◎ Staeble OPTIK (シュテーブル・オプティック) BRAUN-Color-Ultranit 50mm/f2.8 zebra《Paxette版》(M39)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
ミュンヘンのStaeble OPTIK製標準レンズ・・・・、
 『BRAUN-Color-Ultranit 50mm/f2.8 zebra (M39)』です。


戦前ドイツ時代から製産されていたレンジファインダーカメラ「Paxetteシリーズ」がスッカリ気に入ってしまい、さらにシリーズ中の第2世代設計から「M39マウント規格」のオプション交換レンズ群が各社よりOEM供給され、その小さな筐体とは相反する大変素晴らしい描写性/表現能力にスッカリ魅入られてしまい、実に2カ月間を要して集め、且つ研究して今回のヤフオク! に漕ぎ着けたという「ほとんどこだわりの世界」による出品です。

こだわった内容」は当然ながらそれらオプション交換レンズ群のモデルを取り扱うワケですが、ただ単に使おうとしてもフランジバックが適合しないので全く使いモノになりません。 そこでフランジバックを見合いつつ、例によっていつものように「疑似マクロ化」で「一粒が三度美味しい」に挑戦した次第です。

まず最初にお話しておきますが、その描写性能と言ってもカリッカリな鋭さ/緻密さを追求するのではなく、どちらかと言うと相応な鋭さながらも画全体に漂う繊細感や柔らかさ等、むしろそちらに重きを置いた表現性が「素晴らしくて気に入った」ワケなので、解像度云々を期待される方はスル〜頂いたほうが無難です(笑)

しかし決して緻密ではないのにピント面のインパクトが強く感じたり、或いは被写体の立体感に頷いたりといった、どちらかと言うと「収差にオールドレンズの愉しみ/醍醐味を見出した」ような気に入り方なので、ある意味今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由オールドレンズを装着して「味わいを愉しむ」人達にとっては、堪らないモデルになる かも知れませんね(笑)

今回は当時レンジファインダーカメラ用のオプション交換レンズ群として登場したモデルなので、ハッキリ言って筐体サイズがコンパクトで嵩張らず、もちろんその分光学系まで小さいため「その影響から収差も増えている」のを逆に愉しみに結びつけた思考回路なので(笑)、ある意味その描写性能に関して評価が低くなるのも覚悟の上です(笑)

何しろ・・3枚玉トリプレットですし!(笑)

《 お 題 》
今回 (オーバーホールの) お題はレンジファインダーカメラ用モデルにマウント変換リングをかましてマクロヘリコイドで「疑似マクロ化」に挑戦!
但しフツ〜にヘリコイド付マウントアダプタでは芸が無いので(笑)、エクステンションをフランジバック換算に転用してしまう一考を処し、且つ最短撮影距離1mのモデルなのに「21cm」まで接写!という無理難題です(笑)

  ●               

戦前ドイツで1915年にバイエルン州ニュルンベルグでKarl Braunによって 創設された会社で、戦後の1948年にはCarl Braun Camera Factoryとして レンジファインダーカメラ「Paxette (original)」を開発/発売しました。
(旧西ドイツ側に属する) 

このフィルムカメラはリーフシャッター方式のPRONTOR-Sを搭載した固定式レンズのレンジファインダーカメラでした。

右写真はアクセサリシューが一体型切削だった初期のモデルで後の モデルバリエーションではアクセサリーシューが後付けされるように変更になっています (シャッター速度はいずれもB〜1/300)。

1951年に発売された上記の改良型「Paxette ver.II (original)」で、アクセサリーシューが後付けになったタイプです (写真左)。

また右写真は上記のVARIOリーフシャッター式を搭載したタイプで「Kataplast 45mm/
f3.5
」の固定式レンズです (1953年発売)。

さらに1956年発売の「Paxette IB ver.2」で、右写真は巻き上げノブが附加されたほうのタイプです。

巻き上げノブが無いoriginalと同一の巻き上げ式のタイプも存在するようです。

この辺のモデルバリエーションはとても多く複雑です。固定式レンズですが「POINTAR/KATA/Cassar」などが存在するようです。

  ●               

また1952年「Paxette II」が発売され、新たにオプション交換レンズ群が用意され「M39ネジ込み式マウント規格」を採用しました。マウント規格自体は「内径39mm x ピッチ1mm」なのでライカ判のネジ込み式マウント規格「L39」と同一ですが、フランジバックが 違うので転用できません。

右写真は少々珍しい1951年版「Paxette I ver.II」なのにレンズ交換式に変わっているタイプです (Prontor-S搭載)。

さらにリーフシャッターがProntor-SVSに変更になり巻き上げノブが附随する「Paxette II」で1953年の発売タイプのようです。

もちろんレンズ交換式で同様に「M39ネジ込み式マウント規格」の ままです。巻き上げノブは2回巻き上げが必要です。

1953年に発売された「Paxette IIL」でレンジファインダーユニットにより軍艦部の中央が一段分高くなっています。

他に「Paxette IIM/Paxette IIBL」なども存在し、やはり種類が多く複雑です。

右写真は「Paxette IIM」で巻き上げノブが無いほうのタイプになります。


右写真は「BRAUN Paxette」でBRAUN銘を刻印しているタイプに なりこちらも少々珍しいタイプなのでしょうか。

何しろバリエーション数が非常に多いので、世代としての前後はもちろん細かい仕様上の違いなどもよく理解できていません。

(もしも間違いがあれば是非ご指導下さいませ)

そしていよいよ「M39ネジ込み式マウント規格」では最後に登場する1956年発売の「Super Paxette I」からのバリエーションです。

やはりモデルバリエーションが幾つか存在し「Super Paxette IB/
Super Paxette IL」などがあるようです。

結局簡単に大きく分類すると「固定式レンズ方式のPaxette Iシリーズ」また同時期に「レンズ交換式M39ネジ込み式マウント規格のPaxette IIシリーズ」そしてさらに「距離計連動機構を装備したSuper Paxette Iシリーズ」までが「M39マウント」対応モデルと考えられます。

なお「距離計連動機構装備」のPaxetteにセットで発売されていた交換レンズは「-E-」刻印をレンズ銘板に伴うオールドレンズで、距離計を意味するドイツ語「Entfernungsmesser」の頭文字を採っています (必ず-E-が附随するとも限らない/今回のモデルは附随していない)。

但し距離計と言っても構造としてはちょうど「M42マウント」の絞り連動ピンのような仕組みなので、レンジファインダーカメラ側マウント部内部には「押し込み板」が備わり、その板状が押し込まれる量で距離計が連動するようです。

またこの事から同一モデル銘のオールドレンズでも「-E-」の有無によってマウント面の設計が異なっており、特に「マウントアダプタへの装着時に問題が起きる」点が要注意です (最後 までネジ込めないタイプが中には存在する)。

従ってライカ判「L39」と同じマウント規格だからと取っつき易く考えるのですが、イザッ オールドレンズを手に入れると下手すれば用意したマウントアダプタにネジ込めないハメに 陥ります (実際当方もそのような個体が数本あった)。この相性のような問題点があるために、なかなか手放しで調達できない難しさがあったりしますね。

  ●               

今回扱ったSTAEBLE OPTIK製標準レンズはBRAUN向けOEMモデルの一つで「BRAUN-COLOR-Ultranit」のモデル銘の場合と「Color-Ultralit」銘の場合の2種類が存在します。違いは「Ultra(nit)」なのか「Ultra(lit)」なのかの後3文字の相違点です (具体的に何が違うのかはまだ不明)。

光学系は典型的な3群3枚のトリプレット型構成で、今回のオーバー ホールに際し取り出した光学硝子レンズを当方の手でデジタルノギスを使って逐一計測しトレースした構成図が右図です。

当方の手による計測なので信憑性が低いですから(笑)、ネット上に掲載されている構成図のほうが「」です。


上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。

一段目
左端からピント面の背景ボケの乱れ方で特徴的な実写をピックアップして集めていますが、そもそも実写が少ないのでたいして集められていません。しかし決してどぎつい色付きのコッテリ系に偏らず、かと言ってアッサリ目で物足りなさを感じる程まで大人しすぎるワケでもない、程良い感じのグリ〜ンの表現性に好感を持てます。

二段目
左端写真のように基本的にピント面のエッジは繊細なのですが、アウトフォーカス部がすぐに滲み始めるので意外にもピント面のインパクトが強く表れ決してつまらない写真に堕ちません。また画の中に繊細感や優しさ感を漂わせる雰囲気造りがなかなか上手なモデルなのではないかと感心しています。場合によっては中2枚の写真のとおりシッカリと色付きしてコッテリした濃いめの被写体にもちゃんと対応できますし、一番右端のようなビミョ〜な遠近感の中での「空気の層の厚みの違い」まで表現できているところが当方にしてみるとオドロキだったりしました。意外にもこのような表現性はノッペリ出やすいMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズの同じ3枚玉トリプレットモデルとは比較できないほど個性豊かに各シ〜ンに対応してくれます。その意味で当方としてはMeyer-Optik Görlitzよりもむしろこちらのモデルのほうが愉しさ倍増的な印象を持ちました(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造は非常に簡素で合理化がだいぶ進んだ設計を執っており、ハッキリ言って初心者向け的なほどにパーツ点数まで少なめです。

但し「回転式ヘリコイド駆動」なので距離環を回した時に「絞り環側も一緒に回っていってしまう」ので、例えば距離環を回してピント合わせした後にシャッターボタン押し下げ前に「ボケ味をイジる」手順で使うと「絞り操作した時点で距離環が動いてしまうのでピント位置がズレてしまう」点に要注意です。

つまりこのモデルは「先に絞り値を決めてからピント合わせする」逆手順で使う必要があります。

また今回のモデルのように「Paxette用距離計連動装備」としてもライカ判オールドレンズのような「ダブルヘリコイド方式」を採っていない簡素な考え方なので、この部分の仕上げ方も使い勝手に大きく影響してきます (つまり整備者が事前にそれに気づいたのかどうかが問題になる)。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑10枚のフッ素加工が施された造りの良い絞り羽根を組み込んで絞りユニットを最深部にセットしています。このモデルは光学系第2群のガラスレンズが鏡筒自体にカシメ止めされているので、上の写真のように絞りユニットを組み込んだら光学系までセットする必要があります (上の写真は既に光学系第1群〜第3群まで組み込み済み)。

↑この状態で鏡筒を立てて撮影しました。写真上側が前玉側方向です。すると鏡筒外壁にヘリコイド (オス側) のネジ山が切削されており、且つ絞り環操作時にクリック感を伴う「各絞り値キー」が丸穴で用意されています。この丸穴にベアリングがカチカチとハマるのでクリック感を実現していますが、前述のとおり鏡筒も (絞り環も) 一緒にクルクル回っていく繰り出し/収納方式なので要注意です。

↑とっくに鏡胴「前部」が完成してしまったので(笑)、鏡胴「後部」の工程です。マウント部の写真ですが基台を兼ねているので基準「」マーカーが刻印されています。

↑前述のとおりダブルヘリコイド方式ではない簡素な「距離計連動機構」なので、単純にヘリコイド (オスメス) をネジ込んだらそれだけで終わりです(笑)

もちろん無限遠位置のアタリをつけた正しいポジションでネジ込まないと無限遠位置が狂ってしまいますし、当然ながら連動すべき距離計の突出量まで狂ってしまいますね(笑)

この後は距離感と絞り環をセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑何とも簡単に組み上がってしまったので少々拍子抜けですが(笑)、貴重なPaxette用標準レンズ『BRAUN-Color-Ultranit 50mm/f2.8 zebra (M39)』です。たかが3枚玉のトリプレットだからと馬鹿にすると意外にも素直な表現性とインパクトの出し方など、なかなか良くできたモデルなのではないかと感心しきりです(笑)

特に違和感を感じないレベル止まりのピント面の鋭さや、その周囲の収差の影響によるボケ味など、程良くまとまっていてちょっと手放せない気持ちになるほど大好きなモデルになってしまいました (何しろゼブラ柄ですし)(笑)

↑当初バラす前の時点では写真を撮っても「濃霧の中の撮影」のように相当なコントラスト低下を招いた「光学系の中のクモリ」でしたが、バラしてみれば過去メンテナンス時に塗布されてしまった「白色系グリース」による揮発油成分の油膜でした。

従って嬉しいことに光学系内の透明度が非常に高く、LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もたった1枚後玉だけですが、LED光照射で極薄いクモリが皆無です。非常に微細な「気泡」が多少多めに含まれていますが写真には影響しません。

気泡
光学硝子材精製時に適正な高温度帯に一定時間維持し続けたことを示す「」と捉えていたので、当時光学メーカーは正常品として出荷していました。

上の写真をご覧頂くと分かりますが、マウント面はこのオールドレンズ本来のマウント面ではなく「マウントアダプタに装着する為に加工したマウント面」で仕上がっています。

具体的には「距離計連動機構を機能させない処置」を執っているのでマウント面の突出しているネジ山は「M39マウント」ですがフランジバックを適合化させている部分でもあるのでこれらマウント部のネジ込み環 (リング/輪っか) などは外さないようにして下さい (外した場合下手すればフランジバックがズレます)。

なお当方ではエポキシ系接着剤などは使っていません (つまりいつでもオリジナルの状態に オールドレンズを戻すことが可能です/改造していません)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:10点、目立つ点キズ:7点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い5ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑10枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・附属の接写用エクステンションセットは新品ですが相性があるので当方でα7IIにて確認済です。
(他機種で確認していません)単に附属しただけの為附属品に関するクレームは一切受け付けません。
(多少ガタつきや着脱にコツが必要です)

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。当初甘い印象だったピント面の鋭さも確保でき、鋭いピント面に改善されています。絞り環操作がクリック感を伴う関係から、ワザと故意に距離環を回すトルクを少々重めに仕上げています。それでも絞り環をイジるとピント位置がズレてしまうので、やはり冒頭解説のとおり「絞り値を決めてからピント合わせする使い方」に徹してお使い頂くのがベストだと考えます。

また写真に入れ忘れてしまいましたが、フィルター枠に2箇所ほど凹みの打痕が残っている為新品で「⌀ 40.5mmのMCUVフィルター」を用意してネジ込んだ状態でお届けします (ケースなどありません)。

またマウント面にセットしてある環 (リング/輪っか) 類は「外さないよう」お願い申し上げます。既にフランジバック微調整まで済ませてあるので外してしまうと狂うと思います。

従って上の写真の状態のまま附属のマウントアダプタにネジ込んで装着して頂く使い方になります

↑このような感じでSONY Eマウント用エクステンション (AF接点端子付10mmと16mm) も新品で手に入れて附属品としています。

また同様に「L39→LM変換アダプタ」と「LM→NEXマクロヘリコイド付マウントアダプタ」もやはり新品で手に入れてセットしています。これら附属品は特に「エクステンションは一部がプラスティック製の為に相性問題が起きている」ことから、当方のα7IIに装着して「ご落札者様がトラブルに見舞われないようチェック済」としています (赤色矢印)。

結構ネット上を見ているとカメラボディ側接点端子を折ってしまったなど大惨事に陥っている方が数名いらしたので、その点では安心かも知れません(笑)

但し信用/信頼が皆無な当方がやっている事ですので、僅かでも疑念をお持ちの方はどうかスル〜して頂きますようお願い申し上げます。ヤフオク! には信用/信頼が非常に高い出品者が数多くいらっしゃいますから、そちらのオールドレンズをご落札下さいませ。

当方がオーバーホール済で出品しているオールドレンズは当方のファンの方々向けに出品している次第です

↑「LM→NEXマクロヘリコイド付マウントアダプタ」には既に「L39→LM変換リング」をセット済です。従ってこの「L39ネジ部」にオールドレンズ側マウント面に飛び出ている「M39ネジ部」を差し込んでネジ込んでいく普通の使い方です。

またこのマクロヘリコイド付マウントアダプタはヘリコイドを動かすと最大で「5mm突出」するので、より近接撮影が可能になります (ブルーの矢印)。

↑こんな感じでオールドレンズをネジ込んで装着します。エクステンションは「10mm/16mm/10mm+16mm」いずれも使い方でも構いません。寸法が増える分だけ接写が被写体に近くなるワケですね(笑)

またマクロレヘリコイド付マウントアダプタのヘリコイドを動かすとブルーの矢印のとおり「5mm」繰り出します。

↑上の写真 (2枚) は、そのマクロヘリコイドを動かした時の飛び出し方を連続撮影しています。こんな感じでマウントアダプタ自体がググ〜ッと「5mm分」シフトアップしますから、その分だけ近接撮影が叶う話です (ブルーの矢印)。

従って上の写真 (2枚) のうちの1枚目の状態がまさに「オールドレンズはオリジナルの仕様のままの状態」で使えますから (何故ならマクロヘリコイドを回してないから/収納されている状態だから)、無限遠位置も僅かにオーバーインフながら合焦しますし、最短撮影距離も当初諸元値の「1m」のままです。

↑上の写真はエクステンションを「16mm」のほうに入れ替えた写真です。10mmよりも「6mm分」さらに近接撮影という話です。

↑そして究極の近接撮影「ダブル重ね」でエクステンションを使えばマクロヘリコイドの繰り出し分「5mm」と合わせて何と「31mm分」の突出量になるので飛んでもない接写が実現するワケです (実際はエクステンション10mmをフランジバック換算に含んでいるので現実的な 突出量はこの時21mmという話)(笑)

これを以て当方では「疑似マクロ化」と呼んでいます。

狙っている事は何かと言えば「エクステンション10mm装着状態」且つ「マクロヘリコイド収納したまま」の状態で「オリジナルな仕様諸元値に仕上げてある」ので、この状態で無限遠位置も僅かなオーバーインフで設定済ですし、もちろん最短撮影距離は「仕様上の1m」になっています。

するとどう言う使い方ができるのか・・???

普通にこのモデルの50mm/f2.8で撮影していながら、途中でイキナシ「マクロヘリコイド操作」して1mよりも近づいた近接撮影をしてしまう!(笑)

こんな使い方ができてしまうワケで、マクロヘリコイドを戻せば再びオリジナル状態に簡単に戻ります。

これを下手なM42マウントのヘリコイド付マウントアダプタにしなかった理由は (それを嫌った理由は)、一つにはこの附属のエクステンション2種類が他のレンズ装着にも転用できる点が嬉しいからです。しかも「AF接点付」なのでちゃんと機能している事を確認済です。

さらに全て収納状態でオリジナルの仕様に設定した事で、簡単にオリジナルと近接とを使い分けられる使い勝手の良さが、一度味わうとクセになります(笑)

従ってエクステンションを上手く活用しつつ「疑似マクロ化」を楽しめるワケで、ではいったいどの程度近接できるのかと言えば次のようになります (全て実測値の平均値)。

《近接撮影の状況》
エクステンション (10mm) +マクロヘリコイド回さず → 仕様1mのまま
 エクステンション (10mm) +マクロヘリコイド (5mm) →40cmまで近接

エクステンション (16mm) +マクロヘリコイド (5mm) →27cmまで近接
エクステンション (10/16mm) +マクロヘリコイド (5mm) →21cm近接

このような状況なので、使い分けて頂ければと思います。近接撮影すればするほどピント面の周囲の背景ボケはボケ量が増大していくので、それだけでも「なんちゃってマクロ」的な写真が残せるワケで、この醍醐味を味わうとクセになります!(笑) ちなみに上の4つの中で 印だけがオリジナルの仕様諸元値で使える状態です (つまりマクロヘリコイドの繰り出し5mmを収納すればフランジバックも適合し無限遠合焦して最短撮影距離が1mに戻る)。

改造したりせずに、且つエポキシ系接着剤なども使わずに「あくまでもいつでもオリジナルに戻せる」よう配慮した上で、ちゃんとオリジナル状態の仕様諸元値を充たしつつも、イザッとなれば近接撮影が楽しめると言うお話です(笑)

もちろんエクステンションは他のレンズでも近接撮影を実現できるので「カメラボディ側とのトラブルに巻き込まれずに (既にチェック済だから) 安心して使える」点も気配りしたつもりですが(笑)、あくまでも当方がやっている事ですので「信用ならない」と少しでも疑念をお持ちの方は絶対に落札しないで下さいませ。

当方のファンの方で魅力を感じて頂いた方にお届けしたいと考えています!!!

なおこれらエクステンションは他の製品も複数手に入れて試した結果、最も相性が良いモノを附属品としています。逆に言うとエンジニアリング・プラスティック製の製品なので「たいして精度が高くない/簡素な設計」点をご留意下さいませ。これらの相性問題も含め全ては製産メーカー側の問題であり当方の関知するところではありません (つまりクレーム対象としません/当方の整備とは一切関係ありません)。

またネジ込んだオールドレンズ側の基準「」マーカー位置は3時の位置辺りでネジ込み停止します (ネジ切りの設計上の仕様なので微調整できません/クレーム対応しません)。

↑上の写真 (4枚) は、実際に前述の順番でエクステンションを入れ替えたりダブルにしたりしながら撮影した近接撮影状況です。

1枚目がこのモデルのオリジナル仕様「最短撮影距離1m」での開放実写です。そして2枚目がエクステンション (10mm) +マクロヘリコイド (5mm) 繰り出し時の「最短撮影距離40cm」です。

さらに3枚目はエクステンションを16mmにチェンジし「最短撮影距離27cm」エクステンションをダブルで使って「最短撮影距離21cm」が最後の4枚目です (全てマクロヘリコイド5mmを繰り出し状態)。

マクロヘリコイドの繰り出しをせずに撮影すれば多少離れた位置からの写真になります (おそらく数㎝)。また1枚目の写真でボケ量が少ないのはオールドレンズ側仕様上の最短撮影距離「1m」で撮影しているからです。

このようにエクステンションを活用することで「3つの近接撮影が実現」できるワケで「一粒が三度美味しい」と言う話なのです(笑)

↑同様1枚目がオリジナル:1mで、2枚目が40cm、3枚目は27cmで最後4枚目が21cmでのf値「f4」での撮影です。

↑さらに絞り環を回してf値「f5.6」で撮りました。1枚目:1m、2枚目:40cm、3枚目:27cm、最後4枚目:21cmです。

↑f値「f8」に上がっています。近接すればするほど設定絞り値が「f8」まで上がっていてもピント面の背景のボケ量が増えていますね(笑)

↑f値は「f11」に変わっています。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。「回折現象」の影響が現れています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

なお最短撮影距離なので被写体〜撮像素子面までの距離を意味します。最後に附属したエクステンションの製品は「AF接点端子付」ですが、当方の考えではこれらエクステンションをデジタルレンズに装着した時、下手すればそのデジタルレンズによっては「電圧低下に伴い上手く機能しない」懸念があります。これは接点端子が増えたことで電圧が途中で低下してしまい、正しくカメラボディとデジタルレンズとの間で信号/電圧授受に影響が出てしまい、デジタルレンズがちゃんと機能しないと言うお話しです。逆に言えばオールドレンズに装着して使う分にはトラブルは少ないので (何故なら既にカメラボディと相性チェック済だから)、それはメリットがあると考えます。

一言で言ってしまえば、高価な専用マクロレンズを買わずとも様々なオールドレンズで十分「なんちゃってマクロ」が愉しめると言うワケです(笑)

実際ネット上を見ていても似たようなトラブルに見舞われている人が居るようなので、このエクステンションを鵜呑みで (手放しで) 褒めるのは問題があるかも知れません。これがちゃんと低下した電圧を昇圧してくれる製品なら問題が起きないのでしょうが、低価格にはならないですね(笑) いずれにしても当方の整備とは一切関わりの無い話で御座います。