◎ GAF (ガフ) AUTO GAF 55mm/f1.7《富岡光学製:前期型》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、アメリカは
GAF製標準レンズ・・・・、
 『AUTO GAF 55mm/f1.7《富岡光学製:前期型》(M42)』です。


この当時の『富岡光学製OEMモデル55mm/f1.7』の扱い数は累計で35本目にあたりますが、今回扱うアメリカのGAF製OEMモデルは僅か2本目で、2017年以来4年ぶりの扱いです。

GAFは現存するアメリカの住宅設備 (屋根材の) 会社ですが、写真機材に限定すると元々は1841年にニューヨークで創業した写真用品 (印画紙) メーカーE.&HT Anthony Co.が発祥になります。
その後1902年にアメリカのAnsco社に買収され、さらに1928年にはドイツ資本会社であるAgfa Ansco社としてアメリカで統合されています。しかし第二次大戦によりドイツ資産の凍結/接収に伴いニュージャージー州の住宅設備屋根材製造会社であるGeneral Aniline&Film社に営業権が移譲され、戦後の1967年より写真機材販売部門の自社製品ブランドとして使用され始めました。この時点で従前の写真フィルムの生産から撤退し (生産工場の売却)、自社では開発生産を行わないOEM製品に頼った写真機材の販売をスタートさせています。

GAFブランドのOEM写真機材として特に一眼レフ (フィルム) カメラでは、日本のCHINON製品に目を付け、1972年にCHINON製フィルムカメラ「CHINON M-1」が発売されるとさっそく自社向けOEMモデル「GAF L-17」を皮切りに輸出供給の契約を取りつけスタートします。

【CHINON製一眼レフ (フィルム) カメラとGAF製品の関係】
※ M42マウント規格品のみ列記

CHINON M-1GAF L-17・・1972年発売
CHINON CMGAF L-CM・・1974年発売
CHINON CE MEMOTRONGAF L-ES・・19974年発売
CHINON CXGAF L-CX・・1975年発売
CHINON CSGAF L-CS・・1976年発売
CHINON CEII MEMOTRONGAF L-ES/2・・1976年発売


↑上の写真は前述のCHINON製一眼レフ (フィルム) カメラからGAF向けOEMモデルとして供給された個体写真です。上段左端から「L-17/L-CM/L-ES/L-ES」下段左端から「CHINON CX/L-CS/L-ES2/タンク車両」です。下段右端のタンク車両は余興ですが(笑)、然し自社宣伝も兼ねてこのようなタンク車両を鉄道で何千キロも走らせていたワケで、この当時から相当な規模の住設企業だったことが分かります。

またオモシロイ発見では上段3つ目の「tests」記事で、GAF L-ESモデル発売時の評価記事が載っていますが、このセットレンズが何と「TOMIOKA銘」が附随するCHINON製標準レンズ (55mm/f1.4) のダブルネームです。逆に指摘するなら1974年時点でこの「TOMIOKAブランド」の標準レンズが供給されていた事の証とも言い替えられます (つまり1960年代極初期に最初に登場したのがTOMIOKAではなかったことの証)。

要は「TOMIOKA銘」ダブルネーム標準レンズは途中から突然現れたと言いたいのです。
ネット上で真しやかに語られている都市伝説「TOMIOKA銘が一番最初」ではなく、CHINON銘モデルの途中からダブルネームが追加されたと捉えるのがより正しそうですね(笑) 富岡光学なのかチノンの皮算用なのかは不明ですが、人気を得ることができずに「TOMIOKA銘」の ダブルネームは消えていく運命でした(笑)

そこで富岡光学が経営難で当時のヤシカに吸収合併したのが1968年ですから、既にヤシカの傘下に入っていた時期にCHINONに供給していたことになります。そしてそのヤシカも経営難は既に1968年時点から変わらずついに1983年母体のヤシカも京セラグループに吸収され消滅します。その後富岡光学だけは後に京セラオプテックとしてグルーブの一因になり現存していましたが、それもとうとう2018年で完全に事業部別に京セラに吸収し事実上の解散になり消え去りました(涙)

このような時代背景を踏まえると、当時CHINON側は1960年代からの8mmシネカメラに主軸を据えていて、シネカメラ用ズームレンズなどの開発/製造も手掛けましたが、肝心な一眼レフ (フィルム) カメラ向け光学硝子レンズ精製溶融解設備は有しておらず、当時のCHINON銘オールドレンズの多くのモデルはその光学系の設計/製造を富岡光学に頼っていたと推察できます。

するとやはりここでもネット上で真しやかに語られていますが、当時COSINAから筐体内外装の供給を受け、光学系の設計/製造のみ富岡光学製だったと解説されています。ところが当方で当時のCOSINA製オールドレンズを何本もバラしてオーバーホールしましたが、同じ時期のCHINON製オールドレンズと明らかに筐体内外装の設計/構造が100%異なっており、当然ながら各構成パーツにCOSINA製とCHINON製の両方のオールドレンズに共通したパーツが一つも存在しません。

従って、当方では富岡光学が光学系だけを供給していたという説は擁護せず、筐体内外装全てに渡り管理していたとみています (もちろん一部パーツは外注だった可能性は捨てきれませんがCOSINA製オールドレンズの中に同一パーツが存在しません)。

当時の在籍者の話なども語られているので、この説は非常に強力にサポートしているファンが多いですが、当方にしてみればどうして同じパーツを使わずにワザワザ資金を掛けてまで異なるカタチと動きの設計にする必要性があったのか、その構成パーツの目的と役目/駆動を知っているからこそ、逆に納得できないまま悶々としています(笑) 普通一般的にサクッと考えれば同じ目的と動作で使われるパーツの設計をいちいち変更して設計し製造するその必然性がどう考えても見出せません (例えば絞り連動ピンさえもカタチも長さも径までも違います)(泣)

そんな絞り連動ピンの設計をイジる必要がある唯一の可能性とすれば「製品別に設計チームが個別に存在したからそれぞれの製品で同一にならない」とも考えられます。しかし会社自体が既に傾いていた特に1970年代〜1980年代辺りの状況で考えれば、そんなことにこだわって 数多くの設計チームを抱えたまま製造していたとは、どうしても考えられません。

そして当のCHINONもコンピューター関連まで手を出した多角経営が仇となり、1997年にEastman Kodak Co.グループ傘下に入り、さらに2004年には完全子会社化されています (現在は株式会社チノンとして再出発)。

【CHINON製モデルのバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

前期型

距離環ローレット (滑り止め):エンボスタイプ (合皮製)
距離環に銀枠飾り環:有



中期型

距離環ローレット (滑り止め):スクエアタイプ (ラバー製)
距離環に銀枠飾り環:有



後期型

距離環ローレット (滑り止め):スクエアタイプ (ラバー製)
距離環に銀枠飾り環:

 

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今回扱うモデルも『富岡光学製』と当方は捉えているのですが、そのように謳いヤフオク! に 出品すると「何でもかんでも富岡光学製にしてしまう」とSNS等で批判対象になるようです(笑)

その根拠の基になるモデルがありモデルのレンズ銘板に発売メーカーの刻印以外に「TOMIOKA銘」を刻んだいわゆる「ダブルネーム」のオールドレンズが存在します。

AUTO CHINON 55mm/f1.4 TOMIOKA (M42)」の特異的な構造要素から判定しています (右写真は過去オーバーホールした際の写真)。

具体的には『富岡光学製』の構造的な要素 (特徴) として大きく3点あり、いずれか1点、或いは複数合致した時に判定しています。

M42マウントの場合に特異なマウント面の設計をしている (外観だけで判断できる)。
内部構造の設計として特異な絞り環のクリック方式を採っている (外観だけでは不明)。
内部構造の設計として特異な絞り羽根開閉幅調整方式を採っている (外観だけでは不明)。

上記3点は今までに2,000本以上のオールドレンズを扱ってきて、富岡光学以外の光学メーカーで採っていない設計なので『富岡光学製』判定の基準としています。それは、そもそもオールドレンズを設計する時、他社の設計をそっくりそのまま真似て (模倣して) 設計図面を起こす 必要性が薄いからです。推測の域を出ませんが、たいていの光学メーカーでは自社工場の機械設備などを勘案して、最も都合の良い設計で図面を起こすハズだと考えられるからです (ワザワザ費用を掛けてまで同じ設計を採る必要性が見出せないから)。

具体的な特異点の解説はコシナ製標準レンズ「COSINON AUTO 55mm/f1.4《富岡光学製》(M42)」でご案内しています。

今回扱うモデル『AUTO GAF 55mm/f1.7《富岡光学製》(M42)』は、上記判定が該当した結果「富岡光学製」と判定しました。

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上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。
※GAF製品の実写は枚数が限られるのでCHINON製品の実写からピックアップしています。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して円形ボケを経て溶けていく様をピックアップしています。そもそも標準レンズなのでシャボン玉ボケの大きさはそれほど大きく出現しませんし、光学系設計から収差の影響を受けるので真円を維持しにくく、且つエッジが繊細に (極細で) 表現しにくいと言う欠点が伴います。但し、シャボン玉ボケにこだわらず円形ボケとして期待するなら十分な表現性を持っているので、背景効果的に存分に使えます。

二段目
ここでは左側2枚に収差ボケをピックアップしました。ハッキリ言って富岡光学製オールドレンズの描写性の中に「二線ボケ」が挙げられるので、このような煩い (乱れた) 滲み方が現れる場合がありますが、この左側2枚はそれを「敢えて背景効果として使ってしまった写真」と考えられますから、相応に撮影スキルも高いのではないでしょうか。また右側2枚はさらに収差の影響を超越してトロトロボケに溶けていった時の表現性として載せました。トロトロボケに至る途中で収差の影響が現れますが、そこを越えれば本来のトロットロに溶けてしまった背景に到達しますから、これはこれで大変魅力的です。

三段目
ここでは敢えてコントラストの高い実写をピックアップしました。ご覧のようなパキッとした高いコントラストなのに、決して色飽和せずノッペリした写りに堕ちず、ちゃんと陰影のインパクトとして写真に貢献できています。またミカンの写真も葉っぱの質感表現能力が相当なレベルで撮られているのが分かります。最後の右端写真などは上手く暗がりのコントラストを活用して何でもない植物の印象操作ができている素晴らしい写真です。

ここで敢えて申し上げたい点があります。最近ミラーレス一眼が流行り、同時にこのような オールドレンズの人気が高い時代になると、プロの写真家のネット解説も増えています。然し敢えて苦言を呈したい問題があり「如何にもオールドレンズライクな描写性は低コントラスト/ハイキ〜の写真と言わんばかり」に決めつけて撮影しているプロ写真家達です。

それで敢えてこの三段目で高いコントラストの実写をピックアップしました。

左写真は敢えてコントラストを画像ソフトでイジって低コントラスト化させていますが
(右側)、プロの写真家が撮るともっと感動的な写真になるのでしょう(笑)

然し当方が言いたいのは、如何にも右側の 低コントラスト/ハイキ〜な写真の写り方こそがオールドレンズライクなのだと言いたげに、このような低コントラストな写真ばかりを載せて解説している写真家達です。

飛んでもない!(怒) ちゃんとフィルムカメラ全盛時代から高いコントラストの写真も撮られていたワケで、如何にも「オールドレンズライク低コントラスト/ハイキ〜」のような決めつけ (や撮影) ばかりしたがるのは「甚だ器が狭すぎる」のではないかと勘ぐってしまいますね(笑)

特に人物撮影のポートレート写真などを好んでハイキ〜に仕上げている写真家が居ますから、はたしてそれが「作品の傾向」と言い切れるのかと疑念が尽きません(笑) そんなのは全く以て「作品の傾向」ではなく、単にそれらしく、オールドレンズらしく低コントラスト化させているに過ぎず、とても作品レベルで見る気持ちにはなりませんね(笑) それでプロの写真家だと自ら言い切っているので本当に恐れ入ってしまいます(笑) もっとハイレベルな写真の傾向に自らの作品を仕上げたらどうなんですかね?(笑)

そのようなオールドレンズライクな写り方としてゲテモノ写真家が広めてしまったので、まるでインスタ映えの如く流行ってしまいましたが,オールドレンズの描写性とはそんな狭い領域の話ではないと当方は信じています。

四段目
この段の実写がまさにこのモデルの描写性能を語る上で最も特徴的な部分でしょうか。明暗部だけでチェックすると残念ながら暗部の黒潰れにはそれほど耐性がなくいきなりストンと堕ちてしまいます。然しそれでもギリギリの境界部分で被写体の素材感や材質感を余すことなく写し込む質感表現能力の高さは相当なモノですし、さらにプラスして距離感や空気感まで写し込んでいるかの如く非常に立体的でリアルな「雰囲気」を残せているのが、まさに『富岡光学製』の一つの特徴ではないでしょうか。

従って等倍鑑賞のように厳密に光学性能を隅々まで数値でチェックしていくなら、ハッキリ 言って『富岡光学製』はそんなに高い性能を弾き出しません(笑) そう言う人はCONTAXなりLEICAなり高級モデルだけにこだわって下さいませ。当方は庶民派のオールドレンズの描写性にむしろ魅力を感じます(笑)

左側の2枚の写真はそういう「リアル感」に訴える写真であり、当方は大好きですね!(笑) また右端の光のカーテン写真も、その光のカーテン部分に感動したのではなく,実はその手前の小道のリアル感に唸りました(笑) 特に右側の路面のリアル感は好きですね(笑)

光学系は5群7枚のウルトロン型構成で、特に第2群の凸メニスカス硝子レンズの曲率を相当高く採っており、吐き出される写真には残存収差も相応に影響を受けていると考えています。しかしそれを超越するとトロットロに溶けていく傾向は特に『富岡光学製』たる描写特徴とも言えるのでしょうか。

右構成図は今回のオーバーホールにあたり光学系をバラした清掃時に逐一デジタルノギスで計測してトレースした図です。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。ハッキリ言って今回扱うモデルは、レンズ銘板だけをすげ替えただけのようなモデルなので,内部構造から使われている構成パーツに至るまで100%全く同一です。おそらく光学系の設計にも変更はないものとみています。参考モデルは「CHINON製AUTO CHINON 55mm/f1.7《前期型:富岡光学製》(M42)」ですから,興味がある方はご参照下さいませ。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が独立しており別に存在します。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑上の写真は当初バラした時に (洗浄する前に) 撮影しておいた鏡筒内部の状況です。左巻きで螺旋状に光っているのは「経年の油染み」であり (グリーンの矢印) 今回の個体は絞り環操作しても絞り羽根が正しく出てこない「絞り羽根開閉異常の個体」でした。またすぐ後で解説しますが、今回の個体は10年内に整備され「白色系グリース」がヘリコイド (オスメス) に塗られていた個体でした。その為に経年の揮発油成分がご覧のように絞りユニット内部に飛んでしまい「絞り羽根の油染みとその癒着」を促していた次第です。

はたして10年もしないうちにこのような「油染み」でヒタヒタになるような整備が「適切だ!」と言い切れるのでしょうか???

↑6枚の絞り羽根もキレイになり鏡筒最深部に絞りユニットをセットします。

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上側が前玉側方向になります。すると鏡筒の外壁には「固定ネジ」が3箇所備わり内部の「絞りユニット」を締め付け固定していますが、その位置を微調整できない設計に変わっています (前期型の頃の富岡光学製モデルは位置の微調整機能が備わっていた/位置の微調整で一つの工程があった)。

逆に指摘するなら工程を可能な限り省略化して特に製産時の人件費削減に努めていたことがこれで分かります。

また「位置確定キー」も前期型の時代 (TOMIOKA銘モデルの前期型時代) には微調整機能が備わっていましたが、これも省いてしまい鏡筒がセットされる箇所は決まってしまいました (微調整できない)。然し代わりに「最小絞り値の時の絞り羽根の閉じ具合」だけは微調整機能が残されています (キーが存在する)。

つまりこれらの事柄から「開放側の絞り羽根の微調整機能が省かれ最小絞り値側のみ微調整が残された」と断言できるので、必然的に「整備時のコツが必要になる/開放時に完全開放するよう仕上げる必要がある」とも言えます。

このように「観察と考察」により細かい微調整の有無やその範囲などが明確になり,併せて組み立て工程の手順まで明確化されますから、特にサービスマニュアルなど手元に無くても製産時点と同じ組み立て工程の順番で仕上げていくことができます。

ちなみに「開閉環 (グリーンの矢印)」に後ほど登場するマウント部内部の「開閉棒」がグサッと刺さりダイレクトに絞り羽根の開閉操作を行う仕組みです。

↑距離環やマウント部を組み付ける為の基台です (アルミ合金製)。

↑真鍮 (黄鋼) 製のヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。このヘリコイド (メス側) のネジ山をご覧頂くと分かりますが「基台よりも深い長さのネジ山」なのが明白ですね。これがチェックポイントだったりします(笑)

↑ヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で13箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

すると基台のアルミ合金材とヘリコイド (オス側) のアルミ合金材の間に挟まれて真鍮 (黄鋼) 製のヘリコイド (メス側) がネジ込まれる「サンドイッチ方式」の設計である点に「ちゃんと整備者が気づいたのかどうか」が最終的な距離環を廻す際のトルク感の決め手になっていきます。

逆に言うなら「単に古いグリースを除去して新しいグリースを塗るだけ」では適切なトルク感に仕上がらないので(笑)、それをごまかす為に「白色系グリース」が過去のメンテナンス時に塗られていたワケです(笑)

いわゆる「グリースに頼ったごまかしの整備」ですね・・(笑)

↑それではここから暫く衝撃的な写真で解説していきましょう(笑) 上の写真は今回の個体をバラした際に「完全解体して洗浄する前の状態」の写真です。基台も真鍮 (黄鋼) 製のヘリコイド (メス側) にも経年の錆が複数生じています。またヘリコイド (オス側) には「白色系グリース」が塗布されているのが分かります。

ヘリコイド (オス側) の内側/内壁の途中には両サイドに「直進キーガイド」なる溝が切削されて備わっています (グリーンの矢印)。ここに「直進キー」と言う板状パーツが刺さってスライドすることで鏡筒が繰り出されたり収納されたりする原理です。

↑今度はひっくり返してマウント側方向から撮影した写真です。ちゃんとヘリコイド (オス側) の両サイドに「直進キーガイド」の溝が備わっており (グリーンの矢印)、そこに締付ネジで固定された真鍮 (黄鋼) 製の「直進キー」が刺さっています。

締付ネジ」に塗られている固着剤が「赤色」なので、過去メンテナンスは10年くらいのスパンだったと推測できます (現在主に使われている固着剤は緑色だから)

写真なのでとてもキレイに写ってしまいましたが(笑)、現物は相当キモイくらいに錆や緑青が出ています(笑)

↑刺さっていた「直進キー」を取り外して「直進キーガイド」の溝部分を拡大撮影しました (グリーンの矢印)。「白色系グリース」がヌルッと塗られているのが分かります。

↑こちらは取り外した「直進キー」ですが「白色系グリース」が塗られているものの緑青が生じている箇所があったりします (相当キモイ)(笑)

↑上の写真は洗浄が終わって当方による「磨き研磨」が終わった状態を撮影しました。だいぶキレイになっていますが(笑)、綺麗にするのが目的ではありません。「直進キーガイド」に注目して下さいませ (グリーンの矢印)。

↑分かりにくいのでさらに拡大撮影しました。「直進キーガイド」の溝部分ですが、よ〜く観察すると「横方向に縞模様が見える」のが光具合で分かります。一方溝の左右のアルミ合金材部分にはその縞模様がなく「平坦」なのが一目瞭然ですね(笑)

何を言いたいのか???

つまりまずほぼ間違いなく過去メンテナンス時にこの「直進キーガイド」の溝部分には「グリース」が塗られていますが、ご覧のようにそもそも「平滑ではない」のです(笑)

もしも平滑に切削し面取り加工までされているなら「ツルツルであり横方向のバタバタな状態ではない (左右のアルミ合金材と同じレベルのハズ)」です。

要はここに刺さる「直進キー」の板状パーツはこの「横方向の縞模様の面の部分に接触していない」ワケで、それに「観察と考察」で気が付いていないから平気でグリースを塗ったくります(笑)

グリースを塗ったところで接触していないから前述の写真のようにグリースがそのまま残っています (接触しないからグリースの色合いも白いまま)(笑)

ではどうやってスムーズに鏡筒を繰り出す/収納するトルク感に仕上げれば良いのか???

その問題に突き当たっていないから「何でもかんでも稼動部にはグリースを塗れば良い」と言う思想そのモノですね(笑)

もっと言うなら,製産時点でこの「直進キーガイド」の溝部分にはグリースが塗られていません! それは今までに何本もワンオーナ品 (購入して一度も整備に出していない) のオールドレンズをオーバーホールした際に「1本もグリースが塗られていなかった事実」から確信した次第です。

それ以来当方もこの溝部分には一切グリースを塗布しませんが(笑)、それでも問題なく (いえむしろとても気持ち良い) トルク感で距離感を操作できるように仕上がっています。それが当方のファンの方々が喜ばれる「ヌルヌルッとシットリ感のあるトルク感」を実現しているのであって、まさにヘリコイド (オスメス) のネジ山のグリースだけでトルク感が仕上げられていると言い替えられます(笑)

これが当方のDOHのまさに醍醐味とも表現できますね(笑)

創られたトルク感ではなく,製産時点とほぼ同等レベルの「必然的なトルク感」で仕上げているからです。そしてそれは製産時点と同じ (その当時の時代と同じ)「黄褐色系グリース」を使っているからこその仕上がりでもありますから「白色系グリース」を塗布した時の「無機質なトルク感」或いは「ツルツルと軽すぎるトルク感」でもありませんね(笑)

だからこそ撮影時にピント合わせに集中でき、且つ「メッチャ愉しい!」から大切に使われるのではないでしょうか。オールドレンズとは単にその描写性だけをあ〜だこ〜だ言うのではなく、プラスして望んだ1枚の写真をシャッターボタンを押して撮るまでの「その挙動/操作」こそが、ピピッとアッと言う間に瞬時に撮れる今ドキのデジタルなレンズとの大きな相違点であり、同時に愉しいのだと当方は考えています。

↑同様に当方の手で「磨き研磨」した「直進キー」です。当初バラした直後は褐色でしたが、ご覧のように黄金色に戻りました。キレイに輝かせるのが目的ではなく、処置する事で経年の酸化/腐食/錆びを除去でき「可能な限り製産時点に近づけられた状態」まで復元するのが目的でもあります。

だからこそ、当初バラした時のようにグリースなど塗らなくても前述の「直進キーガイド」の溝部分を行ったり来たりとスライドしつつ,然しとても軽い操作性を実現できているワケです (そもそも上の写真のカタチを見れば面と面で接触していないのが明白)。

↑完成した鏡筒を同じく完成したヘリコイド部 (オスメス) のオス側内部にストンと落とし込んでから「締付環」で締め付け固定します (グリーンの矢印)。ちょっと見えにくくなっていますが「直進キーガイド」部分には前述のとおりグリースを一切塗らないまま組み立て工程が終わっています。

↑当初バラした直後はこのマウント部内部にまで「白色系グリース」が塗られ、一部にやはり錆が出ていたのですべて完全解体して当方により「磨き研磨」が終わった状態を撮っています。

↑取り外していた各構成パーツも全て「磨き研磨」してから組み込んでマウント部内部を仕上げます。マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①) そのチカラが伝達されて弧を描いた「制御アーム」に伝わり絞り環の内壁にカチンと突き当たります (ブルーの矢印②)。その時の絞り環の設定絞り値に従い先端の「開閉棒」の移動距離が確定して「絞り羽根が閉じる角度が決まる」仕組みです (ブルーの矢印③)。

前述のとおり鏡筒内部 (最深部) にセットされている絞りユニット内の「開閉環」にこの「開閉棒」が突き刺さり、ダイレクトに絞り羽根の開閉動作を伝える原理ですね(笑)

従って,前述でさんざん「微調整機能がない」と解説しまくった理由がまさにここの工程の話しで「マウント部内部の仕上げ方が適切でなければ絞り羽根の開閉異常が発生する」のがこのモデルの設計概念とも断言できます。

観察と考察」により組み立て手順が判明するばかりか、このような微調整の必要性やその箇所/駆動範囲など,凡そ組み上がって仕上がったオールドレンズを実際に保持して撮影に臨んだ時に「メッチャ使い易い!」と感じるか否かが、これらで決まるワケですが「グリースは塗ったくっていません! (マウント部内部にグリースは一切塗らない)」(笑)

↑完成したマウント部を基台にセットしますが、先に指標値環を入れておきます。

↑ベアリングを煎れてから絞り環をセットします。

↑クリック感を感じる絞り値に見合う位置で指標値環を固定します。

↑A/Mスイッチのツマミがあるリングをベアリングをやはり組み粉でからセットします。ツマミを左右に動かすと (ブルーの矢印①) カシャカシャと小気味良くベアリングのチカラでマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が動きます (ブルーの矢印②)。

↑スイッチ環を「イモネジ」で3箇所締め付け固定します (グリーンの矢印)。

イモネジ」とは左写真のようにネジ頭が無くネジ部にいきなりマイナスの切り込みが入ったネジ種を指します。

するとこの「イモネジ」を敢えて使う理由がちゃんとあり「締め付け位置の微調整が必要」なのか「単に締め付け固定の為だけ」なのかの判定が必ず憑き纏います。

ちなみに冒頭解説のとおり「M42マウント規格」でこのように横方向から「イモネジ」で (3箇所) 締め付け固定する手法で設計していたのが『富岡光学製の証の一つ』であり、その根拠のが該当します。

↑距離感を仮止めしてから光学系前後群をセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑意外にも前回扱ってから4年も経ってしまいましたが、なかなか海外オークションebayでも見つけられません。特にこのGAFモデルにこだわらなければ、例えばCHINON製やアメリカのargus製などよく出回っているので手に入れられますが、今回はこのレンズ銘板にある「GAF」の赤色刻印に魅力を感じて探していた次第です (但し赤色刻印の意味は無い/メーカーロゴが赤色だから)。

逆に言うとマルチコーティングモデルでない限りは特にこのモデルの場合色が付いている事がないので、敢えて色付にこだわっただけです(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。光学系内は特に後群側に微細な点キズが多めで、パッと見で「微細な埃/」に見えますが3回清掃して除去できなかった微細な点キズです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もスカッとクリアな状態を維持していますが、後ほど解説するとおりこのモデルは「後玉が飛び出ている」ので、不用意にそのまま置いたりすると「後玉の中央に当てキズを付けかねない」ので要注意です・・と言うか,キズが無い個体を探すのが結構面倒くさかったりします(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:12点、目立つ点キズ:8点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(後群内に極微細な薄い1cm長2本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑今回4年ぶりにやっとのことで手に入れたモデルなので(笑)、せっかくですから新品でMCフィルターを入手し附属品としました。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MCレンズガード (新品)
本体AUTO GAF 55mm/f1.7《富岡光学製:前期型》(M42)
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
純正樹脂製スナップ式前キャップ (中古品)

なお、フィルターの梱包の中にフィルターケースも入っています。

↑前述した後玉の突出状態を拡大撮影しました。ご覧のとおり「0.6㍉」後玉が飛び出ているので、このまま無限遠位置まで距離環を廻した状態で置いたりすると当てキズが付きますからご留意下さいませ。

↑距離感の合皮製ローレット (滑り止め) は経年劣化で縮んでいますが、取り敢えず貼り付け時にピタリと貼り合わせ位置を合わせています (赤色矢印)。既に縮んでいるのでいずれ隙間が空いてくると予測できます。

↑一応手持ちのマウントアダプタ (M42→SONY E) にセットして絞り羽根の開閉動作の挙動をチェック済です。ちゃんと基準「」マーカーがマウントアダプタの真上位置に来ます。マウントアダプタはK&F CONCEPT製 (中国製) で内部の「ピン押し底面」は凹面をオールドレンズ側に向けてセットしています (平らな面をセットすると最小絞り値まで閉じなくなる)。隙間はマウントアダプタの仕様でオールドレンズ側面に「1㍉の突出」があるので隙間が空く次第です。

左写真のとおり絞り環操作すると確実に最小絞り値「f16」まで絞り羽根が閉じていきます (整合性チェック済)。

↑今度は日本製のRayqua;製マウントアダプタに装着して絞り羽根の開閉動作を確認しました。同様やはり真上に基準「」マーカーが来ます。やはりオールドレンズ側面に「突出」があるので隙間が空きます。

同様に最小絞り値「f16」までの絞り羽根の閉じ具合をチェック済ですが、Rayqual製マウントアダプタの場合は「ピン押し底面」との関係から最後までガッチガチにネジ込まないと「絞り羽根がf11で閉じるのをやめてしまう」のでご留意下さいませ。マウントアダプタの仕様上の問題なのでオーバーホールの工程内部微調整できません (絞り連動ピンの突出量が可変ではないから微調整不可能)。

このように当方のオーバーホールでは全ての現象に対して (或いは不具合に対して) 100%その因果関係と原因、或いは対処策を明言できます。それは「観察と考察」で因果関係をちゃんと掴んでいるから、その起きている現象が何処で発生しているのか理解できているからです (理解するのと改善/直す事とはイコールの話にはならない)。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値を「f2」に設定して撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」に変わっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」の撮影です。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。極僅かですが「回折現象」の影響でピント面の解像度が低下し始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。