこのモデルの実写を検索しましたので興味がある方はご覧下さいませ。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。部品点数はそれほど多くなく筐体サイズがコンパクトなので構造自体もワリと簡単です。

ネット上の案内では「プラスティック製」とか「チープ」とか言われていますが、実際にバラしたところ樹脂製 (プラスティック製) のパーツは・・、

  1. 指標値窓の環 (レンズ銘板が印刷されている環)
  2. 絞り環
  3. マウント部台座

・・この3つだけでした。それ以外はすべて金属製パーツですから、これを指して「プラスティック製」と言うのは少々TAMRONが可哀想です。それこそ他社光学メーカーにはヘリコイドまでプラスティック製のオールドレンズがあるくらいですから・・興味関心があって探している方には正しい情報を流してあげたいものですね。

絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。レトロフォーカス型なので少々深めです。

絞りユニットを組み上げたところです。絞りユニットは鏡筒の奥深い位置にセットされるのですが意外と薄い厚みのユニットです。

鏡筒に絞りユニットを組み付けた状態を撮っています。絞りユニットには絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) を制御している機構部やマウント面の絞り連動ピンの動きで連動する絞り連動ピン連係機構部も装備されています。

この小さな絞りユニットにこれらの機構部を実装してきた最大の理由は「筐体サイズを可能な限りコンパクト化」させたかったからです。そのことは「TAMRONのサイト」でも記載されているので結果的に絞りユニットはこのように大変複雑になってしまいました。本来ならばこれらの機構部はマウント部に実装しても良いのですが製品全長を長くしたくなかったために光学系のレトロフォーカス型構成の光路長の中に機構部を収めてしまったワケですね・・つまり光学系の設計は変わらないので製品全長は一切変わらずギリギリの状態で作れます。

こちらは距離環やマウント部を組み付けるための基台です。

ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

ヘリコイド (オス側) をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

先に樹脂製 (プラスティック製) の指標値窓の環を入れ込んでから後から距離環をセットして仮止めしておきます。プラスティック製の指標値窓の環は後から単独で入れ込むことができない構造になっており、この方式はマクロレンズの90mmのほうでも全く同一でした。これを後からセットできるようになっていればさらにメンテナンスがし易くなると考えるのですが・・。ちなみに指標値環窓の環をセットすることで距離環の駆動域が確定し無限遠位置と最短撮影距離の位置でストンと停止するようになります。

ひっくり返して絞り連動ピンの機構部を組み付けます (写真がボケてしまいましたが上の写真の後のほうに絞り連動ピンの機構部があります)。

ベアリング+マイクロ・スプリングを組み込んでから樹脂製 (プラスティック製) の絞り環をセットします。

ここで光学系前後群を組み付けてしまいます。他社光学メーカーでこの部分 (マウント部の空間) に各連動系・連係系パーツを組み込むんでいるのですがTAMRONではADAPTALL2の仕様上光学系後群が突き出ていますから、この部分に空間はありません。従って絞りユニットの内部に装備するしか選択の余地が無かったことにもなりますね。

こんな感じですぐに「メクラ蓋」で塞ぐことになってしまいます・・この後にはADAPTALL2マウントの爪部分が来ますから各連動系・連係系のパーツをこの場所に配置することができないワケです。

ADAPTALL2のマウント部を組み付けたら無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行えばいよいよ完成です。

 

DOHヘッダー

 

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真なります。

あまり市場では見かけない焦点距離24mmの超広角レンズ「SP 24mm/f2.5 01BB (ADAPTALL2)」です。

当方では普段「バルサム切れ」の対処をしないのですが今回の個体はレンズ格納筒が深かったのでバルサムを剥がして再接着しています。従って光学系内の透明度はピカイチレベルでカビ除去痕としての極薄い小さなクモリ (2箇所あり) 以外にはLED光照射でもクモリ (コーティング層の経年劣化に拠るクモリ) は「皆無」です。

上の写真 (2枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。カビ除去痕としての極微細な点キズが数点あるだけの大変綺麗な状態の光学系前群です。

光学系後群のほうがカビ除去痕が多いですがとてもキレイな状態をキープしています。

上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。3枚全てカビ除去痕としての極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全て写りませんでした。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
前群内:10点、目立つ点キズ:6点
後群内:15点、目立つ点キズ:11点
コーティング層の経年劣化:前後群あり
カビ除去痕:あり、カビ:なし
ヘアラインキズ:あり
バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズ有り)
光学系内LED光照射時の汚れ/クモリ:皆無
光学系内LED光照射時の極微細なキズ:あり
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが実際は清掃時除去できなかった極微細な点キズなので塵や埃ではありません。
光学系内の透明度は非常に高い個体です
・光学系内はLED光照射でようやく視認可能レベルの極微細なキズなどもあります。
・光学系各群は極微細なカビ除去痕が僅かに残っており順光目視では極微細な点キズに見えますが、LED光照射では非常に薄いクモリ状に見えます。
・いずれもすべて写真への影響はありませんでした。

5枚の絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。

ここからは鏡胴の写真になります。当方の「磨き」をいれたので筐体外装はとても落ち着いた美しい仕上がりになっています。

【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度」を塗布しています。距離環や絞り環の操作は大変滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は「普通」で滑らかに感じトルクは全域に渡り「完璧に均一」です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
なおADAPTALL2マウントアダプタの状態に拠り絞り羽根が正しく駆動しないことがあります。またデジカメ一眼やミラーレス一眼用のマウントアダプタとの相性問題もありますが当方所有マウントアダプタ (C&F CONCEPT製) にて絞り羽根の正常駆動を確認済ですのでクレーム対象としません。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・鏡胴の透明指標値窓には微かなキズや擦れがあります。鏡胴のモデル銘部分は一部と膜が剥がれて消失している部分があります。

完璧なオーバーホールで仕上がりました。距離環を回すトルクはピントの山が掴み易いモデルですが、そうは言っても焦点距離24mmの超広角レンズなのでワザと「普通」程度のトルクに仕上げています。あまり見かけないモデルですのでお探しの方は是非ご検討下さいませ。

なお、ADAPTALL2マウントアダプタ側の状態に拠っては絞り羽根が正しく動かないことがあるようですし、デジカメ一眼やミラーレス一眼用のマウントアダプタにも相性があるようです。当方所有マウントアダプタ (C&F CONCEPT製) にて絞り羽根の正常駆動を確認済ですのでクレーム対象としません。

鏡胴の指標値窓の部分には経年のキズがありますし窓右側のネジの附近には擦りキズもあります。

同じくプラスティック製の指標値窓の環にはレンズ銘の焦点距離とフィルター枠径が印刷されているのですが経年の使用で一部の塗膜が剥がれてしまい消失しています。

当レンズによる最短撮影距離25cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでベッドライトが点灯します)。開放では収差が相応に出ているようです。

絞り環を回して絞り値を「f4」にして撮った写真です。「f4」でも収差はまだ憑き纏っていますね・・。

F値は「f5.6」になりました。

F値「f8」の撮影です。

「f11」になります。

F値「f16」で撮っています。

最小絞り値「f22」になります。