〓 Meyer-Optik Görlitz (マイヤーオプティック・ゲルリッツ) Primoplan 58mm/f1.9 V《前期型ーI》(exakta)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツは
Meyer-Optik Görlitz製標準レンズ・・・・、
 『Primoplan 58mm/f1.9 V《前期型ーI》(exakta)』です。


このモデルの当方での扱い本数は今回の出品個体が累計で17本目にあたり、さらに光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体数としてカウントすると「僅か6本目」という状況です。

従って「もしも前玉に盛大な円形キズが無ければ」即決価格:59,500円で出品する計算になる個体のレベルであり、本当に前玉の深い円形キズが残念でなりませんね。

別の表現をするなら、今回の個体は当初調達した時「全面に渡る白濁/完全なクモリ」が生じており、とても撮影に使える状況ではありませんでした (低コントラストどころの騒ぎではない真っ白な写真)。さすがに濃霧の中で撮影しているような画となれば誰も使わないレベルと断言できます。

その原因は光学系第2群に配置される「貼り合わせレンズ」のバルサムが経年劣化進行に伴い剥離し始めており白濁している状態だったからです。このような現象を「バルサム切れ」と呼びますが、今回の個体はオーバーホールの際に当方により一旦剥がして再接着することで白濁を完全解消させています。

逆に言うとこのモデルは残念ながら「光学系第2群のバルサム剤の経年劣化が限界に到達」しているようで、現在市場に非常に多くのクモリを伴う個体が流通している状況です。第2群なので光学系内を覗いた時に前玉のすぐ次のガラスレンズにクモリが生じていた場合「バルサム切れ」の可能性が高いと言えます。

或いは貼り合わせレンズが完全に剥がれていた場合 (クモリが無いとしても) 光学系内を覗いた時に「虹色に (鏡のように) 反射して見える」ので、当然ながら本来の描写にはなりませんからクモリの有無だけで判断するのも要注意です。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

なおこれらの光学系のクモリの問題の他、今回の個体は距離環が完全固着していて動きませんでした。過去メンテナンス時に「白色系グリース」を塗布し、その後「潤滑油」を注入された結果ヘリコイドのネジ山が固着してしまったようです。

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現在ヤフオク! にて出品中ですが、いつもオーバーホール/修理をご依頼頂いていた方からアドバイス頂いたので追加で記載します。

2点アドバイス頂きましたが、その1点目は前玉のキズについてです。本格的に深い円形キズがあるワケですが、取り敢えずこのブログ最後に掲載したミニスタジオを使った実写ではその影響が一切確認できていません。

またオーバーホール工程の中で「無限遠位置確認」として遠景実写も行うのですが、その際の写真データを確認してもキズの影響は一切視認できませんでした。従って特にこの円形キズの影響が現れるシ〜ンと言うのが普段の撮影時には少ないと考えますが、おそらく逆光撮影時などでゴーストが現れる条件、或いはフレアな条件下ではこのキズの影響が多少なりとも現れるのかも知れません (光源が含まれるシ〜ンでの撮影でも円形ボケのカタチに影響が現れるかも知れません/キズのカタチに半分が二重になるかも)。

次に2点目ですが、当初バラす前の時点でヘリコイドが完全固着していたのがオーバーホール完了後は快適な操作性になっているのかどうかの問い合わせでした。

確かにバラす前は完全固着していましたがそのような場合当方ではムリに回したりしません。

完全解体した後に当方の「DOH」で「ヘリコイドのネジ山再生処理」を実施するので (したので) 今回の個体に関しても何ら影響が残らずに全く以て「全域に渡り完璧に均一なトルク感」で、しかも軽い操作性に仕上がっています。

従ってもしもそれらの処置を講じずに単にバラしてグリースを塗って組み上げるだけの「グリースに頼った整備」を行っていれば、おそらく何某かの影響が距離環を回すトルクに残っていた/現れていたと推測できます。

逆に言えば当方の「DOH」とはそのように「内部構成パーツを限りなく工場生産時点に近い 状態に復元する」処置とも言い替えられますから、まさにその恩恵がオーバーホールが完了した今回の出品個体に現れているのだと言い切れますね(笑)

当方がこのように申し上げるとそれに対して疑念を抱かれる方がいらっしゃいますが(笑)、そういう方々はどうか当方がオーバーホール済でヤフオク! に出品するオールドレンズは「その総てをスル〜」して頂きたくお願い申し上げます。ヤフオク! に数多くいらっしゃる「もっと信用/信頼が高い出品様」からご落札頂くのが最善と考えます。

少なくとも当方のファンの方々には上記の説明だけで全て100%当方が言いたい事柄が伝わっていますから(笑)、それだけで十分です。

以上2点について補足させて頂きました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程の解説などは「Primoplan 58mm/f1.9 V《前期型ーI》(exakta)」のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。まさしく前玉の円形状の深いキズさえ無ければ光学系の透明度の素晴らしさから即決価格「59,500円」レベルの仕上がりです (当方の今までの同型モデルに於けるクリアな光学系の落札価各)。

↑光学系内は非常に透明度が高くLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。ご覧のように前玉にある深い円形状のキズが透過して覗いても視認できるので「硝子面が削られた本格的なキズ」と言えるワケですが、その他の微細なヘアラインキズ状に見える要素は「コーティング層の線状ハガレ」なので「キズではないから視認できない」ワケです。

光学硝子材には「大小の気泡」が混じっているので拡大撮影してみるとちゃんと「気泡」なのが分かりますが、一分はパッと見で「微細な塵/」に見えてしまいます。

気泡
光学硝子材精製時に適正な高温度帯に一定時間維持し続けたことを示す「」と捉えていたので、当時光学メーカーは正常品として出荷していました。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

特に光学系第2群の貼り合わせレンズは一旦剥がして再接着したのでとてもクリアな状態に復元できています。

↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無です。同様とてもクリアな状態を維持した個体ですが、やはりコーティング層の線状ハガレが複数残っています (硝子面が削れた本格的なキズではないので透過しても視認できない)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:12点、目立つ点キズ:9点
後群内:18点、目立つ点キズ:13点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い8ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
(バルサムを一旦剥がし再接着しています)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
・前玉に本格的な深いキズが円形状に付いている為撮影シ〜ンによってはキズが影響する懸念もあります(事前告知済なのでクレーム対象としません)。
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・前玉や後玉は斜めに向けて光を反射させながら見ると無数のヘアラインキズがあるように見えます。ところがそのまま光学系内を透過するとそれら見えていたヘアラインキズが見えません。
これらヘアラインキズ状に見えるキズはコーティング層の線状ハガレ部分なので光学硝子面を削ったキズではない為に投下すると視認できなくなります(つまり本桐のキズではない)。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)

↑14枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑ハッキリ言って前玉の円形状の深いキズ以外には何も特記事項が無いくらいに素晴らしい仕上がりに至っています。特に距離環を回すトルク感は皆様が喜ばれる「ヌメヌメッとシットリ感を漂わす操作性に非常に軽く微動できるトルク感」に仕上げてあります。

また筐体が移送のクロームメッキ部分も「光沢研磨」を施したのですぐに酸化/腐食/錆び発生せずに眩い光彩を放ち続けますから、むしろ逆に指紋の痕が残って気になるくらいです(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑上の写真 (2枚) は、前玉のキズの状況を分かりやすく撮影しました。1枚目は前玉表面の円形状の深いキズにピントを合わせて撮っていますが、2枚目はその同じ画角のまま光学系第2群のコーティング層の線状ハガレにピントを合わせています。

↑上の写真 (2枚) は同様、1枚目は後玉表面のコーティング層線状ハガレにピントを合わせて撮りましたが、2枚目はその奥の光学桂台3群のコーティング層線状ハガレ部分にピントを合わせています。

↑当レンズによる最短撮影距離75cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少ハレーション気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に変わっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」での撮影です。そろそろ「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。